パクスアメリカーナの時代は終わりへ
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」375/通算806 2025/令和7年3/17 月曜】 16日は旧暦2月17日、まだまだ冬で、終日氷雨だった。♪ 外は冬の雨 まだやまぬ この胸を濡らすように ・・・という歌があったが、傘をさして散歩する気力はゼロ。このところ元気だったので4階展望台のペンキ塗りをしていたが、これがたたって16日は強烈な腰痛で情けない思いをした。゛華麗なる加齢”をめざすには営繕作業は一日おきにすべしという天の教えだろう。
今日17日は「彼岸入り」だが、カミサンが墓参りに行ってくれるので助かった。嫁さんをもらうなら苦しむ患者を見ると助けたくなるナイチンゲール=看護婦がお勧めだ・・・気性はきついけれど。
腰痛には効かないが、教養、学問の切磋琢磨には産経新聞、ネットはBBC、ロイター、時事通信、読売がお勧めである。有効かつボケ防止にもなりそうだ。おためしあれ! 閑話休題。
・・・・・・・・・・・・
産経2025/令和7年3/11に以下の全面広告があった(一部のみ転載)。
<もし、大地震が来たら・・・【あわてない】 あわてず、自分の命を守る あわてず、火を消す あわてず、高いところへ あわてず、助け合う あわてず、あわてず、デマに注意 みんなで災害に備える日本へ。日本財団(THE NIPPON FOUDATION)>
同日の産経には「米国笹川平和財団 複合事態『日米韓台』連携を 東アジアの同時挑発に対処する米国の能力検証」と題する以下の記事があった。
<東アジアで起きる有事は単独ではなく、複数の動きが同時発生する「複合事態」となる可能性がある。台湾海峡と朝鮮半島で同時に事態が発生するといった具合だ。ただ、複合事態の組み合わせは無数にあり得るためシミュレーションが難しい。
これに挑戦したのが、米国笹川平和財団が2020年に実施した机上演習だ。演習結果を踏まえ、報告書では日米韓3カ国と台湾の協議を強化するとともに、南シナ海における米国の立場を見直すよう求めた。机上演習は2020年2月に米バージニア州のロッキード・マーチン社の施設で実施した。参加者は日本、米国、韓国、台湾、中国にチーム分けされ、演習の統裁部が北朝鮮などを演じた。
演習に先立つ想定では、中国の習近平国家主席が中央軍事委員会に指示を出した。▽東アジアにおける軍事的優位を誇示する ▽米国の同盟ネットワークを弱体化する ▽南シナ海で領土を拡張する ▽米国との戦争を回避する-の4点だ。
中国はまた、北朝鮮との間で密約を結ぶ。北朝鮮が韓国軍と在韓米軍に挑発行為を行い、中国は北朝鮮に防空システムなどを配備することになった、云々>
・・・・・・・・・・・・・
「米国笹川平和財団」とは初耳だが、国際情報を得るシンクタンクだろう。米国は第2次世界大戦で唯一の勝者になり、圧倒的な軍事力と経済力によって世界に"平和、安定”をもたらし君臨した。それをパクスロマーナ(Pax Romana)になぞらえて、パクスアメリカーナ(Pax Americana)、「超大国アメリカの覇権による平和」と呼んでいる。なお「パクス」はローマ神話に登場する平和と秩序の女神だそう。
しかしトランプはどうも「世界の平和と秩序」ではなく「同志国脅しと増税」みたいで・・・小生は、パクスアメリカーナの時代は終わり、「第3次世界大戦は始まっている!! 危機感をもって備えるべきだ」という思いを強くしている。
もしかしたらトランプは自由陣営諸国に対して「米国にオンブニダッコはもうやめてくれ、自国の安全はまずは自国で備えるのが筋だろう!」と、露中北などへの刺激を避けながら訴えているのかもしれない。危機感いっぱいの猪突猛進脳の小生は「今こそ冷戦復活で露中北を孤立させるべし」と思っているから、トランプ流のややこしい話には困惑させられる。
話を戻すと「米国笹川平和財団」は笹川陽平氏の危機感から結成されたのだろう。小生が笹川陽平氏を知ったのは、ボートレース(競艇)を始めた父の笹川良一日本船舶振興会初代会長が亡くなり、遺産相続の際に「莫大な借金」しかなかったため誰もが相続放棄し、三男坊の陽平氏が父の笹川良一氏の志を引き継いだとことによるらしいと解釈した。
