先日読んだ本のタイトル『幻想建築術』からの連想、玉突き読書です。
著者の藤森さんは路上観察学会の一員の方でもありますから、楽しんで読める入門書に違いなく、しかもちくまプリマーですし。
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フジモリ式建築入門
著者:藤森照信
発行:筑摩書房
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…という思い込みのもとに読み始めた本でしたが、これがまた、面白い本でした。
もしかしたら、私は、それぞれの時代の建築についての断片は読んだことがあっても、建築史として流れを追うものを読んだことがなかったのかもしれません。
しかも、この本は、人類の歴史と建築を密接にリンクさせて考えていくようになっており、建築そのものに対しての知識がなくても、興味が途切れることなく読み進めることができました。
まずは人類が火を得たところから、各地のピラミッド型の建築の成立までで一区切り。
それがこのように締められています。
『旧石器時代末期の洞窟内部空間にはじまり、新石器時代の立柱による高さと存在感の獲得をへて、青銅器時代のピラミッドによる立体造形の極限まで、人類は一万五千年かけ、建築というものを生み出すはじめての実験をした。』
ここでラスコーの洞窟や、エジプトのピラミッド、日本の神社や古墳、イギリスのストーンヘンジや、アステカやマヤのピラミッドについてが語られています。
次の実験は、ギリシャの神殿に始まるヨーロッパでの建築の歴史。
さらに次では日本で住宅の歴史をたどります。
神の住まいとしての建築と人の住まいとしての建築。
著者はそこに、「誕生→成長→成熟→老化」という生き物のような自律性を読みとり、建築の変化には、従来言われてきた思想や政治・経済といったような社会との関連だけでなく、建築独自のルールで決まっていくのではないかとします。
なんだかとてもカタい本を読んだような印象の文章になっていますが、ほんとうはそうでもないのです。
語り口は軽やかでどことなくユーモラス。
あとがきにはこうありました。
「十九世紀の末、世界の建築は有史以来初の激変に襲われ、人類の建築創生をゼロからやり直さなければならなくなった。一〇〇年におよぶその試行錯誤の体験を語るにはもう一冊が必要になる。」
気になりますが、とりあえず、入門の後ですから、これ?
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人類と建築の歴史
著者:藤森照信
発行:筑摩書房
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講演もおもしろそうですね、歯切れよさそうで。
おそらくnarkejpさんが読まれた本よりざっくりしているのだろうと思うのですが、まさに入門ということで、とても楽しく読みました。
下巻、見つかるといいですね。店頭で探すのは出会えた時が嬉しいですから。