いよいよ「抗日戦争勝利記念日」

8月13日に、建国以来最大のラジコン飛行機大会を開催した中華人民共和国。空戦を模したものだそうですが、中共が空軍を持ったのは戦後です。記事では「中国持っていた空軍」とごまかしてます。(リンク

こういった催しは、見る人に合わせるものですから、細かい部分はいいじゃないかと言えばそうなのかも。ただ、1機10万円程度のラジコンが何機飛ぼうと、航空ショーなんかとは比べられないしょぼさです。満足でしょうか。

これは国民党が戦った第二次上海事変(八・一三事変)勃発に合わせて開催された空中戦だとか。理由はともかく、祝える日がいっぱいあるというのは良い事ですね。

さて、来週の土曜は皆さんお待ちかねかどうか分かりませんが、「抗日戦争勝利60周年」の記念日である、9月3日です

 抗日戦争勝利60周年記念式典 9月3日天安門広場で開催
http://news.sohu.com/20050826/n226786846.shtml

「アジアのビクトリーデーはヨーロッパのそれとは異なり、マイナスのイメージしか喚起させない」と、どこかで誰かが書いているのを目にしましたが、そもそもこれは「アジアの」ビクトリーデーなんですかね。明確な勝者がいないのはお互い様だし、「反ファシズムの東方における主戦場での活躍」も、よその国の人にとってみればふーんてなもんでしょ。

ロシアで5月に行われた式典と決定的に違うのは、政治色がより濃厚であり、各国首脳クラスの出席が極端に少ない点です。特に後者は世間から認められていない感、をより際立たせます。何度も書いた気がしますが、出席者が「同胞」だけなんてねえ。

その分というか、1976年に毛沢東が亡くなって以来の規模でこの記念行事を開催するそうです。中共、全人代、国務院、政協委員会、軍事委員会が一堂に集まるこの「大政治集会」にかける気合だけはかなりのものです。(リンク

今のところは中共のエラい人と、蝶ネクタイの香港行政長官、阿南氏など各国大使の出席がアナウンスされているにとどまっています。訪米を2日後に控えた胡錦濤と呉邦国ですが、不在の間に何もなければ良いですね。(リンク
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梅州:炭鉱全閉鎖で座り込み

梅州炭鉱の大事故発生に前後して、各地で安全基準を満たさないモグリ鉱山が生産停止されました。

甘粛省:485ヶ所中282ヶ所生産停止
http://chanye.finance.sina.com.cn/zy/2005-08-05/258635.shtml
安徽省淮南市:5ヶ所が生産停止
http://news.sina.com.cn/c/2005-08-18/22107535074.shtml
雲南省:676ヶ所生産停止
http://news.sina.com.cn/c/2005-08-22/11196751689s.shtml
国家安監局1324ヶ所を生産停止に 一覧公開
http://news.sina.com.cn/c/2005-08-26/21086791513s.shtml

という流れを読んでか、火元の広東省も同様の措置を採りました。

 広東全省の炭鉱生産停止へ 問題の炭鉱は爆破して封鎖
http://gov.finance.sina.com.cn/zsyz/2005-08-22/67502.html

何とも刺激的な見出しです。封鎖は16日から既に行われており、80程度のモグリ鉱山が「閉山」となっていたようですが、どうもやり過ぎたようです。

梅州:鉱山経営者が鉱山の一斉爆破封鎖に抗議(明報8月27日)
梅州:1000人が雨中、市政府庁舎前で座り込み(香港文匯報8月27日)

昨日から、1000人以上の炭鉱経営者や労働者がし政府庁舎前で座り込みを続けています。一斉処理ですから、正規の鉱山も巻き込まれたんですね。そりゃ中にはまっとうな鉱山もあるんでしょう。労働者にとっては良い食い扶持を潰されたのですから、正規だろうが関係なし。

モグリ鉱山経営者も、機材や何やらの設備20億元相当もろともを土砂の中に埋められては黙っていません。梅州市政府庁舎前には、梅州梅江区と梅県にある47の炭鉱から経営者と労働者が押し寄せ、機動隊と衝突したもののいまだ動かないそうです。

彼らは政府による資産の賠償と経済損失の補償、法による執行などを求めているようですが、そんなの無理。20億元+αですよ。しかし、鉱山の税収で潤っているはずの同市が、何を考えて炭鉱を片っ端から爆破したのかは謎です。22日に国務院から出された「国家公務員や国有企業の責任者は1ヶ月以内に鉱山から手を引け」というおふれが、何か関係しているのでしょうか。

このニュース、例によって大陸ではスルーされてます。いやあ、どうやって収拾を図るんでしょう。
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炭鉱は中国の縮図

罰則厳しくすれば闇炭鉱は無くなる!と、中央が本気で思っているとは考えられませんが、鉱山事故による死亡者が続出する中国。そんな現状を打破すべく、当局がついに立ち上がりました。