小生は当初、笹川良一氏を「世界は一家 人類は皆兄弟」を説く怪しい奴と思っていたが、小生がアカからピンク、さらに「反共」の白に変わっていくにつれ、良一氏を「やり方は拙(つたな)いが愛国心は大したものだ」と評価するようになった。以下WIKIから引用する――
<笹川良一、1899/明治32年~ 1995/平成7年は、大正・昭和時代の右翼活動家、元A級戦犯被疑者(不起訴)、社会奉仕活動家。座右の銘は「世界一家 人類兄弟」。
戦前は国粋大衆党総裁、衆議院議員。戦後は、財団法人日本船舶振興会(1962年設立。現在の公益財団法人日本財団)会長、国際勝共連合名誉会長(1968年就任、のちに辞任)、福岡工業大学理事長を務めた。箕面市名誉市民。勲一等旭日大綬章受章者。戦後は、日本国内のボートレース(競艇)の創設に尽力し、「競艇界のドン」の異名を取った>
笹川良一氏の跡継ぎが笹川陽平氏である。同じくWIKIから。
<笹川陽平、1939/昭和14年~は、日本の社会運動家。笹川良一(日本船舶振興会初代会長)の三男。明治大学政治経済学部卒業。公益財団法人日本財団(旧日本船舶振興会)会長、同笹川平和財団名誉会長、東京財団顧問、世界保健機関 (WHO) ハンセン病制圧大使、ハンセン病人権啓発大使(日本国)などの役職を歴任し、2012年6月11日にはミャンマー少数民族福祉向上大使(日本国)に就任。2013年2月にミャンマー国民和解担当日本政府代表(日本国)に就任。日本人で初めて『法の支配賞』を受賞。
父である笹川良一が創設したボートレース(競艇)事業の運営団体である全国モーターボート競走会連合会(現・日本モーターボート競走会)会長(2008年3月31日退任)、財団法人日本造船振興財団(現海洋政策研究財団)理事長などを歴任し、1989年に日本財団理事長に就任。
2005年7月、前会長・曽野綾子の退任を受け、会長に選任される。
ボランティアや福祉などの様々な社会活動に参加し、自ら公益活動の前線に立って活動している。2001年5月からWHOハンセン病制圧特別大使を務める。日本国内における事業展開は、海賊対策、北朝鮮工作船の一般公開、ホスピスナースの育成、犯罪被害者への支援ネットワークの構築などがある。また、2007年の海洋基本法の制定に奔走>
・・・・・・・・・・
笹川陽平氏も大した人材だが、原資は「日本モーターボート競走会」からの交付金だろう。同会によると「1962年4月20日、競走法が時限法から恒久法に改正(法律第85号)、日本船舶振興会の設立と同会への交付金の交付が決まり、10月1日(財)日本船舶振興会(現在の日本財団、初代は当然ながら笹川良一氏だろう)が発足した」とある。
しかし、笹川陽平氏が現在のような国境を越えた手広い支援を続ければ、特にコロナ禍でモーターボートファンが減っているだろうから財源は不足するばかりではないか? 産経2025/2/25 笹川陽平・日本財団会長の「正論 経済界は今こそ『利他の精神』を」から。
<パンデミック(世界的大流行)となった新型コロナ禍、さらに近年、「自国第一主義」の風潮が強まる中、自分の利益だけでなく他人のためにも尽くす「利他」の精神に世界の関心が高まっている。
◎:活気失う日本社会▼ 一方でわが国は1990年代初頭のバブル崩壊に始まった「失われた30年」で賃金水準は大きく落ち込み、かつて一億総中流と言われた国民意識は中流より下流が強まり、国全体が活気を失う原因となっている。
この間、90年代に100兆円台で推移した企業の内部留保(利益剰余金)は2023年度末に約601兆円と国の名目GDP(国内総生産)1年分にも匹敵する過去最大の数字に膨れ上がった。
わが国は戦後一貫して政治力や軍事力ではなく経済力で発展してきた。政治が低迷し、かつて国の発展を主導した「霞が関」(官)も精彩を欠く今、この国を再生させるのはやはり経済力である。
経済界には今も、近江商人の「三方よし」(買い手よし、売り手よし、世間よし)に代表される利他の精神、商人道が生きているはずだ。中でも経済界を代表する日本経済団体連合会(経団連)には、強い決意を持ってその先頭に立っていただきたく思う。600兆円の内部留保の活用も含め多彩な対応が可能と考える。
