「あのひと」。
内容がはっきりとわかる一方で、あれやこれやとイメージは拡がるタイトルです。
ついつい、手がでてしまったアンソロジー。
あのひと: 傑作随想41編
編者:新潮文庫編集部
発行:新潮社
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「あのひと」という言葉で思いだすのはどういう方でしょう。
「あのひとと呼ぶとき」というタイトルの文章で、その想いをかきたてたあと、このアンソロジーは「父」と、父への思いを集めた章から始まります。
トップバッターは森茉莉さん。
あまりにも相応しすぎて、ちょっと笑ってしまいそうでした。
続いていくのは、いずれ劣らぬ有名なお名前です。
谷崎潤一郎さん・江藤淳さん・谷川俊太郎さん・星新一さん・白洲正子さん。
林芙美子さん・檀ふみさん・柳田邦男さん・吉田健一さん・萩原葉子さん・江國香織さん。
岡本太郎さん・寺山修司さん・瀬戸内寂聴さん・沢村貞子さん・藤沢周平さん・谷川俊太郎さん。
遠藤周作さん・小川洋子さん・佐野洋子さん・島尾敏雄さん・五木寛之さん・岡本かの子さん。
青木玉さん・田村隆一さん・中島らもさん・三島由紀夫さん・夏目漱石さん・内田百さん。
松本清張さん・吉行淳之介さん・辻仁成さん・澤地久枝さん・五味太郎さん・久世光彦さん。
室生犀星さん・石原慎太郎さん・中原中也さん・須賀敦子さん。
これらの文章が書かれた時は、テーマが先に与えられていたのだろうと思いますが、それにしてもさまざまな「あのひと」がいて、「あのひと」との関係があるものです。
父とくれば母。恩師。
それから思いもよらぬ「あのひと」。
こういう本を読むとやっぱり考えてしまいます。
私の「あのひと」とは誰だろう、と。
誰をどんな思いで、胸に思い浮かべるか。
喜怒哀楽。
愛憎。
案外、「あのひと」への想いの数は、人としての豊かさの目安なのかもしれないとも思ったりして。
でも、忘れっぽいのですよね、ワタクシ。
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