 国務院:鉱山投資の公務員厳罰に
http://hk.news.yahoo.com/050823/12/1fv4o.html

広東省興寧などの炭鉱事故の後、次第に官民の癒着が明らかになってきた。国務院は株式化した炭鉱に投資している国家機関の公務員や国有企業の責任者に、9月22日までに投資を引き上げるよう通達を出した。違反すれば処罰される。

この通知は無許可、安全基準に満たない、証明書が不完全、規則に基づかないガスの監視・測定機能と排出機能が無い、などとにかく同省にある危ない鉱山はとりあえず操業停止にして調べ倒すことにした、よろしく。としています。

安全重視なら、癒着がどうとか言う前に言う前に国家安全監査局は安全基準を見直したり、鉱山へ立ち入り検査に入っているはずですけどね。しかも大興鉱山は前科者。完全にポーズです。

まあ、徹底的にやるらしいので、どれくらい徹底できるのか見てみましょう。

もう一つ。

 山西省政府、違法鉱山の死亡者1人に百万元の罰金
http://news.sohu.com/20050823/n226761178.shtml

山西省では今年7月末までに、落盤などの鉱山事故が90回発生し、316人が死亡、10名以上が一気に亡くなった「特大」事故は6回で、その6回で183人が犠牲になっています。

山西省政府は度重なる鉱山事故に、モグリ鉱山への罰則は操業許可証没収だけではなく、1人当たり100万元の罰金を科すことを決定したと報じられています。

この山西省は例の相場(1人20万元)を作った先駆けだそうで、今回の罰金はこの「相場」とは別に持っていかれるようです。しかし、罰金ということは家族には行かないんでしょうか。

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こういった事故が起きるたびに、「国内外へのイメージに傷が付く」とあさっての方向に心配を示す記事が稀にでます。実際にはどこかのエラい人がそう言っているんですが、これは外国に一番触れられたくない人権問題に関わってくるからなんでしょうね。労働体制がまず奴隷状態。記事になればどれもが派手な規模で紙面を飾りますし。

モグリ鉱山で労働に従事するのは民工、それも農地を奪われた失地農民。これからますます増えるエネルギー需要に次世代エネルギーへの転換の遅れ、とりあえず増えるモグリ鉱山、そして官民の癒着と、何となく中国の問題がここに集結しているような。

第一検査のための操業停止なんて出来ないでしょ。2週間で汚水垂れ流しの工場が操業再開する国なんだから。問題より目の前の税収。落盤や浸水で何人死のうが知りませんけど、環境汚染だけは日本がモロに被害を受けるので、こればっかりは対岸の火事と笑ってられないのですが。
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今さらながら、中国産って危ない

これも久々、暴動。

まず続き物です。確か当ブログでは扱っていなかったと思い過去ログを見てみると、やはりスルーしていたので簡単に経緯を。

浙江省長興県にある浙江天能電池有限公司が、20年に渡って付近の環境を汚染し、200人の児童の健康を破壊されキレた村人600人が工場を襲撃し工場労働者1000人を人質にとり、工場はあえなく生産停止。村人は当局に改善を要求しました。

梅州の大興炭鉱と同じく、当局は「村民の行動はいささか過激すぎる」と地元の税収を支える企業寄り。話し合いが行われたものの、「国家環境局の基準を満たしている」と強気の姿勢を崩さない企業とどこまで折り合えるのか、というところで続報が途絶えました。(リンク

 工場汚染が衝突の引き金に 村民100名以上が負傷
http://the-sun.orisun.com/channels/news/20050822/20050822020416_0001.html

というところで約2ヶ月たったおととい。二週間にわたった汚染の調査後に企業側は生産を再開。恐らく村側の同意なしか満足な結果を出すことなくの強制再開でしょう。そこで、数百人の村人が工場へ抗議に向かい、工場の閉鎖か移転を求め抗議活動を再開しました。

工場の入り口までたどり着いたところ、完全防備の警備隊1000人超えと衝突し、村人は投擲と棍棒で応戦、警備隊は催涙弾で追い払おうとします。双方から数百人規模の負傷者が出て、一部は拘束されてました。工場は警備員をさらに動員し、守りを固めてるなど、また以前の緊張状態に逆戻り。一部不満を持つ村民が、夜半に地元政府の弁公室を破壊したと言っているそうです。

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もう一つ。こちらも環境汚染に耐える河南省のお話。

 汚水の残した遺恨 4年で100人死亡
http://orientaldaily.orisun.com/srch_result/498588_btm.html
 河川汚染で湖北にガン病村現る
http://hk.news.yahoo.com/050820/12/1fs0f.html

