ずいぶんと長いこと読んでいました。
正確には読みさしにしていた本です。
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バジリスクの魔法の歌
著者:パトリシア・A・マキリップ
発行:東京創元社
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どれくらいかというと、同じくパトリシア・A・マキリップの『影のオンブリア』を読んだ後からなので、2012年の12月過ぎから、去年どころか一昨年?!
うわ、遡ってみて自分で驚きました。
こんなに放っておいて、すごくおもしろかったというのはあまりにもウソくさい話ですからあんまりいろいろ言えませんが、読みさしにしておいたところから読み継ぎ始めることができたというのは、意外にすごいことなのではないでしょうか。
読み返さなくても大丈夫だったくらい、その印象が鮮明。具体的ではないのに、いかにもファンタジーっぽい雰囲気です。
始まりは灰の中で見つかった子供。
惨殺された一族の生き残りである彼は、今となっては禁忌となったその名を隠され、都から隔絶された島に隠されます。
その島は、吟遊詩人たちの島。
風に、岩に、世界のすべてに歌を聴く人々が、それぞれの楽器を手にしながら生きていました。
闇の目をもつその子供は、島で静かに育っていくのです。
炎の中の記憶を、自分では思い出すこともできないほど深く押し込めて。
なぜ、彼は炎の中にいたのか。
生き残りの子供。そしてその子が身を隠さねばらなぬとしたら、その先にあるのは、その子供の覚醒と復讐であろうことは、読み始めの時からわかります。
でも、それをはぐらかすような進みの遅さは、本筋を忘れさせてしまうほど。
物語は、ちりばめられた数々の音楽を背景に高く低く響かせながら、少しずつ過去を明らかにしていきます。
復讐というみえない重荷を担わされた子供の長い時間をかけた運命との戦いの物語。
…さすがに読み始めた時は、子供が親になり、その子が成長してしまうほど時間がかかるとは思っていませんでしたけれども…。
ちなみにすでに絶版。
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