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人&ライフ 緒方歌子さん

2006年03月16日 | コラム
 2年ほど大病で入退院を繰り返した。漸く少し落ち着きを取り戻した昨年11月、長年歌い続けてきた「こもり歌」のCD化に踏み切った。
「いつまた歌えなくなるかも知れない、今残しておかなければ」との思いからだ。
 緒方さんはこれまで声楽家としてエリート街道を渡ってきたわけではない。また必ずしも最初から声楽家や歌手を目指していたわけでもなかった。あるハワイアン歌手との出会いから歌の世界へと誘われた。「是非弟子に」と押しかけ、その見事なコピー振りに当の本人は笑うしかなかったという。弟子入りが叶いレコードも出すが、その後結婚、子育てと中断を余儀なくされる。復帰後はステージの傍ら教室を開き、ボイストレーニングなどの基礎を中心に子どもたちやその母親たちを指導した。その一方でアメリカを始め、カナダ、ベトナム、中国、台湾と海外コンサートも開いている。
 「こもり唄」を歌うようになったのは30数年ほど前からで、最初は何とハワイアンのステージで披露。こもり唄のほかに民謡なども組み合わせて歌った。「こもり唄は言うまでもなく子どもを寝かせるときの歌ですが、その背景には様々な社会的なものが見え隠れします。また世界各国にありますが、不思議とどれも似ています」「おっかさんスピリッツはどこの国でも同じ」と話し、海外コンサートにはいつも、教え子も参加する「おっかさんコーラス」を引き連れた。
 CDの売れ行きを辿ると意外なところに行き着くという。中年の男性の「(聴いて)ただ泣けたよ」という声、「こんな歌初めてだけど何だか落ち着く」という若い女性。大量にまとめて売れたと思うと「同窓会で配った」という返事。「静かに静かに広がっていくことを願っています」
 稲毛区在住。
   文 やまもとみどり

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