歌川国芳の「だまし絵」作品に、「欠留人物更紗(あくびどめじんぶつさらさ)」というのがありました。
タイトルには「十四人のからだにて三十五人にミゆる」とも書いてあり、どの顔とどの体がつながっているか、見え方で人数がかわるという、面白い作品です。
「本当に35人に見えるのかなあ」と思いながら眺めていて、ふと気づいたことがあります。「顔の数は、14人以上いるぞ」……。で、しっかり数えてみたら「17人の顔がある」のですよ(画像に丸をつけてみました)。
さて、これはどういうことなのでしょう。単なる数え間違い? でも、画家だけでなく、彫り師や摺り師が関わる浮世絵で、こんな単純な数え間違いが起きるのでしょうかねえ。
実は、タイトルには別のメッセージが隠されていて、その「謎」はいまだ解かれていないのではないか……そんな「浮世絵ミステリー」を空想してしまいました。