ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

クラフト・エヴィング商會【じつは、わたくしこういうものです】

2015-01-14 | and others

いかにもクラフト・エヴィング商會!という1冊です。

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 じつは、わたくしこういうものです

 著者:クラフト・エヴィング商會
 発行:平凡社
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目次をぱらぱら。
『秒針音楽師』?『果実勘定士』?『三色巻紙配達人』?
架空の職業人にインタビューをしていくというこの本を読みながら、ああ、こんな職業があったら、そしてそれになれたらいいだろうなぁとつい思わずにはいられません。
でも、それはないからこそ、いいなあと思うもの。
さすが、『ないもの、あります』のクラフト・エヴィング商會です。
全部あげたくなりますが、それでは読む楽しみがなくなるというもの。
読まないまでも、目次をぱらぱらする楽しみまでも可能性を潰しては申し訳ありませんから。

ちなみに『果実勘定士』は言葉のとおり、果樹に実る果実を数えるという職業。
だだし、実ってからじゃあ、ないのです。
これから実る数を数えることができる。
世界中を巡って、様々な果実の数を数えていく果実勘定士の幸田さん。
インタビュー記事にはもちろん写真つきです。

写真はクラフト・エヴィング商會の本ではおなじみの坂本真典さん。
何から何まで、すべてが架空という本ではありますが、それぞれの職業人として登場する方たちは、その職業の雰囲気を確かに持つ方たちばかり。
雰囲気のある佇まいとと表情。
俳優さん、女優さんではなく、ごく普通にお仕事をされている方たちなのに、ほんとにそれらしく見えてしまいます。

本の中の人たちはみな、自分のお仕事に誇りを持って語ります。
運命的に出会ってしまったり、確固たる意志で選んだり。
こんなふうに仕事に向き合うことができればいいのに。
風変りで楽しそうな仕事自体もですけれど、それが何よりも羨ましいことに思えました。

もう文庫化されています。文春文庫。

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 じつは、わたくしこういうものです

 著者:クラフト・エヴィング商會
 発行:文藝春秋
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文庫も手軽でいいですが、これは古本でもよいから、大きい本のほうがおすすめです。
ちなみに、2015年1月14日現在、Amazonでのused最安値は13円!
うわぁ。13円って…。






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