長く日本人と共にある日本刀。
武器であると同時に、贈り贈られるものでもあったことに着目し、その実例をたどるという1冊です。
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名刀と日本人
刀がつなぐ日本史
著者:渡邉妙子
発行:東京堂出版
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「祝う」、「守る」、「絆」、「節刀」、「褒美」、「分捕る」、「恩に報いる」、「伝える」という八つの章に分けられ、それぞれ資料のなかに現れる日本刀があげられていきます。
たとえば、「祝う」の章では将軍の世継ぎが誕生した時に大名が献上した刀の数々。
「守る」では、あったかもしれない第三次の蒙古襲来から国を守るための刀や、家康が西に向けて安置せよと命じた刀。
「節刀(せっとう)」は天皇が出征する将軍に授ける任命の節(しるし)としての刀のことだそうで、とりあげられるのは征夷大将軍として節刀をうけた坂上田村麻呂や近代の東郷平八郎。
いずれ劣らぬ名工の作である刀に秘められただろう思いが、その格や刀工の名、その刀と持ち主との間に残る逸話などから読みとられていきます。
中心はやはり鎌倉時代から江戸時代の武士の時代。
有名武将の関係性を刀のやりとりという側面からみることになります。
どのような刀を選ぶかで伝わるものがあるのは、刀の価値を共有できたからこそでしょう。
その強さ、その冴え冴えとした美しさ。
多くの人の手を渡るうちにたくさんの物語を蓄えた刀があり、それとは逆に秘蔵され続けたからこそ名工の技をそのまま伝える刀もあります。
次々と名刀の名前が登場。刀そのものについては、それぞれの文章の最後にその特徴などの説明文がついています。このあたりは、用語の詳しい説明もありませんでしたので、日本刀をある程度知っている方たちが読者として想定されているのかもしれません。
ものによっては写真や写しの絵がありましたが、正直いって物足りない気分で、実物がみたいとつくづく思わされてしまいます。
みれば綺麗だとしみじみ思う日本刀。
表紙の印象と、シンプルなタイトルそのままにとてもすっきりとした印象の本でした。
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