所詮は60年前のことです

 中日50年戦争「中国人は何を覚えておくべきか」
http://news3.xinhuanet.com/comments/2005-07/06/content_3180909.htm

今年は抗日戦争勝利60周年である。日本は1894年の日清戦争から1945年8月15日に降伏するまで、中国に対し半世紀にわたって侵略をした。8年間の抗戦勝利は中華民族50年の日本侵略戦争に対する勝利である。

この歴史性の勝利を記念する時、我々中国人は国の恥を忘れないことと日本人に反省を促す以外に、過去のはっきりしない認識から気付き、永遠に歴史の教訓を忘れないようにしなければならない。

というような特大電波文章が新華社に載ってました。他には特筆すべきことは無く従来どおりの主張が並んでいます。共産党の輝かしい抗日の歴史ですね。

しかし、50年戦争とは大きく出ましたねえ。100年戦争は100年間ずっと戦争をしていた訳ではありません。そんなことをやれる国力があれば、今頃世界中が英仏の植民地です。1年戦争でも1年間ずっと戦争してなかったはずですけどねえ。

ともかくそんなことを50年もやっていれば、今頃日本も中国も存在しないでしょうね。そもそも抗戦って、日清戦争で一旦終わってますけど。塘沽協定も無視ですか。日中戦争勃発まで、中華民族は何と戦ってたんでしょうか。シャドウボクシング?

とコメントも適当になりそうですが、この特大電波を放っているのは徐学江、新華社アジア太平洋支局長です。他にも彼の書いた文章を読むことが出来ますが、読まない方がいいかも知れません。もちろん新華社の人間が書く文章ですから電波が強力で当たり前なんですが、これをいい大人が書いていると思うと。誰ですかねえ、50年戦争とか最初に考えたのは。

抗日戦争勝利60年の今年、「輝かしい歴史の強調をしていく」は先日発表されましたが、これはいかにも取ってつけたような印象しかありません。もうちょっと程度を上げてもらうと、外国人にも信じてもらえると思いますが、いかがでしょうか。

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(大幅加筆のため、タイトルを修正しました)

新華社も頑張って国の恥を忘れないようにしようキャンペーンに参加していますが、忘れちゃってる人もいるみたいですよ。

 北京市民の半数 「盧溝橋事件」はいつか不明
http://www.chinanews.com.cn/news/2005/2005-07-06/26/595718.shtml

北京晩報と北京市社情民意調査中心が中国人民抗日戦争勝利60周年の記念に、先日行った調査によると、半数近い市民が「盧溝橋事件」は何年に発生したか知らないという結果が出た。半数が知らないとは、どういうことだろうか。

どういうことでしょう。以下は調査の結果です。

 「盧溝橋事件」が何年に発生したか
(1937年7月7日だということを)知っている:56,5%
(日時がわからないなど)知らない:43%

 「盧溝橋事件」は
中国軍が盧溝橋で日本侵略者の侵攻を受けた事件:84,3%
日本軍が東北部を侵略した事件:4,6%
知らない:9,1%

素晴らしい歴史認識です。なんで満州に戻る必要があるのか、地図の読み方を知らない中国人は少なくありませんが、それも関係してるかもしれません。毎年こういった日を避けて新製品を出したりしている日本企業の徒労がうかがえる結果です。おととしでしたっけ、キャノンが噛み付かれたのは。

「何をされたか」分からないまま、盧溝橋に動員されている人間もいるんでしょうかねえ。年齢別など重要なデータがいつものように不足していますが、知らないと答えた層は若者なんでしょうか。でも、

抗日戦争の英雄を尊敬する:99,1%
教科書事件、靖国参拝は中国人の感情を傷つけた:94,5%

どこで戦ったか分からないがとりあえず尊敬し、神社には位牌があると信じ、教科書に何が書いてあるか知らないが、新聞に傷ついたと書いてあるので傷ついたナイーブな人が多いようです。抗日戦争の英雄は大多数が国民党ですが、そこは「中華民族」で乗り切ります。爆弾抱えて突っ込んだとか、おとぎ話レベルの英雄じゃないですよ。ちゃんと軍を指揮して戦死した人のことですよ。

記事の最初に「どういうことだ」とのみ、記者の本音(=中共)が出ていますが、単に教育が足りないんじゃないでしょうか。「反ファシズム勝利」を一人で祝うために、これから華やかな行事が目白押しなんですが、こんな調査結果で早くもつまづいた気がします。

数字などいくらでも操作できたのに、バカ正直に出したんでしょうか。先に挙げた新華社の記事が空しいですねえ。
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