リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

新型コロナによる減収「補償」は赤字国債ではなく、「復興税」で賄おう

2020-04-30 | 一般
新型コロナウイルスの拡大防止のために各方面に休業・自粛が要請され、世界中で経済活動がストップしている。支援を求める声が多いのは当然だが、これだけ多方面の活動を止めたことによる減収分をみな国が補償していたら国はもたないのではないかと危惧していた(過去ブログ)。コロナ禍の長期化が予想されている(過去ブログ)ことを考えると、一人10万円を給付するとか、当面の生活苦ではなくコロナ終息後の旅行喚起などのキャンペーンに1.6兆円を投入するなど、今の政府の方針がおかしいことは明らかだ。企業も個人も、終息までの期間を乗り切れなければ、終息後にいくら景気浮揚策を講じられても再起は困難だろう。とはいえ「一人10万円」などの支援を数か月毎にやっていたら、財政破綻に一直線だ。
長期化を見据えた、持続可能な対策はどうあるべきなのだろう。

マクロ経済学が専門の小野善康教授の寄稿(朝日新聞2020-4-29)を読んで方向性が見えたような気がする。
今回の危機の特徴は、外食・娯楽など壊滅的な打撃をこうむる「不要不急」業種がある一方、医療、スーパー、コンビニ、通販、輸送、一部の工場など、通常以上の繁忙をきわめている「社会基盤」業種もあるということだ(両者の間の「就労シェアリング」について先日書いた)。
教授は、「社会基盤」業種の従事者の収入は減っておらず、娯楽などの支出を減らすぶん、お金が余るので、それを補償に回す仕組みを作れば、不要不急産業が存続できると指摘している。(「社会基盤」業種の従事者が収入は減っていなくても、激務にさらされているが、それはまた別問題。娯楽などを我慢して支出を減らした分を取り上げるのは気の毒な気もするが、「収入があるところからないところに回す」再分配は税制の基本であり、やむを得ないだろう。)
教授が引用するIMF(国際通貨基金)のデータによれば、新型コロナにより今年の日本の実質GDPは約6%減、つまり30兆円減になるが、これが人々が支出を減らした額ということになる。これを不要不急産業の従事者に対する補償に回せば、平時と同じ金の流れができる。(不要不急産業の従事者の支出も6%減るから30兆円は6%=1.8兆円減らしてもよく、教授はこれは医療従事者の支援に使うべきという。)
これまで私は「補償」は国をつぶすのではないかと思っていて及び腰の政府に同感だったが(過去ブログ)、この記事を読んで所得補償を行なうべきだと思うようになった。ただ、その財源は赤字国債ではなく、収入がある人々から集める税ということになろう。教授は「利益や所得に応じて集められた東日本大震災の復興税が参考になる」と言っている。
増税は景気を冷やすのがセオリーで消費減税の声さえ出ているが、消費したくても消費活動できない今、消費税減は百害あって一利なく、一方「復興税」の導入は可能だと思う。しかも、補償とセットなら、休業要請に強制力を持たせることも考えていい。その意味で、補償の仕組みを作れば、間接的に感染拡大にも役立つ。不正対策などは前提になるが、「補償」は可能だ。効果が限定的で、財政負担も大きい今のやり方ではなく、「復興税」に倣った税制に基づく補償体制をすぐにも検討するべきだ。


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