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青草俳句会

草深昌子主宰の指導する句会でアミュー厚木での句会を主な活動としています。

結社誌「青草」2号(その2)

2017年09月02日 | 結社誌・句会報

  芳草集巻頭 青草集巻頭 秀句集(草深昌子選)

芳草集巻頭   吉田良銈

赤とんぼ鞠を蹴る子に纏ひつつ

秋深し隣の明かりふつと消え

ほどほどで止めると決めて煤払

手袋を口にくはへて小銭出す

初騎や人また馬の息白く

まだ遠い疲れは無いか帰る雁

春よ春行きつ戻りつやつて来る

                     

青草集巻頭   石原虹子

大根を一寸廻して引きにけり

木の葉髪夫は終日拾ひけり

初鴉鎮守の社を飛び立ちぬ

節分の大山靄ふ夜なりけり

一歩づつ踏み入る山の芽吹きかな

菜の花に白き月出て真昼かな

夕桜吹雪きて今日を惜しみけり

                                 

秀句集           草深昌子選

ほどほどに止めると決めて煤払 吉田良銈

作者は九十歳。ご高齢であることを知れば、いっそう説得力のある句である。だが、年末の煤払という厄介ごとに対する構え方は、誰にとってもいたく共鳴されるものであろう。

 『煤逃」をしないで、伝統的にやるべきことはやるという態度が何よりダンディーである。


蕗の薹そばを流るる酒匂川 坂田金太郎

酒匂川(さかわがわ)は丹沢山系の麓を流れる水の美しい川である。蕗の薹の瑞々しさ格別に違いない。当然ながら摘草のあとの一献がたまらない。

 
例会の謡切り上げ年忘 菊竹典祥

 年末のお謡いの例会は早めに切り上げて忘年会になったという。

 何でもないようであって、まことに滋味深い。謡曲の余韻を引いた会は、しみじみとして華やいだものであったに違いない。

木の葉髪夫は終日拾ひけり 石原虹子

 長年連れ添ったご主人さまの今日ある姿は、作者自身の姿にも重なるのであろう。切なくもおかしい木の葉髪は、燻し銀に光っている。

 
秋晴や蜂の来てゐる蜂蜜屋 佐藤昌緒

 蜂蜜屋に蜂が飛んでいるとは、摩訶不思議なる光景ではないか。それこそ秋晴というもののありようを透明感満点に見せてくれるものである。

 

大家族ゐるかのやうに葱刻む 日下しょう子

 あの真っ白な葱の棒を微塵に切りきざむ刻々は無心そのもの。いつしか葱は俎板に溢れんばかりになってしまった。「大家族」は幸せの象徴のようになつかしい。

 

手袋を投げ捨てここが勝負所 佐藤健成

 俳句はリズムが勝負。見得を切ったような一句はまさに決まっている。さて、この勝負はどんな場面であろうか、想像するだに楽しい「手袋」である。

 

岐れ道夏蝶左われは右 狗飼乾惠

 岐れ道にさしかかった、夏蝶は左、私は右を取った。ただそれだけの簡潔なる一句が、余情を生み出して人生的である。命盛んなる夏の蝶々の先にも、人の先にも涼やかに道は開けているのだろう。

 

その他の注目句を、次にあげます。


小正月モヒカン刈りに袴かな 松尾まつを

行く人の顔白白と初氷 栗田白雲

山里は風冷たくて山笑ふ 潮 雪乃

ストーブの音の静かに寒明くる 東小薗まさ一

冴返る駒の響きや奥座敷 鈴木一父

雄を追ふ春の雀の尾のかたち 長田早苗

探梅や絹の道てふ石畳 森田ちとせ

焙じ茶と田舎饅頭長閑かな 黒田珠水

朝日さす角度に春の兆しかな 小川河流

につこりと開く妻の手蕗の薹 中澤翔風

紅梅の散つて赤子のいやいやす 長谷川美知江

木の間よりひとむら見せて冬紅葉 平野 翠

美しき口元にして毛糸編む 川井さとみ

寒晴や霞ヶ関は坂の上 湯川桂香

いつの間に山崩れたり春の雨 大本華女

甘栗の爆ぜて寒晴中華街 藤田若婆

先のことつらつら思ひ柿を剝く 小幡月子

朧月米研ぐ水は温みけり 間 草蛙


結社誌「青草」2号(その1)

2017年09月02日 | 結社誌・句会報

    青草往来 青山抄(2)

青草往来

結社誌「青草」は船出したばかり。

その第二号に、図らずも草深昌子自らの句集『金剛』の特集が組まれることに、いささか躊躇った。でも、今はこれでよかったと感謝しています。

 皆様から寄せていただいた鑑賞文の数々、これは私への激励だけではなく、我らが「青草」会員の一人一人にとりましても、得難く学ばせてもらえるものであることを、確信したからです。

 先日ふと、三木清「人生論ノート」を再読しました。

「死者が蘇りまた生きながらえることを信じないで、伝統を信じることができるであろうか」は、もとより、

 「人生は運命であるように、人生は希望である。運命的な存在である人間にとって生きていることは希望を持っていることである」に、

はっとさせられました。

 だからこそ、俳句という芭蕉の文学を一生懸命に学ぶ価値と喜びがあるということでしょう。

 希望をもって生きる者はいつだって若い、その心意気で、静かにも明るく歩んでいきたいと願っています。

                                                                 草深昌子 


                             

