国務院通達も無視。あるのは利益追求

6日の事故ですからもう一週間になりますが、また鉱山事故が起きました。山西省です。

原因はガス爆発。17人が火傷や一酸化炭素による窒息によって亡くなりました。鉱山の責任者は既に拘束され、鉱山は閉鎖されています。

これが以前の事故と違うのは、国務院の出した「安全基準を満たしていないヤミ炭鉱は全て閉鎖せよ」という通達が出た後も、無視して操業を続けている点です。もちろんこの炭鉱は許可証などありません。年間採掘量6万トンがどれくらいの規模なのかは分かりませんが、中国はあまりに国土が広いから目が届かなかった、という言い訳はもちろん通じません。癒着ですね。(ソース

山西省のヤミ鉱山跡が面積の7分の1という危ないデータが出てきました。山西省は特に鉱業の盛んな土地ですが、それゆえに事故による死者も多いのですが、それにしても無尽蔵に山を切り開き、採掘が終われば放置と利益至上主義(byネ申)を突っ走ってます。

もちろん安全対策など講じていませんから、モグリ鉱山の周辺は至るところに地割れ。3メートルの地盤沈下で村民が逃げ出した村もあるそうです。この様な野放図な開山で人が住めなくなった土地は山西以外にも見られ、これによる被害は計り知れません。

安徽省淮南市の郷鎮レベルでは、廃墟になってしまい住民がいなくなった場所もあるとか。ヤミ鉱山はそれこそ全国に点在しているでしょうから、これからこういった被害が増えるかもしれません。

山西省は国務院が70億元を投じて、採掘後の「傷口」を何とかしてもらうようですが、モグリ鉱山と地元公務員との癒着はどうするのでしょう。国務院の通達が無視され、堂々と違法行為が続けられていたのですから。(ソース

という訳で、今回も遺族に賠償金20万元が支払われています。(ソース

で、この事故は例外ではないんです。湖北省鄂州では8日に2人が土石流で生き埋めに、今日12日にも黒龍江省双鴨山で9名が亡くなっています。後者は発生直後で詳しくはまだ分かりませんが、前者は国務院の通達を破って操業を続けていたモグリだそうで。
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梅州:炭鉱全閉鎖で座り込み

梅州炭鉱の大事故発生に前後して、各地で安全基準を満たさないモグリ鉱山が生産停止されました。

甘粛省:485ヶ所中282ヶ所生産停止
http://chanye.finance.sina.com.cn/zy/2005-08-05/258635.shtml
安徽省淮南市:5ヶ所が生産停止
http://news.sina.com.cn/c/2005-08-18/22107535074.shtml
雲南省:676ヶ所生産停止
http://news.sina.com.cn/c/2005-08-22/11196751689s.shtml
国家安監局1324ヶ所を生産停止に 一覧公開
http://news.sina.com.cn/c/2005-08-26/21086791513s.shtml

という流れを読んでか、火元の広東省も同様の措置を採りました。

 広東全省の炭鉱生産停止へ 問題の炭鉱は爆破して封鎖
http://gov.finance.sina.com.cn/zsyz/2005-08-22/67502.html

何とも刺激的な見出しです。封鎖は16日から既に行われており、80程度のモグリ鉱山が「閉山」となっていたようですが、どうもやり過ぎたようです。

梅州:鉱山経営者が鉱山の一斉爆破封鎖に抗議(明報8月27日)
梅州:1000人が雨中、市政府庁舎前で座り込み(香港文匯報8月27日)

昨日から、1000人以上の炭鉱経営者や労働者がし政府庁舎前で座り込みを続けています。一斉処理ですから、正規の鉱山も巻き込まれたんですね。そりゃ中にはまっとうな鉱山もあるんでしょう。労働者にとっては良い食い扶持を潰されたのですから、正規だろうが関係なし。

モグリ鉱山経営者も、機材や何やらの設備20億元相当もろともを土砂の中に埋められては黙っていません。梅州市政府庁舎前には、梅州梅江区と梅県にある47の炭鉱から経営者と労働者が押し寄せ、機動隊と衝突したもののいまだ動かないそうです。

彼らは政府による資産の賠償と経済損失の補償、法による執行などを求めているようですが、そんなの無理。20億元+αですよ。しかし、鉱山の税収で潤っているはずの同市が、何を考えて炭鉱を片っ端から爆破したのかは謎です。22日に国務院から出された「国家公務員や国有企業の責任者は1ヶ月以内に鉱山から手を引け」というおふれが、何か関係しているのでしょうか。