経団連は企業、団体など約1700もの会員で構成され、〝財界総理〟とまで称される会長の下に大手企業のトップら20人が副会長として名を連ね、副会長も務める事務総長の下に200人を超す事務局がある。
副会長が20人というのは組織としては異様で、時に「叙勲狙い」、「軽団連」と揶揄(やゆ)する声も聞く。関係者の奮起を促したい。事務局機能の強化も合わせ、文字通り日本経済を牽引する強靱(きょうじん)な組織になってほしく思う。
巨額の内部留保に対しては「それがあったからこそコロナ禍に耐えた」と評価する声も聞く。しかし「日本資本主義の父」渋沢栄一や「利他の心」を提唱した京セラの創業者・故稲盛和夫氏が説いたように、事業活動には一個人ではなく社会全体を益し、活動を支える全従業員の幸福を物心両面で追求する姿勢が何よりも必要と考える。
残念ながら現実は(企業の)内部留保が急増する一方で、(国民への支払いである)人件費は90年代半ば以降200兆円前後で推移し、23年度も約222兆円と微増にとどまる。この結果、1991年から30年間の名目賃金の伸びは米国の2.8倍、英国の2.7倍に比べ日本は1.1倍とほぼ横ばいの状態にある。
◎:少子化が加速する一因▼ 結果、90年代初頭に当時24カ国が加盟した経済協力開発機構(OECD)の中で最高水準にあった日本の賃金は23年度、加盟38カ国中25位まで落ちた。
厚生労働省の調査によると、22年の平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性は29.7歳。この20年間で約2歳上昇し、20年の生涯未婚率(50歳時点の未婚率)も男性が28.3%、女性は17.8%と、ともに10ポイント以上増加している。
実質賃金の落ち込みが一因とみられ、少子化が加速する原因にもなっている。国内の新規投資も低迷し、わが国がデジタル革命やIT革命など新たな産業の開拓で世界に後れを取る原因となっている。
こうした点を反映して、スイスに拠点を置く国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表する国際競争力ランキングも、日本は24年に38位に下がった。1989年から4年間、アメリカを抜いて1位だった過去を振り返ると隔世の感がある。
ただし、暗い材料ばかりではない。政府が2020年にコロナ禍対策として配布した一律10万円の使途に関する調査では、20代は37%が「少しでも寄付したいと思う」と答え、全体平均を10ポイント近く上回った。
昨年元日に起きた能登半島地震では、日本財団と株式会社メルカリが共同で呼びかけた被災地支援の受け入れ先に地震発生翌日と翌々日だけで5000万円もが寄せられた。1人平均1000円としても、わずか2日間で5万人が支援金を寄せた計算になる。
簡単に売り買いできるメルカリのアプリは若い世代の利用者が多い。時に日本の寄付文化の弱さが指摘される中、この2つの数字は次代を担う若者の心に利他の精神が広く共有されている事実を示していると思う。
◎:強靱な国づくり▼ 戦後の日本社会は、「福祉や公共サービスは行政の責任」とする考えや、責任より権利を主張する風潮が強い。それがポピュリズム(大衆迎合主義)、バラマキ政策につながり、財政が一段と悪化する悪循環を生んでいる。
利他の心が広く共有されれば社会全体に「自分たちの力で社会を良くする」機運が広がり、強靱な国づくりに結びつく。世界で通用する日本の精神文化を経済界だけでなく、政府も外交も含め幅広い分野で活用するよう求めたい。(ささかわ ようへい)>以上
・・・・・・・・・・・・・・・
「利他の心で汗を流したり寄付したりする人が増えれば社会が良くなり強靱な国づくりができる」・・・それは天国のように美しい世界だろうが、実践する人は永遠に少数派ではないか? 日本に限らずいずこの国でも圧倒的多数派は「上手いものを食って面白おかしく快適に暮らす」を良しとする人々だろう。
内閣府の「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 令和5年度」で「私の参加により、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」 の項目で、「そう思う+どちらかというとそう思う」は日本36.3%、アメリカ52.1%、ドイツ59.7%、フランス48.4%、スウェーデン54.5%。
