謎を解くのは、サックス奏者の永見緋太郎。
すぐ謎を解いちゃうんです。この人。
びっくりする係はトランペット奏者の唐島さん。バンドリーダーです。
真鍮のむし
永見緋太郎の事件簿
著者:田中啓文
発行:東京創元社
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収録されているのは、全部で7編。
『塞翁が馬』、『犬猿の仲』、『虎は死して皮を残す』、『獅子真鍮の虫』。
『サギをカラスと』、『ザリガニで鯛を釣る』、『狐につままれる』。
タイトルだけみると、生物オンパレード。シリーズ第3弾だそうです。知りませんでした。
これを知らなかったというよりは、ミステリ自体から若干遠ざかっていたというか。
久しぶりにミステリを読みました。
楽しく読了。
楽ちんな読書でもありました。さくさく読めちゃいます。時間さえあれば。
文章にしてもなんにしても、面倒なところがないのですよ。
主人公がミュージシャンなので、事件の起こる場所も音楽の世界。ジャズの世界です。
往年のプレイヤーの復活劇であるとか、過去の因縁とか。
そう書くとドロドロしていそうですが、非常にこざっぱりした感じです。
ドロドロよりも音楽への愛情が勝るというか、そのドロドロすらジャズへの愛情というか。
永見緋太郎は音楽以外のことにまるっきり興味がないので、それが反映しているのでしょう。
緋太郎はうまくなりたいという向上心は強いけれども、ガツガツしたところがない。
唐島さんにしても、似たようなもので、鷹揚な良い人。
羨ましいような師弟関係です。
シリーズの1,2を読んでいないのでその理由ははっきりわかりませんが、バンドを解散してアメリカに行こうとする唐島さんに、緋太郎はくっついていくと当たり前に決めてしまうくらい。
どんだけ、好きなんだ、緋太郎?
それぞれのお話の後には、著者がジャズの名盤をお薦めするページがついています。
ジャズ、好きなんですねぇ。
それにつられて、読んでいると、どれもこれもを聴いてみたくなります。
そういえば、しばらくCD買ってないなぁ。
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