ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

う~ん。短い。 本間拓 編 【超短編アンソロジー】

2008-04-16 | 筑摩書房
 
タイトルのとおり、とても短い作品を集めたアンソロジーです。

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 超短編アンソロジー
 編者:本間祐
 発行:筑摩書房
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短いものばかりとあって、薄い本ですが、作品数は95編。
がんばって全部挙げてみようかと思いましたが、95編はやっぱり多かったので断念。
(hontoの収録作品一覧)

著者も多岐にわたります。
稗田阿礼が著者のところにある本などついぞ読んだことがありませんでしたので、目次をみているだけでもなかなか面白いものがあります。
短編といえば思い浮かぶ稲垣足穂ももちろん登場。
著者が多岐にわたるということは、作品の幅もそれに比例するということで、神話、童話、小話、落語から、日記文学、詩、新聞記事、辞典の1項目など種類もさまざま。
カフカ、小川未明、芥川龍之介、桂枝雀が一緒の本に入っているというのは、不思議といえば不思議。
超短編というくくりの面白さのひとつかもしれません。

それらの作品が「夢見」、「ノンセンスの微笑」、「愛してる愛してない」、「この世界」、「生き物たち」に分類されています。
「生き物たち」の章には、有名な、ルナールの『蛇』も。
あいかわらず短い。本当に短い。
長い蛇をタイトルにした文章の感想が「うわ、短いっ!」であるのはちょっと可笑しい感じ。
ちなみに同じルナールの『蝶』のほうは「愛してる愛してない」の章に入っています。

『蛇』ほど短いものはそう多くありませんが、長くても3ページほど。
短いといえばショートショートを思い浮かべますが、きちんと完結して、そのオチ具合、結末の落差が楽しみなショートショートとは読後感がかなり異なります。
短いからこそインパクトが強く、言葉が刺さるようであるものや、断片的であるからふくらみを感じるものも。
割合多くとられていた民話などの類は、物語として不足ない感じがしますが、余韻といえば余韻、すっきりしないといえばすっきりしないというような読後感が残る作品もありました。
これは私の好みと、読み手としての想像力の問題かと思います。
そういう私を心配してくれたのか、巻末には編者のみっちりとした解説つき。
もちろん、解説がこの本の中で一番長い文章でした。






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