このニュース、例によって大陸ではスルーされてます。いやあ、どうやって収拾を図るんでしょう。
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炭鉱は中国の縮図

罰則厳しくすれば闇炭鉱は無くなる!と、中央が本気で思っているとは考えられませんが、鉱山事故による死亡者が続出する中国。そんな現状を打破すべく、当局がついに立ち上がりました。

 国務院:鉱山投資の公務員厳罰に
http://hk.news.yahoo.com/050823/12/1fv4o.html

広東省興寧などの炭鉱事故の後、次第に官民の癒着が明らかになってきた。国務院は株式化した炭鉱に投資している国家機関の公務員や国有企業の責任者に、9月22日までに投資を引き上げるよう通達を出した。違反すれば処罰される。

この通知は無許可、安全基準に満たない、証明書が不完全、規則に基づかないガスの監視・測定機能と排出機能が無い、などとにかく同省にある危ない鉱山はとりあえず操業停止にして調べ倒すことにした、よろしく。としています。

安全重視なら、癒着がどうとか言う前に言う前に国家安全監査局は安全基準を見直したり、鉱山へ立ち入り検査に入っているはずですけどね。しかも大興鉱山は前科者。完全にポーズです。

まあ、徹底的にやるらしいので、どれくらい徹底できるのか見てみましょう。

もう一つ。

 山西省政府、違法鉱山の死亡者1人に百万元の罰金
http://news.sohu.com/20050823/n226761178.shtml

山西省では今年7月末までに、落盤などの鉱山事故が90回発生し、316人が死亡、10名以上が一気に亡くなった「特大」事故は6回で、その6回で183人が犠牲になっています。

山西省政府は度重なる鉱山事故に、モグリ鉱山への罰則は操業許可証没収だけではなく、1人当たり100万元の罰金を科すことを決定したと報じられています。

この山西省は例の相場(1人20万元)を作った先駆けだそうで、今回の罰金はこの「相場」とは別に持っていかれるようです。しかし、罰金ということは家族には行かないんでしょうか。

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こういった事故が起きるたびに、「国内外へのイメージに傷が付く」とあさっての方向に心配を示す記事が稀にでます。実際にはどこかのエラい人がそう言っているんですが、これは外国に一番触れられたくない人権問題に関わってくるからなんでしょうね。労働体制がまず奴隷状態。記事になればどれもが派手な規模で紙面を飾りますし。

モグリ鉱山で労働に従事するのは民工、それも農地を奪われた失地農民。これからますます増えるエネルギー需要に次世代エネルギーへの転換の遅れ、とりあえず増えるモグリ鉱山、そして官民の癒着と、何となく中国の問題がここに集結しているような。

第一検査のための操業停止なんて出来ないでしょ。2週間で汚水垂れ流しの工場が操業再開する国なんだから。問題より目の前の税収。落盤や浸水で何人死のうが知りませんけど、環境汚染だけは日本がモロに被害を受けるので、こればっかりは対岸の火事と笑ってられないのですが。
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梅州鉱山事故:人災でした

10日ほど放置していました、広東省梅州の鉱山事故です。

 広東省:採掘権の乱発を認める
http://hk.news.yahoo.com/050815/12/1flo1.html
 広東安全監督局「興寧炭鉱事故を検討」
http://www.thebeijingnews.com/news/2005/0816/05@001503.html

既に死体が2体発見されているこの大事故ですが、15日に広東省安全生産監督管理局が、大興炭鉱(1ヶ月で2度事故を起こした鉱山の持ち主)が安全生産の許可証を受け取れなければ生産停止となり、中央の出した目標達成をできないだろうと考え、正式な採掘許可を受けないまま発掘させていたことを認めました。

「法的観念が薄かった」(by陳建輝局長)

のはいつもの事ですが、この局長もクビですね。さようなら。しかし、これだけではないようで。

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違法に鉱山経営を続けるにはそれなりの協力者が必要です。7月にも1度事故があって死者が出ましたが、採掘を続けられていたのもこの協力者のおかげ。安全生産許可証を出したのも採掘に必要な爆薬を融通したのも、協力者のお陰。これは生産停止すると地元を支える税収がストップし、地域発展に影響を与える、などといった心配からではありません。