年齢に限らず日本人の平和ボケ?、諦観?は金メダル級だ。彼らは余程のショックがないと変わらないだろう。パクスアメリカーナの時代は終わりつつあるというのに、このノー天気な日本をどうすべきか、次回に考えたい。余計なお世話? ま、老婆心・・・老人はそういうものだろう。
・・・・・・・・・・・・・
*読者諸兄の皆さま、御意見を! https://note.com/gifted_hawk281/ または ishiifam@minos.ocn.ne.jp までお願いいたします。小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
必殺クロスカウンター ttps://www.mag2.com/m/0001690154.html
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
ishiifam//1951@outlook.jp
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」375/通算806 2025/令和7年3/17 月曜】 16日は旧暦2月17日、まだまだ冬で、終日氷雨だった。♪ 外は冬の雨 まだやまぬ この胸を濡らすように ・・・という歌があったが、傘をさして散歩する気力はゼロ。このところ元気だったので4階展望台のペンキ塗りをしていたが、これがたたって16日は強烈な腰痛で情けない思いをした。゛華麗なる加齢”をめざすには営繕作業は一日おきにすべしという天の教えだろう。
今日17日は「彼岸入り」だが、カミサンが墓参りに行ってくれるので助かった。嫁さんをもらうなら苦しむ患者を見ると助けたくなるナイチンゲール=看護婦がお勧めだ・・・気性はきついけれど。
腰痛には効かないが、教養、学問の切磋琢磨には産経新聞、ネットはBBC、ロイター、時事通信、読売がお勧めである。有効かつボケ防止にもなりそうだ。おためしあれ! 閑話休題。
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産経2025/令和7年3/11に以下の全面広告があった(一部のみ転載)。
<もし、大地震が来たら・・・【あわてない】 あわてず、自分の命を守る あわてず、火を消す あわてず、高いところへ あわてず、助け合う あわてず、あわてず、デマに注意 みんなで災害に備える日本へ。日本財団(THE NIPPON FOUDATION)>
同日の産経には「米国笹川平和財団 複合事態『日米韓台』連携を 東アジアの同時挑発に対処する米国の能力検証」と題する以下の記事があった。
<東アジアで起きる有事は単独ではなく、複数の動きが同時発生する「複合事態」となる可能性がある。台湾海峡と朝鮮半島で同時に事態が発生するといった具合だ。ただ、複合事態の組み合わせは無数にあり得るためシミュレーションが難しい。
これに挑戦したのが、米国笹川平和財団が2020年に実施した机上演習だ。演習結果を踏まえ、報告書では日米韓3カ国と台湾の協議を強化するとともに、南シナ海における米国の立場を見直すよう求めた。机上演習は2020年2月に米バージニア州のロッキード・マーチン社の施設で実施した。参加者は日本、米国、韓国、台湾、中国にチーム分けされ、演習の統裁部が北朝鮮などを演じた。
演習に先立つ想定では、中国の習近平国家主席が中央軍事委員会に指示を出した。▽東アジアにおける軍事的優位を誇示する ▽米国の同盟ネットワークを弱体化する ▽南シナ海で領土を拡張する ▽米国との戦争を回避する-の4点だ。
中国はまた、北朝鮮との間で密約を結ぶ。北朝鮮が韓国軍と在韓米軍に挑発行為を行い、中国は北朝鮮に防空システムなどを配備することになった、云々>
・・・・・・・・・・・・・