河南省襄樊市翟湾村は人口3000人。この村に流れる白河は、「黒河」になっているとは村人の証言です。原因は上流の工場が排出する汚染物質。川には魚などおらず、掘った土も異臭がして、ここ数年は川の水を使わなくなったものの井戸水を飲んでも腹を壊すとか。地下に染み込んでますね。

調査の結果、湖北省疾病コントロールセンターは川の水は当然飲用には使えず、井戸水にフェノールが基準の4,5倍含まれていたことが分かりました。フェノールは染料でしたっけ。

この村では、この4年で109人がガンで亡くなり、ウチ70数名がまだ30代から50代、10軒に1軒の割合でガン患者が存在するというかなり危ない村です。

白河は湖北と河南の両省の問題であるため協議がもたれましたが、具体的な結果は出なかったとなっています。また、河南省新野件環境保全局は「昨年原因となった製紙工場を閉鎖したが、まだ一部の工場が生産を続けている」「法律が弱く、企業の環境汚染を発見しても、すぐにやめさせられない」と話しています。

上流の新野県には汚水処理施設が存在せず、すべて「白河」、いや「黒河」に垂れ流されているとの事。おいおい。

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という2つの汚染事件を踏まえて、下の記事をご覧下さい。

 中国産ウナギ カリフォルニア州が全面回収
http://hk.news.yahoo.com/050820/12/1frwu.html

カリフォルニア州が中国から輸入したウナギから発がん性物質のマラカイトグリーンを発見し、回収したというニュースがありました。生産されているのは、福建、江西、安徽。実は私はウナギのその美味さを知らずにこれまで過ごしてきたのですが、食ってみると意外と美味いんですねえ。もちろん、食べたのは国産ですよ。

というわけで、土用の丑の日に中国産を食べたと思われる方はご自愛ください。
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梅州鉱山事故:人災でした

10日ほど放置していました、広東省梅州の鉱山事故です。

 広東省:採掘権の乱発を認める
http://hk.news.yahoo.com/050815/12/1flo1.html
 広東安全監督局「興寧炭鉱事故を検討」
http://www.thebeijingnews.com/news/2005/0816/05@001503.html

既に死体が2体発見されているこの大事故ですが、15日に広東省安全生産監督管理局が、大興炭鉱(1ヶ月で2度事故を起こした鉱山の持ち主)が安全生産の許可証を受け取れなければ生産停止となり、中央の出した目標達成をできないだろうと考え、正式な採掘許可を受けないまま発掘させていたことを認めました。

「法的観念が薄かった」(by陳建輝局長)

のはいつもの事ですが、この局長もクビですね。さようなら。しかし、これだけではないようで。

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違法に鉱山経営を続けるにはそれなりの協力者が必要です。7月にも1度事故があって死者が出ましたが、採掘を続けられていたのもこの協力者のおかげ。安全生産許可証を出したのも採掘に必要な爆薬を融通したのも、協力者のお陰。これは生産停止すると地元を支える税収がストップし、地域発展に影響を与える、などといった心配からではありません。

同鉱山の使途不明金が約15億元に達しており、月収数千元の警官が2900万元もの財産を所持してるといいます。また、65人の株主の半数近くが地元公安、財政、安全管理などの公務員やその家族親戚が名を連ねていたとも。一部は中央や広東省の捜査の手が及ぶ前に逃げました。

(リンク:

曾雲高という炭鉱の董事長は、農民の出で中卒。そこから懸命に働き警官を経て炭鉱のオーナーになった。数百万元もの寄付もした。までならサクセスストーリーでした。

興寧市人大代表に選出され、梅州の人大代表にも推薦された経歴から、15億元もの使途不明金は警官のように彼らの懐に入るか、賄賂として使われていたと推測されます。

お金持ちが捕まるとその自宅を拝見するのは中国も同じのようで、3階建て12部屋の豪邸が紹介されています。他にも数軒別荘があるとか。現在自宅で監視を受ける董事長は、そのうち別の別荘に入る訳ですが。

年産60~80万トン、2000名の労働者と億単位の資産を抱える鉱山の董事長です。彼は興寧経済発展の貢献者として、表彰もされた地方豪族です。これでは何度生産停止命令を受けてもすぐに復帰できたのも無理からぬこと。典型的な土皇帝(地方豪族)ですねえ。

(リンク:

そのツケがこれ↓

広東鉱山事故:水を抜き取るのに600日 工員の生存絶望
http://news.sohu.com/20050819/n226722100.shtml

でもね、1人20万元だから余裕。123人で2460万元だから。記者にばれたっていいんだし。

 記者?数百名 河南へ「口止め料」受け取りに
http://news.qq.com/a/20050819/001080.htm

全国クラスのメディアを名乗ると500元から1000元、省クラスなら500元を限度に、市クラスなら200元だそうです。480人が殺到したとか。

この事故の後では、吉林で発生した16人が生き埋めになった事故など霞みますねえ。
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