青草俳句会

草深昌子主宰の指導する句会でアミュー厚木での句会を主な活動としています。

青草吟行句会in東海大学湘南校舎

2017年04月29日 | トピックス

『青草』として初めての合同吟行を4月27日に松尾まつを編集長(東海大学名誉教授)の案内で東海大学湘南校舎構内で実施されました。
当日は雨も覚悟の空模様でしたが、我々の熱気に天気も持直して、八重桜の落花、欅やメタセコイアの新緑の中で主宰、編集長の挨拶と構内案内、遵守事項の話、記念撮影をして吟行スタートです。
参加者22名が広い構内散っていきました。



創始者の願い真つ直ぐ夏欅 野風
吾が歳と同じ学舎若葉風 乾惠
葉桜や学食うまきAランチ 健成

55万平方メートル(東京ドーム13個分)の広大な敷地は大学というより都市公園のようですが、正午になると在籍3万人という学生が校舎から食堂に行くために構内にあふれます。
特色ある食堂が数カ所散在しています。私たちは編集長の尽力で職員食堂の予約席を取ってもらいビール飲みながら昼食でした。



建設順に付いている建物の塔番号の最新は19号館で豊かだった自然が段々と失われていくと案内の松尾編集長談だがそれでもまだまだ自然豊かな環境であり
こんな恵まれて環境で学んでいる学生が羨ましく思えたものです。


(原辰徳前ジャイヤンツ監督の講演には満員になるという3000名収容の大ホールはガラス張りの壁面にはシンボルツリー欅や樟の新緑を映し息を飲む美しさでした)

壁面に青葉映して二号館 金太郎

教室の一室を借りての句会(投句は5句、選句5句(内特選1句))は吟行初体験の人もあり毎月の定例句会との違いに戸惑いいや緊張もありましたが、良い俳句が多く投句され
「皆さんの健闘に入選数を増やしました」と主宰もまずまずの出来に安堵の笑みでした。


(質問に答えながら指導する草深昌子主宰)
南風の少しつめたき欅かな 昌子
天つ日のかつと常磐木落葉かな 昌子

主宰草深昌子選評
【特選(天)】
樟落葉踏んで見上ぐる樟若葉 昌緒
「樟落葉」と「樟若葉」という季題の重なりをものともしないで詠いあげたところが手柄である、「樟」のリフレインが効いている。
今年の若葉がびっしりと隙間なく茂っているさまを見上げている、その足下には、ひそかにも落ち続けてやまない古葉がたっぷり散り敷いているのである。
新学期の溌剌たる学生が往き来する東海大学キャンパスは、縦にも横にも大きな並木通りがいくつもあった。
その威容に驚くとともに、作者は常緑樹の新旧交代のさまをしみじみと、何よりも清々しく感じ入っているのである。
東海大学への挨拶でもあろう。

【特選(地)】
かなめ黐芽吹く先なる武道館 結季
若葉の緑一色の並木通りの横手を入ると、この一筋道にはかなめ黐が植えられていた。なんと、鮮やかな美しい新芽であろうか、その若葉は真っ赤に染まっているのである。その先にあるのが、武道館であった。
燃えるような真っ赤な新芽の力強さが、柔道や剣道のそれに直結している。
偶然の出会いをすかさず一句に詠いあげたことで、この偶然は必然となった。
ちなみに東海大学の柔道の強さは世界一である、作者もまたその事をよく承知されていたのであろう、だからこそ、かなめ黐に感応されたのかもしれない。
ここにも東海大学への挨拶がこもっている。

【特選(人)】
学生の話の渦や桜蘂 園子
季題としては「桜蘂降る」であるが、この句からは桜蕊が降ることはもとより、あたり一面に散り敷いている桜蕊が見えるようである。
そして、この場には、やや落ち着いた新年度の学生たちが、大いに談笑しているのである。
「学生の話の渦や」という簡潔明瞭のフレーズもさることながら、「渦」という一語がすばらしく効いている。
渦と言ったことによって、散り敷いた桜蕊が風に吹かれて流動する感じが、好感度満点の学生たちの賑わいとよくマッチして、いかにもダイナミックである。

【入選】(以下清記番号順)
葉桜や学食うまきAランチ 健成
壁面に青葉映して二号館 金太郎
学窓の亡き師亡き友花は葉に 健成
吾が歳と同じ学舎若葉風 乾惠
坂道を学生逆行八重桜 珠水
大学を埋めつくさむと新樹かな 小径
フィールドは落花の色をしてゐたり 小径
看板の赤や黄色や春落葉 結季
白シャツの連れ立ちて行く並木道 金太郎
足長し新樹のやうに君歩む さとみ
(以上)

(記事 坂田金太郎)