「米国笹川平和財団」とは初耳だが、国際情報を得るシンクタンクだろう。米国は第2次世界大戦で唯一の勝者になり、圧倒的な軍事力と経済力によって世界に"平和、安定”をもたらし君臨した。それをパクスロマーナ(Pax Romana)になぞらえて、パクスアメリカーナ(Pax Americana)、「超大国アメリカの覇権による平和」と呼んでいる。なお「パクス」はローマ神話に登場する平和と秩序の女神だそう。
しかしトランプはどうも「世界の平和と秩序」ではなく「同志国脅しと増税」みたいで・・・小生は、パクスアメリカーナの時代は終わり、「第3次世界大戦は始まっている!! 危機感をもって備えるべきだ」という思いを強くしている。
もしかしたらトランプは自由陣営諸国に対して「米国にオンブニダッコはもうやめてくれ、自国の安全はまずは自国で備えるのが筋だろう!」と、露中北などへの刺激を避けながら訴えているのかもしれない。危機感いっぱいの猪突猛進脳の小生は「今こそ冷戦復活で露中北を孤立させるべし」と思っているから、トランプ流のややこしい話には困惑させられる。
話を戻すと「米国笹川平和財団」は笹川陽平氏の危機感から結成されたのだろう。小生が笹川陽平氏を知ったのは、ボートレース(競艇)を始めた父の笹川良一日本船舶振興会初代会長が亡くなり、遺産相続の際に「莫大な借金」しかなかったため誰もが相続放棄し、三男坊の陽平氏が父の笹川良一氏の志を引き継いだとことによるらしいと解釈した。
小生は当初、笹川良一氏を「世界は一家 人類は皆兄弟」を説く怪しい奴と思っていたが、小生がアカからピンク、さらに「反共」の白に変わっていくにつれ、良一氏を「やり方は拙(つたな)いが愛国心は大したものだ」と評価するようになった。以下WIKIから引用する――
<笹川良一、1899/明治32年~ 1995/平成7年は、大正・昭和時代の右翼活動家、元A級戦犯被疑者(不起訴)、社会奉仕活動家。座右の銘は「世界一家 人類兄弟」。
戦前は国粋大衆党総裁、衆議院議員。戦後は、財団法人日本船舶振興会(1962年設立。現在の公益財団法人日本財団)会長、国際勝共連合名誉会長(1968年就任、のちに辞任)、福岡工業大学理事長を務めた。箕面市名誉市民。勲一等旭日大綬章受章者。戦後は、日本国内のボートレース(競艇)の創設に尽力し、「競艇界のドン」の異名を取った>
笹川良一氏の跡継ぎが笹川陽平氏である。同じくWIKIから。
<笹川陽平、1939/昭和14年~は、日本の社会運動家。笹川良一(日本船舶振興会初代会長)の三男。明治大学政治経済学部卒業。公益財団法人日本財団(旧日本船舶振興会)会長、同笹川平和財団名誉会長、東京財団顧問、世界保健機関 (WHO) ハンセン病制圧大使、ハンセン病人権啓発大使(日本国)などの役職を歴任し、2012年6月11日にはミャンマー少数民族福祉向上大使(日本国)に就任。2013年2月にミャンマー国民和解担当日本政府代表(日本国)に就任。日本人で初めて『法の支配賞』を受賞。
父である笹川良一が創設したボートレース(競艇)事業の運営団体である全国モーターボート競走会連合会(現・日本モーターボート競走会)会長(2008年3月31日退任)、財団法人日本造船振興財団(現海洋政策研究財団)理事長などを歴任し、1989年に日本財団理事長に就任。
2005年7月、前会長・曽野綾子の退任を受け、会長に選任される。
ボランティアや福祉などの様々な社会活動に参加し、自ら公益活動の前線に立って活動している。2001年5月からWHOハンセン病制圧特別大使を務める。日本国内における事業展開は、海賊対策、北朝鮮工作船の一般公開、ホスピスナースの育成、犯罪被害者への支援ネットワークの構築などがある。また、2007年の海洋基本法の制定に奔走>
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笹川陽平氏も大した人材だが、原資は「日本モーターボート競走会」からの交付金だろう。同会によると「1962年4月20日、競走法が時限法から恒久法に改正(法律第85号)、日本船舶振興会の設立と同会への交付金の交付が決まり、10月1日(財)日本船舶振興会(現在の日本財団、初代は当然ながら笹川良一氏だろう)が発足した」とある。
しかし、笹川陽平氏が現在のような国境を越えた手広い支援を続ければ、特にコロナ禍でモーターボートファンが減っているだろうから財源は不足するばかりではないか? 産経2025/2/25 笹川陽平・日本財団会長の「正論 経済界は今こそ『利他の精神』を」から。
