青草俳句会

草深昌子主宰の指導する句会でアミュー厚木での句会を主な活動としています。

『WEP俳句年鑑』2020

2020年03月01日 | トピックス
『WEP俳句年鑑』2020に「青草」主宰ならびに主宰推薦による同人6名の自選7句が掲載されました。

  雪の解けぐあひを隣近所かな   草深昌子
  黴の鍵かくも大きく書庫のもの
  夏芝の高きところの禿げてあり
  君が墓キリンビールで濡らしけり
  欄干を跳んで蛙や秋の風
  底紅に看板出して鍛冶屋かな
  たまに来てすつかり秋の道であり 

  初富士や峠に古き道しるべ   坂田金太郎
  冬紅葉托鉢僧の声低し
  嘴に青藻引つかけ残る鴨
  掛軸は武蔵贋作月今宵
  阿夫利嶺は我が守護神や下り鮎
  辛いとは言えへぬ吾なり秋の蝶
  つつがなく蝶の来てゐる冬籠花

  冷や人行くところ灯が点り   佐藤健成
  サーファーの若布絡めて上がり来る
  折り返し直ぐ来る電話あたたかし
  病窓の一つ一つに今日の月
  秋霖や捻れブランコそのままに
  手袋を投げ捨てここが勝負どこ
  子育てを終へて世に出る白日傘

  鳥雲に新幹線の自由席   佐藤昌緒
  ふるまひの美しきひと薄氷
  夏めくや富士しろじろとそこにあり
  春泥やおほき仔犬の歩きぶり
  雲切れてユングフラウに夏の月
  大氷河ふもとの村の百日草
  吾が袖に雪の六角とどまれる

  髭剃りの肌柔はらかや梅雨夕べ   間草蛙
  鉄橋の梅雨をロマンスカーの行く
  生垣を蝶の越ゆるや梅雨晴間
  めだか群れどれが親やら子どもやら
  河原町どの家にもある門火かな
  パン焼きて独りなるかや処暑の夜
  落鮎を釣る人影の濃くありぬ

  畑のもの畑で燃やすや雲は秋   二村結季
  福藁や花柄足袋のお母さん
  鍬初老いの手際のよかりけり
  蟻穴を出づる歳時記膝の上に
  端居して父の背中の黒光り
  蜩の夕べ小豆を洗ひをり
  初富士や田に起重機の寄せてあり

  皐月朔日令和元年鹿島立ち   松尾まつを
  枇杷の種舌に転がす三つ四つ
  夏木立石燈籠は五列なり
  霧深き木立の向かう女坂
  自著を手に燈火親しむ傘寿かな
  寒晴や花の模様のもの干して
  万緑や君とキスせむ丘の上

     (ウエップ発行「WEP俳句年鑑」2020所収)

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