「猿蟹合戦とは何か。」
こんなタイトルがちくま文庫で出ていたら、いやでも目に入りそうなものだが、当時の私の視界には入らなかったらしい。
2008年も末の頃。
「K-20」がツボに入りまくっていた頃か。
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猿蟹合戦とは何か
清水義範パスティーシュ100〈1の巻〉
著者:清水 義範
発行:筑摩書房
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最近、お借りした本やいただいた本を読んでいて、これはるいちゃんからお借りした本。
るいちゃんからは、「いい加減読んで、さっさとお返ししなさい。」と良心が訴えるほど、本を借りたままになっている。
申し訳ない。(ああ、東野圭吾祭り、第2弾を開催せねば。)
それはさておき(いや、ほんとはおいちゃあいけない。)、こちら。
全編パロディ、パスティーシュという本。
パスティーシュというのは、文体模倣。
『猿蟹の賦』、『猿蟹合戦とは何か』、『二十一の異なるバージョンによる前文』。
『猿取佐助』、『パウダー・スノー』、『笠地蔵峠』。
『半村良『江戸群盗伝』の解説』、『女殺油地獄』、『船が州を上へ行く』。
『聖書』、『彼ら』、『ティンカー・ベルの日記』、『ダイヤの花見』。
『罪と罰』、『アンドレ・クレージュ』、『ジョルジュ・アルマーニ』。
趣向はいろいろ。
最初の『猿蟹の賦』は文体模倣で、司馬遼太郎風に猿蟹合戦を題材にして書いたもの。
正直、司馬遼太郎の文体がはっきり頭に浮かぶほどのイメージも私の中にはないのだけれど、これが「ああ、いかにもそんな感じ!」で、読んでいて思わず笑ってしまう。
明確に作家のイメージがなくても結構楽しく読めてしまう。
「若草物語」と「細雪」を足した『パウダー・スノー』。
関西弁でマーチ家の四姉妹が話している。
今まで考えてもみなかったけれど、どちらも四姉妹の物語。著者が自著解説で、谷崎は「若草物語」を読んでいたかが気になると書いていた。
確かに気になる・・・。
単純に楽しかったのは『ダイヤの花見』。
ダイヤは宝石のダイヤではなくて、鉄道のダイヤ。
落語の語り口で、電車たちが集う。
北斗星とトワイライト・エクスプレスがちょっと反目しあっているとか、なんだか可笑しくて、読みながらちょっと顔が笑ってしまった。
バッタものの新幹線、我が「つばさ」くんも登場するしで、特別、鉄道に思い入れがなくても十二分に楽しい。
『猿取佐助』はかのサルトルを講談風に書いたもの。
その趣向だけでも楽しめる。
『女殺油地獄』も、おお、そうきたか、で、読まされてしまう。
読み始める前は、元ネタが全部わからなくても大丈夫かしらと心配だったけれども、まさに杞憂。
『船が州を上へ行く』などは、まるっきりわからなかったのだけれども、すごいな~、これ、とその思いだけでも読めてしまう。
巻末の自著解説と合わせて読むと、それぞれの作品の狙いと、それがまたきっちりおさえられていることへの驚き、合わせて楽しめる。
このシリーズ、全6巻なのだそうだ。
もう、ほとんど出ているのかもしれない。
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インパクトの瞬間
清水義範パスティーシュ100〈2の巻〉
著者:清水 義範
発行:筑摩書房
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先も楽しみ。
ゆっくり読んでいくこととしよう。
夏草の賦のもじりですよね
なんでこんなにおもしろい物をつぎつぎみつけられるのか!
きしさんすごいわあ・・・とおもってます
毎月、すごい量の本が出版されているから
どうあがいても時間的に本の波に押し流されておぼれる感じです
そうそう友人に天使と悪魔をかりました
いつよめるのか
不思議
お借りしたのですよ~。すごいのは、るいちゃん。
タイトルで言えば「人妻魂」もすごかったなぁ。嵐山光三郎。
あ、「天使と悪魔」原作は映画のあとがいいかも。