「入常」は外交カードにはならない

町村外相:「分担金削減世論強まる」理事国入りで“脅迫”
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20050728k0000e010058000c.html

【ニューヨーク高橋弘司】「常任理事国になれなかったら、国連分担金を削減すべきだという世論が広まるだろう」。町村信孝外相は27日、国連本部での記者会見でこう発言し、分担金を盾にした“脅迫”との憶測も呼び、波紋を広げている。

 日本は04~06年分として、米国の22%に次ぎ加盟国中第2位の約19.5%を拠出。常任理事国入りを目指すキャンペーンでも「国連への財政的貢献」を強調してきた。このため、英紙フィナンシャル・タイムズ記者が「日本の試みが失敗した場合、財政的貢献を減らすべきだという国内圧力は起こるか」と質問した。

 町村外相は「日本政府の考えではない」と断りながらも、日本で約1週間前に行われたタウンミーティングで「常任理事国入りできないなら、国連への拠出を思い切って削減すべきだ」との意見が出たことを紹介。「このような世論が急速に広まるだろう」と答えた。

 別の外国人記者が「それはある種の脅しと考えていいのか」と突っ込むと、町村外相は「そのような国民の気持ちが強まるのは客観的事実だ」と重ねて強調した。

 これを受け、AFP通信が「日本外相が分担金削減を求める国内圧力に直面と警告」と報じたほか、ロイター通信も「日本が分担金削減の恐れ」などと伝えた。

 国連分担金は加盟国の支払い能力、国民所得、人口などに基づき規定し、定期的に改定されている。米国が80年代に巨額の国連分担金を滞納し問題となったことがある。

という訳です。GJ。終わり。

もとへ。町村外相は以前に「国連には財政的貢献をしているし、赤字国債を発行してまで途上国にODAを出しているなんたらかんたら」と発言していました。それに噛み付いてきたのが中国。ほーら、みんなの大好きな孔泉の写真付きだぞう。(ブラクラ)

http://gb1.chinabroadcast.cn/3821/2004/09/22/148@307388.htm
http://www.fmprc.gov.cn/chn/xwfw/fyrth/t160089.htm

「国連安保理は役員会ではない(安理会不是董事会)」、「払った会費の多寡で組織される訳ではない(不能按交納会費的多少决定其組成)」と毎度毎度念仏のように。というか調べてみると昨日今日言い始めたのではなく、少なくとも去年から孔泉やその不愉快な手下たちが何度も同じ事を言い続けていました。いわゆるG4の動きが活発になってからです。

つい先日には外交部長の李肇星が「国連の権力は第二次世界大戦の結果によるもの」で「ある国は今なお第二次大戦をはっきり認識していない」と日本を念頭に置いた発言をしています。

第二次大戦の戦勝国は中華民国で、国連の分担金を滞納気味の常任理事国が何を言っているのか、日本のODAをアフリカにばら撒く以外に能は無いのか、という向きもあるでしょうが、ここではそれには触れません。

3月の署名運動に始まり、四川のヨーカドーから北京、上海の日本公館襲撃も、発端は「日本の国連常任理事国入りという妄想を打ち砕くため」でした。暴動によるツケは大きく、商務部の心配は的中。(日本語)(中国語)その反動からか、台湾行きの予約が取れません。

何らかの手打ちを行うか、日本からODAとは異なった資金提供を受けるための外交カードとして使う気がなければ、中国の日本の常任理事入り阻止は自国の利益になりません。国是なら話は別ですけど、さすがに反対を明言した韓国ほどイカれてはいないでしょう。その辺はさすが大国です。

中国の思惑は計りかねますが、日本が常任理事国入りを熱望していると踏んでいるなら、1年の手間と日本国を挙げた壮大な釣りに中国はまんまと引っかかってしまったのではないでしょうか。ついに「外交カード」としては使えない事を宣言し、悠々分担金を大幅削減できるようになりました。

ちょっと牽強付会ではありますが、町村外相就任からの壮大な釣り説はいかがでしょう。欧米がカネづるに去られては困ると日本を引き止めるか、中国がどう言い訳をしてくるかは知りませんが、入るも入らないも日本にとっておいしい展開だと思いませんか。出来れば敵国条項削除も一緒にお願いします。
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