青山抄(2) 草深昌子主宰


花冷を啼いてその鳥緑濃き

松の木に寺を囲うて鳥雲に

一とテント張つて昭和の日なりけり    

緑蔭や人のはだへのやうな幹

方角を新樹に見失ひにけり

木々にうち囲まれてゐて行々子

鳥どちの笛のするどきビールかな

羊蹄の丈を高くし青嵐

短くて太き毛虫を嫌ひけり

さつき降り今降り夏の雨細か

音聞いて鐘としもなくさみだるる

泉殿石の大きく横たはり

蛇を見てその血らしきを見て過ぐる

よこはまは風に涼しく日に暑く

南風のビルの立て込む港かな

サングラスどこにどう目を合はさんか

我に来て我に構はぬ夏鴉

晩涼や八幡さまに池二つ

かの人とかの時ここに滝落つる

 悼 上田知代子様
老鶯のこゑのはるけく逝かれけり


青草句会へのお誘い

2017年08月31日 | 結社誌・句会報

青草句会はどなたでも参加できます。主な句会場はアミュー厚木としています。厚木市及び近郊の方々で俳句に興味をお持ちの方は自由に見学お待ちしています。
俳句を通じて思わぬ人と出会い、大自然との出合いを体験してみませんか。会員一同お待ちしています。

   
  【9月】 
句会名 月 日 兼 題 時 間 場  所 幹事 連 絡 先
木の実 9月1日(金) 二百十日  9:45-13:00 福祉センター 間 草蛙 046-342-8499
花野会 9月8日(金)  9:45-13:00 シティプラザ5階 二村結季 046-242-3455
草句の会 9月19日(火) 草紅葉  9:45-13:00 アミュー厚木607 日下しょう子 046-223-7473
青葡萄 9月26日(火)  9:45-13:00 アミュー厚木501 潮 雪乃 046-241-8743
草原 9月28日(木)  9:45-13:00 アミュー厚木701 鈴木一父 046-221-1458
鳶尾草 9月21日(木)   13:00-16:00 鳶尾ギャラリー 間 草蛙 046-342-8499
  【10月】 
句会名 月 日 兼 題 時 間 場  所 幹事 連 絡 先
木の実 10月6日(金) 秋風  9:45-13:00 福祉センター 間 草蛙 046-342-8499
花野会 10月13日(金) 吟行句会 本厚木駅9:00 座間谷戸山公園 二村結季 046-242-3455
草句の会 10月17日(火)  9:45-13:00 アミュー厚木701 日下しょう子 046-223-7473
青葡萄 10月24日(火)  9:45-13:00 アミュー厚木609 潮 雪乃 046-241-8743
草原 10月26日(木) 吟行句会  13:00-17:00 福祉センター第2会議室 鈴木一父 046-221-1458
鳶尾草 10月19日(木)   13:00-16:00 鳶尾ギャラリー 間 草蛙 046-342-8499
  
 
 

結社誌「青草」と青草句会の紹介

2017年03月31日 | 結社誌・句会報

結社誌「青草」創刊号



「青草」創刊のことば

「青草」はあをあをとしています。
「青草」はいきいきとしています。

春は芳しく、夏は茂って、秋は紅葉し、冬は枯れ、やがてまた萌えはじめます。
四季折々の変化こそがもののあわれです。
二度と還らない私たちの命は、変わることなく巡ってくる永遠の命の中にあるのです。

さあ、今を生きる「命のよろこび」を詠いましょう。
       
                 主宰 草深昌子


青山抄(1)草深昌子

三十年使うて紙魚の一書かな
夕焼けて本棚の書の丈揃ふ
生温きビール燈火の親しけれ
箱庭に倒けてあるものさはやかに
登高や松のみどりが水の色
稲架けて雨降りさうな晴れさうな
川筋のどこも日当たる雁の秋
しろじろと顎ありけり穴まどひ
柿熟るるどこかしらには蝶飛んで
詫状のことこまかくて蚯蚓鳴く
いささかに重き土瓶を蒸しにけり
たまに顔上げることある夜なべかな
渡し場や二枚重ねに秋簾
潮風に飛ぶ大根を蒔きにけり
霜降や日の射すひまに日の消えて
榧の実の落つる館は大理石
神発つて遠くのこゑはみな鴉
枯芝に据ゑて一両汽車ぽつぽ
枯れにけりもののかたちをそこなはず
懐炉して音のほどには風の来ぬ

「芳草集」巻頭:松尾まつを
春浅し山に火筒の谺する
若葉風その行く先も若葉かな
大川の五月の流れモデラート
深川や緑雨の中の町工場
宇宙船浮んでをりし星今宵
返す手の渦潮となる阿波踊
無花果や埃まみれの乳母車
小鳥来る小さき庭の小さき池
山襞に夕陽を溜めて秋暮るる
秋燕棚田高きを渡りけり

「青草集」巻頭:柴田博祥
妻の眼の初々しさや雛選び
傘さしてお玉杓子にかがみこみ
夏近し扉二間の相撲部屋
鮎届き秘蔵の酒の封切りぬ
砂浜にサザンのダンス海開き
炎天やジェット機二機の居合斬り
九百の風鈴の音や大師道
蜩や最終章を読み終へて
折鶴の一つ一つや蟬時雨
野分あと人の行く声響きけり


「青草」の句会紹介

句会名称 開催日 場所 時間
花野会 毎月第二金曜日 厚木シティプラザ五階 9:45~13:00
木の実 毎月第一金曜日 厚木福祉センター 9:45~13:00
青葡萄 毎月第四火曜日 アミュー厚木 9:45~13:00
草句の会 毎月第三火曜日 アミュー厚木 9:45~13:00
草原 毎月第四木曜日 アミュー厚木 9:45~13:00

*青草会員以外の一般俳句愛好の方でも、どの句会にも飛び込み参加出来ます(句会費¥1,000円)
(句会見学及び体験参加を歓迎します。気軽に一報、或いは直にお越しください)
 (連絡先:間 草蛙:shouichi.hazama@gmail.com