司修さんは1936年生まれ。画家で装丁家で作家という方です。
そういう方が書かれたこの本は、ご自分の関わった本と作家について語られたもの。
本の魔法
著者:司 修
発行:朝日新聞出版
Amazonで詳細をみる
とりあげられている作品は、戦後の文学、まさに「文学」という言葉が似合うものでした。
古井由吉『杳子・妻隠』、武田泰淳『富士』。
埴谷雄高『埴谷雄高全集』『埴谷雄高ドストエフスキイ全論集』。
島尾敏雄『硝子障子のシルエット 葉篇小説集』『死の棘』、中上健次『岬』、江藤淳『なつかしい本の話』。
三島由紀夫『癩王のテラス』、森敦『月山』、三浦哲郎『白夜を旅する人々』。
真壁仁『修羅の渚――宮沢賢治拾遺』、河合隼雄『明恵 夢を生きる』、松谷みよ子『私のアンネ=フランク』。
網野善彦+司修『河原にできた中世の町――へんれきする人びとの集まるところ』。
水上勉『比良の満月』『寺泊』、小川国夫『小川国夫作品集』『弱い神』。
読んでいるかと問われれば、恥ずかしながら知っているだけで読んだことはないものがほとんど…というしかなく、一番馴染みがあったのが網野善彦先生だったという、なんというか畑違いの感がある状態。
でも、読んだことのあるなしに関わらず、この本自体は興味深いものでした。
1冊の本を装丁するということは、これほどに作品と作家に深くつながることなのかと改めて知らされる思いです。
作品の核をぎゅっとつかんで、それを目に見える色や形、イメージで表す装丁という仕事。
この方の仕事は、まるでその作品を別の形で書くようなものであったり、作家その人そのものを読み説くようなものであったりさえするようです。
圧倒的。
装丁をする方たちはもしかしたら皆さんそうなのかもしれませんが、作家でもある著者はそれを文章でも表現することができるのです。
この本の中に表れる作品と作家の姿、作家とのつながりから生まれる著者自身の思い。
装丁という仕事を語るところから始まって、いつの間にか別のところへ連れてこられてしまったような気持ちになりました。
がっつり読まされてしまった1冊です。
ちなみに、この文庫の表紙でお人形が読んでいる本は、この本が単行本の時のもの。
単行本の時には、カラーページがあったのでしょうか。
ちょっと気になります。
殆ど読んだことのない作家作品ばかりだったけど、作家たちの交流の裏話は興味深い。
特に郷土の詩人真壁仁だけは割と読んでいるので、懐かしいような切ないような。
お察しのとおり、表紙が実際に装幀した作品になっていますが、とっても小さいので、よく見えない。
実際の本を探してみようかな。
って気にさせるのも、想定のうちかしら。
こんなに長く…。
読んで下さったのですね。しかも、話したすぐ後。
M女史にはまさに「興味深い」って言ってもらえそうな気がしてました。
ありがとね。
本の実物、みてみたくなりますよね、やっぱり。
パタッと更新がとまっていましたので、心配しておりました。まずは、良かった良かった!
仕事を変えてから毎日のペースがつかめず、本を読み進められずにいます。元気は元気なのですけれど。
せめて夏が終わる前にペースを取り戻したいです。切実に。