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ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

本を読む彼女。

2009-03-31 | 本にまつわる日々のあれこれ
 
私の朝の通勤バス路線には途中に学校があり、少し時間が遅めなのでさほど多くはありませんが、小学生や中学生が乗ってきます。
今朝、私が立った斜め前の席に座っていたのは中学生の女の子でした。
肩につくくらいまでの髪はふたつに分けて結っていて校則遵守?
一人掛けの席で、友達とおしゃべりするということもないからかもしれませんが、もしそうでなくても、なんとなく、恥ずかしそうに話す子のような雰囲気です。

なぜ、その女の子が気になったかといいますと、珍しく本を読んでいる子だったからです。
参考書を読んでいたり、宿題をしていたりという子はそう珍しくもないのですが、空色のブックカバーをつけた文庫本を彼女は読んでいました。
ブックカバーをつけているというのは、思うほど多くないのです。
たいてい、書店でつけてくれるブックカバーで済ませてしまうでしょう?
そのコレクターの方も多いようですが、私はプレゼントやおみやげでいただいたもの5・6数種類を使っています。
【ブックカバー。全部いただきもの。なぜか全部緑色っぽい。】
 ちなみに中身は、
 『魔王』、
 『文豪怪談傑作選・特別篇 文藝怪談実話』、
 『パスティーシュ』。

ブックカバーといえば、本の洋服屋さんというサイトでは、プリントアウトしてつくるブックカバーがダウンロードできます。
いろいろな種類があってかわいいです。
【ブックカバー】clickで本の洋服屋さんへ。【ブックカバー】clickで本の洋服屋さんへ。【ブックカバー】clickで本の洋服屋さんへ。
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そうかと思うと、西陣織のブックカバー(ミーノンブックカバー)などもあります。
紬の渋いものなどもいいですよね。
本革のブックカバーも、もちろんいいですけれど。
そういえば、ブックカバーのことを書皮というらしいですね。
せどり男爵数奇譚』の中にあった、人の皮で装丁する職人さんの話をちょっと思いだしてしまいました。

さて、空色のブックカバーの女の子。
開いているページを何の気なしに眺めると、少女向けのライトノベルという雰囲気でもありません。
短編集なのか、ちょうどひとつの作品が始まるところのようです。
『幸せという言葉を聞くといつも思いだす風景がある。』
書き出しの一文は、こんな雰囲気。
タイトルは『花と嵐と』。
…だったような。
シチリアへ彼と旅行に行った直後に、一度だけ会ったことのある彼のお母さんが亡くなって、そのお母さんをまぶしいような印象で思い出すというような感じ。
…だったような。

大人だなぁ。中学生の彼女。
私が中学生のころはコバルト文庫を読んでたぞ。
今は亡き氷室冴子や、当時、話題を振りまいた新井素子とか。
それだけじゃなかったはずですが、今現在ですら、彼とシチリアに旅行に行くような小説は読んでいないような気がします。
そもそも「彼」が出てくるようなものを読んでいないのではないか?(ほんとに読んでなかった。)
まあ、いつ、どんな本を、どんなふうに読むかは人それぞれでよいはずなので、とやかく言う筋合いも、言われる筋合いもない。
でも、彼女が『クララ白書』の楽しさも知っているといいなぁとは思います。
今の私が読んだら、楽しいというより、懐かしさで、もしかしたら泣きそうになってしまうかも。
これは明らかな年齢差ですよねぇ。
本に対象年齢があるのではなく、読む方の年齢に対応した読書体験があるだけということなのでしょう。
彼女は、その本をどのような思いで読んでいたのでしょうか。
確認できるわけもなく、彼女は丁寧に栞紐をページに挟んで降りていってしまいました。
残された私のほうは、これから仕事だというのに乗り物酔い。
バスの車内で文字を見ているとすぐに気持ち悪くなってしまうので、極力しないようにしていることだったのですが。
おかげで午前中は使いものになりませんでした。
面目ない。



 
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ブックカバー♪ (koharu)
2009-04-01 10:27:17
>そもそも「彼」が出てくるようなものを読んでいないのではないか?(ほんとに読んでなかった。)
・・・という記述に笑いました。
私もです。

読んでいたのは、コバルト文庫系以外は、ミステリーとファンタジーと歴史物。
『彼』が入り込んでくる余地がない(笑)

>でも、彼女が『クララ白書』の楽しさも知っているといいなぁとは思います。
ええ。『くだらない』といわれてしまうかもしれませんが、思い返せば、自分自身を作ってきた本として欠かせない一冊だと思うのです。

ところで、ブックカバー屋さんなどという素敵なサイトがあったのですね。
これから活用させてもらおう。
ちなみに、地元の老舗本屋である有隣堂さんは、十色ばかり色違いの文庫のブックカバーを揃えてくれておりまして、文庫を買うと、好きな色を選ばせてくれます。

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読書 (るい)
2009-04-01 19:47:57
感心な娘さんですね~。携帯小説なんぞ断じて読書とは認めん!と机を叩く勢いで思っているもので…。
ブックカバーも素敵なものが色々あるんですね。私は持ってないんですが、今度注目してみます。
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電車ならまだしも (narkejp)
2009-04-01 21:38:18
バスで本を読むなど、考えるだに気持ち悪くなりそう(^o^;)>poripori
午前中は使いものにならなかったきしさんと同じく、バスの中では音楽と決めておりまする。
当方の中学生時代は、『車輪の下』や『こころ』なども読んでいたが、好きだったのは、いずれも縮訳版『スイスのロビンソン』だとか『三銃士』、『ゼンダ城の虜』、『紅楼夢』などだったなあ。男の子には、ジュニア小説というものはございませんでしたので(^o^)/
その中学生のお嬢さんはですね、生まれたときすでに大人で、しだいに若返るという人生をたどっているのかもしれませんよ(^o^)/
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koharuさま (きし)
2009-04-01 23:45:51
自分自身を作ってきた本。
ああ、ほんとにそんな感じかもしれませんね~。
今、ほんとに読んでみるのもいいかなとおもってみてみましたら、軒並み値上がりしてました。当時のコバルトとかはもう少ないのでしょうね。

ブックカバー、いいなと思って見ているのですが、いかんせん、プリンタが不調。
見るだけになっています。残念。
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るいちゃん (きし)
2009-04-01 23:50:34
るいちゃんは外で本読まないからね~。単行本も多いし。
携帯小説は、私もちょっとパスだな。机までは叩かないけど、本はやっぱりちゃんと本じゃないとヤダ。
携帯小説は、やっぱり携帯で書くのかしらね。
でなけりゃ、ああいう文章にはならないよねぇ。
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narkejpさま (きし)
2009-04-01 23:59:35
そう。電車はまだ大丈夫なんですよね。不思議と。揺れが違うというか。
バスはテキメンです。読める人が羨ましい。
それにしても『車輪の下』ですか!私はいまだに読んでいません。たぶん、これからも…。
『こころ』はおもしろかったですけど。あ!『ゼンダ城の虜』はおもしろかった!
少年少女文学全集で読んだものを子供向けじゃない版で読むと、また別の印象でおもしろいですよね。
それにしても、あの子にどんな本を読んでいるのか聞いてみたかったですわ。若返っているかも(笑)
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