ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

太田尚樹 【ヨーロッパに消えたサムライたち】

2007-03-20 | 筑摩書房
 
E姐さまからお借りした本。
そそられるタイトルです。

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 ヨーロッパに消えたサムライたち

 著者:太田尚樹
 発行:筑摩書房
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支倉遣欧使節団といえば、伊達政宗。
政宗といえば、いまだに「独眼竜政宗」。
あのドラマで、支倉は誰が演じていたのだったでしょうか。

それはさておき、行ったことは知っているけれども?という、まさに、この本の想定読者にドンピシャかと思われるワタクシ。
「え、7年もかかっていたのか。」と、そこから驚く始末です。

一行に幕府の諜報員がいたと睨んでいるとか、「日本」を表す「ハポン」という姓の人たちがいて、遣欧使節団の子孫ではないかとか、使節団のそもそもの目的や、支倉常長の当時の立場など、興味深い点はいろいろ。
するすると読み進めていくことができます。
読後、若干残る物足りなさは、この、するすると読めすぎてしまう感じが原因かもしれません。

徳川が実権を握り始めた頃、奥州から政宗が送った使節団には、キリスト教布教、政宗と幕府の微妙な力関係など差し障りが多く、詳細な資料が残されなかったことが関係しているのか、どうも、著者が弱腰。
思い入れは伝わるのですが、引きずり込まれるまでは至らない。
ご自分の本なのだから、がんがんいっていいのに、と思うことしばしばでした。大きなお世話ですが。
奥ゆかしい方なのでしょうか。
冷静を装いつつも、押しの強い学者さんたちの文章にあたることが多かったので、新鮮といえば新鮮。
一巡りしてやっぱり面白かったです。
重責に苦しむ支倉。それぞれの思惑を持つ人々。刻々と変わる世界の情勢。
使節団の名残りが、故国と異国にそれぞれにあることを思うと感慨深いものがあります。

ちなみに、「独眼竜政宗」の支倉さんはさとう宗幸さんでした。
「青葉城恋唄」の。
ちょっとお顔が似ているかもしれません。
イメージ合います。
改めて観てみたい気分。





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2 コメント

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似たような・・・ (pagi_pagi)
2007-03-20 10:54:14
内容の本を読んだことがあるなぁ…と思って本棚を見てみたら、ありました「支倉常長~慶長遣欧使節の悲劇 大泉光一著」というのが。
この本、1999年に出版された本ですが、私がこれを読むきっかけとなったのは、同じ著者の「支倉常長~慶長遣欧使節の真相~肖像画に秘められた実像」という本が去年の和辻哲郎賞を受賞したと何かで紹介されていて、その本が4,000円近い高価な本だったからです。そう、同じようなタイトルだし、同じ著者なんだから新書の方でいいかなぁ~と思ったの。だって、新書は100円だったんだもん(笑)

でも、本はやっぱり読みたいと思ったほうを読まなくちゃね…と思いました。「肖像画に秘められた実像」は、伊達政宗が海外勢力と結んで倒幕を企てたのでは?という話だけではなく、きしさんが「ちょっと似てるかも」と思った国宝の支倉常長像が実は改竄された可能性があるというような、とても興味深い内容のようです。今度パズルの景品で図書カードが当ったら、必ずこの本をGETして読んでみますわ
返信する
むむむ。 (きし)
2007-03-21 00:23:30
>本はやっぱり読みたいと思ったほうを読まなくちゃね…
…ですね。そういう節約、時々やらかして後悔します

すごくおもしろそう。
あの肖像が改竄ですか。気になります~。
この本を読んで下地ができたところですから、今すぐにでもGO!!という感じかも。
でも4000円…。
先生、早くパズルで当ててくださ~い
返信する

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