俳句結社誌「阿夫利嶺」(山本つぼみ主宰)に青草会員、菊竹典祥さんの俳句が「他誌拝見」蘭の秀句鑑賞で紹介されました。
秀句鑑賞 芝岡友衛
栗の花溢るる水のやうに咲く 菊竹典祥
「青草」第三号より。
栗の花が咲くのは梅雨時である。揭句は写生として観察が行き届いている。
黄白色の花穂は上向きにつけるが大房になると花火のように垂れ下がる。
これを溢れる水のようだだという。
視覚的に捉えて的確な表現だけれど栗の花は遠くまで匂うので五感で捉えればまた違った句となる。
波郷は「栗咲く香皿を喀く前もその後も」と詠んでいる。
なにやらずしりと重い香りである。
「阿夫利嶺」は六月号で255号発行の長い伝統を誇る結社誌であり、内容も多彩で読み応えありセンスある編集も魅力的です。