アレコレ

猫たちとの暮らしの中で、やりたいこと・やらなきゃいけないことがたくさん。

ふく

2012-04-12 21:19:32 | 猫の紹介

             

白黒のメス。生年月日不明。エイズ陽性。2004年11月に来て2010年3月に亡くなった。
小梅の一年後のことである。

出会い
夫が職場から家に帰る途中、いつもの道の真ん中でうずくまっている猫を発見、「どうしよう」と電話があった(私が権限を握っているらしい)。
知らんぷりもできますまい、病院へ。子猫かと思ったほど小さく痩せていた。

診察した女医さんが「ひどい状態ですが、野良猫なのでどうしますか?」と言う。
え?このまま見捨てるってことか…。この言葉は意外だった。
「乗りかかった船なので」と言って診療をつづけてもらう。

診察結果は、車にぶつかったことで片目が失明・アゴが割れている、エイズ陽性、等々。
摘出かと思われた眼は温存できた。手術は、アゴにワイヤーを入れ骨をつなぎ、食道に管を入れる。食べられないので流動食をシリンジで注入するためのもの。

手術後すぐに退院、猫出入り禁止の部屋をつくり介護がはじまった。でも、気持ちは楽だった。
ふくがどんどんよくなってくれたし、新しく担当になった若い男性先生がとても信頼できたから(手術もその方)。
家にも電話をくれる。状態はどうですか、と。自分のミスは素直に謝ってくれる。
(残念ながらその先生は研修医だったのか、数年後、その病院から居なくなっていた。残念。)
先生の思いやりとふくの生命力で、あっという間に回復したような気がする。

           

野良猫は気楽でいい。と言う人がいる。そんなことは絶対にない。
ふくはとても不遇な猫生を送ってきたようだ。
家猫になっても、そんじゃそこらじゃあへこたれない。耐えられる子だった。


たとえば避妊手術の時はあっけらかんとしていた。事故のひどい痛みにも耐えたからそのぐらいへっちゃらだったのかな。
口の中の細菌感染で、何度も頬の肉がベロンとおちるほどの化膿もした。
そんな時はいつもエリザベスカラーをつけるのだが、首を振って上手く障害物をよけ、走る。うますぎて笑ってしまうほど。

1枚目の写真で、ふくの左前足が汚れているのがわかる。口の中が汚れているので舐めると汚れが移ってしまっていた。
歯もボロボロだった。女医さんは2歳くらいかなと言ったがそれは間違いだ。
歯ぐきも曲がっていたし、犬歯もどれかが欠損していた。
事故で舌も切れ直角に曲がってしまったので、管がとれて自分で水を飲んだ時は感覚がつかめず鼻ごと突っ込み「フガフガ!ジョボジョボ!ゴホゴホ!」状態。


その後、少しずつ上手くなったけれど、口の状態が悪いので、亡くなるまで水もごはんも上手に飲食できなかった。
それでも、一生懸命、食べて、食べて、食べまくった。食べることが大好きだった。

そんな、ふく専用の水の容器は口の中の食べカスやらでいっぱいで、他の子のが飲まないよう取りかえるのが手間になり、私はイライラしてよく怒ったものだ。
ふくは悪くないのに、私が大変だから自分を優先したのだ。家族にすると決めたんだから責任を持たなきゃいけないでしょ。初心忘るべからず。
幸せになってほしくて『福』と名付けたのに。情けない飼い主だ。

他の子にもやさしい、いい子だった。もう少しかわいがってあげればと悔やまれる。