同鉱山の使途不明金が約15億元に達しており、月収数千元の警官が2900万元もの財産を所持してるといいます。また、65人の株主の半数近くが地元公安、財政、安全管理などの公務員やその家族親戚が名を連ねていたとも。一部は中央や広東省の捜査の手が及ぶ前に逃げました。

(リンク:

曾雲高という炭鉱の董事長は、農民の出で中卒。そこから懸命に働き警官を経て炭鉱のオーナーになった。数百万元もの寄付もした。までならサクセスストーリーでした。

興寧市人大代表に選出され、梅州の人大代表にも推薦された経歴から、15億元もの使途不明金は警官のように彼らの懐に入るか、賄賂として使われていたと推測されます。

お金持ちが捕まるとその自宅を拝見するのは中国も同じのようで、3階建て12部屋の豪邸が紹介されています。他にも数軒別荘があるとか。現在自宅で監視を受ける董事長は、そのうち別の別荘に入る訳ですが。

年産60~80万トン、2000名の労働者と億単位の資産を抱える鉱山の董事長です。彼は興寧経済発展の貢献者として、表彰もされた地方豪族です。これでは何度生産停止命令を受けてもすぐに復帰できたのも無理からぬこと。典型的な土皇帝(地方豪族)ですねえ。

(リンク:

そのツケがこれ↓

広東鉱山事故:水を抜き取るのに600日 工員の生存絶望
http://news.sohu.com/20050819/n226722100.shtml

でもね、1人20万元だから余裕。123人で2460万元だから。記者にばれたっていいんだし。

 記者?数百名 河南へ「口止め料」受け取りに
http://news.qq.com/a/20050819/001080.htm

全国クラスのメディアを名乗ると500元から1000元、省クラスなら500元を限度に、市クラスなら200元だそうです。480人が殺到したとか。

この事故の後では、吉林で発生した16人が生き埋めになった事故など霞みますねえ。
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モグリだ、ヤミ炭鉱だ

広東省梅州市興寧の鉱山事故の被害者が、123人に上方修正されました。やはり外地人が過半数を超えています。(リンク)。また、梅州市長と、梅州が直轄する興寧市の市長が、闇炭鉱を野放しにしていたとして職務を解かれました(リンク)。

興寧市長は先月の事故の際に「鉱山のエラい人は逃げたが、政府はまだここにある。絶対に2度目は起こさない」とカッコよく語っていたばかりの大事故でした。

こいつらが鉱山のエラい人と共にイケニエとなるんですね。現在65名の炭鉱職員が逃亡中。早く出頭しないと知らないよー、法的手段取っちゃうよーという当局の恫喝付きです。

今から山西省の炭鉱事故を振ろうとしているんですが、その山西でもモグリ炭鉱における死亡事故が7月30日、31日に起こっています。

30日に汾西県で2人が溺死。31日には原平市で一酸化炭素中毒が原因で亡くなった6人と合計で8人が死亡。すでに原平市政府と遺族の間で少なくとも20万元の賠償金が支払われています。お、ここでも相場適用。

で、山西省の話。8日に福建省福州でバスが爆破され、1人が死亡した事件について、昨日のエントリーで少しだけ触れましたが、同じ8日に山西省で連続して爆発事件が発生していました。自爆テロ風味ではありませんが。

午後2時。汾西県の炭鉱付近で爆発し、10人以上が死亡という通報がありました。実際は1人が軽傷を負っただけとのこと。この暑さで、発破用の火薬が自然発火したんでしょうか。

午後5時。同じ汾西県の別の炭鉱で爆発が起こります。地元の郷政府は「状況は不明」と記者の電話取材に応えています。

そして2時間後の午後7時。汾西県、またです。闇炭鉱が爆発したそうで、「200箱という大量の爆薬が爆発した。いっぱい死んでる。早く来い」という電話によるタレコミが入りました。しかし現場には「道路事情」でたどり着けませんでした。住民が事件に対しなぜか口を閉ざしており、真相は分からないまま。

しかし、汾西県は7月25日にも炭鉱が爆発して7人が死んでおり、「隠蔽される前に」と、前回の事故で家族を亡くした遺族がタレこんだんでしょうか。闇炭鉱ですから、事件が起こっても闇から闇へ、なんてのはザラなんでしょうね。8人が死亡した事故も汾西県でのもの。山西晩報の記者は「引き続き追っかける」としていますが。汾西県、何があるんでしょうか。
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