ちょっとひと言

日頃の自らの経験を通じ感じていることや身近な出来事を綴っていきます。

弔いの言葉

2008年06月20日 | Weblog
 鑁阿寺(ばんなじ)第44世住職 山越仁也大僧正の本葬が18日に執り行われた。盛大な葬式であった。池袋の護国寺貫主が真言宗の本山であるので、大導師としてお勤めいただいた。僧侶がずらりと並びまさに厳粛なものだった。
 当日の朝、大日様を散歩した。太鼓橋から本堂まで参道にテントが並び、更に本道の左右にテントが張られ大掛かりな準備が進んでいた。整然と並んだテント内には沢山の椅子があり、密葬があった後なので、これだけの会葬者があるのか心配しながら散策をしてきたが、式が始まった時刻には全部椅子が埋まってしまい、ものすごい人の集まりだった。私の心配も杞憂に終わったので、ほっとしたと同時にさすがに大日様だなあと強く感じ入りむしろ嬉しかった。沢山の市民が44世住職にお別れに来てくれたのである。
 名誉葬儀委員長という妙な立場で弔辞を述べた。定型的な弔辞は秘書課で用意されたが、これでは私の思いは伝わらないと自分の言葉で話し始めた。幼い頃の想い出、大日様がいかに市民の心を癒す場所であるか。境内に23もある建物の殆どが国、県、市の文化財である。門を閉ざすわけにいかず、火事などの不慮の事故を考えると夜も眠れない。等々、かつて交わした会話を想い出しながら話を進めてきたら涙が溢れてきた。足利市にとっても、また私にとってもかけがえのない人を失ったという思いがこみ上げて来た。
 式の終了後、晋山式(しんざんしき)があった。これは祝事である。44代が他界され、45代の山越忍隆氏が鑁阿寺の跡取りになる式典である。これで大日様の歴史はまだまだ続くことになる。悲しみの中に何かほっとした一幕でもあった。

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