<パンデミック(世界的大流行)となった新型コロナ禍、さらに近年、「自国第一主義」の風潮が強まる中、自分の利益だけでなく他人のためにも尽くす「利他」の精神に世界の関心が高まっている。
◎:活気失う日本社会▼ 一方でわが国は1990年代初頭のバブル崩壊に始まった「失われた30年」で賃金水準は大きく落ち込み、かつて一億総中流と言われた国民意識は中流より下流が強まり、国全体が活気を失う原因となっている。
この間、90年代に100兆円台で推移した企業の内部留保(利益剰余金)は2023年度末に約601兆円と国の名目GDP(国内総生産)1年分にも匹敵する過去最大の数字に膨れ上がった。
わが国は戦後一貫して政治力や軍事力ではなく経済力で発展してきた。政治が低迷し、かつて国の発展を主導した「霞が関」(官)も精彩を欠く今、この国を再生させるのはやはり経済力である。
経済界には今も、近江商人の「三方よし」(買い手よし、売り手よし、世間よし)に代表される利他の精神、商人道が生きているはずだ。中でも経済界を代表する日本経済団体連合会(経団連)には、強い決意を持ってその先頭に立っていただきたく思う。600兆円の内部留保の活用も含め多彩な対応が可能と考える。
経団連は企業、団体など約1700もの会員で構成され、〝財界総理〟とまで称される会長の下に大手企業のトップら20人が副会長として名を連ね、副会長も務める事務総長の下に200人を超す事務局がある。
副会長が20人というのは組織としては異様で、時に「叙勲狙い」、「軽団連」と揶揄(やゆ)する声も聞く。関係者の奮起を促したい。事務局機能の強化も合わせ、文字通り日本経済を牽引する強靱(きょうじん)な組織になってほしく思う。
巨額の内部留保に対しては「それがあったからこそコロナ禍に耐えた」と評価する声も聞く。しかし「日本資本主義の父」渋沢栄一や「利他の心」を提唱した京セラの創業者・故稲盛和夫氏が説いたように、事業活動には一個人ではなく社会全体を益し、活動を支える全従業員の幸福を物心両面で追求する姿勢が何よりも必要と考える。
残念ながら現実は(企業の)内部留保が急増する一方で、(国民への支払いである)人件費は90年代半ば以降200兆円前後で推移し、23年度も約222兆円と微増にとどまる。この結果、1991年から30年間の名目賃金の伸びは米国の2.8倍、英国の2.7倍に比べ日本は1.1倍とほぼ横ばいの状態にある。
◎:少子化が加速する一因▼ 結果、90年代初頭に当時24カ国が加盟した経済協力開発機構(OECD)の中で最高水準にあった日本の賃金は23年度、加盟38カ国中25位まで落ちた。
厚生労働省の調査によると、22年の平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性は29.7歳。この20年間で約2歳上昇し、20年の生涯未婚率(50歳時点の未婚率)も男性が28.3%、女性は17.8%と、ともに10ポイント以上増加している。
実質賃金の落ち込みが一因とみられ、少子化が加速する原因にもなっている。国内の新規投資も低迷し、わが国がデジタル革命やIT革命など新たな産業の開拓で世界に後れを取る原因となっている。
こうした点を反映して、スイスに拠点を置く国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表する国際競争力ランキングも、日本は24年に38位に下がった。1989年から4年間、アメリカを抜いて1位だった過去を振り返ると隔世の感がある。
ただし、暗い材料ばかりではない。政府が2020年にコロナ禍対策として配布した一律10万円の使途に関する調査では、20代は37%が「少しでも寄付したいと思う」と答え、全体平均を10ポイント近く上回った。
昨年元日に起きた能登半島地震では、日本財団と株式会社メルカリが共同で呼びかけた被災地支援の受け入れ先に地震発生翌日と翌々日だけで5000万円もが寄せられた。1人平均1000円としても、わずか2日間で5万人が支援金を寄せた計算になる。
簡単に売り買いできるメルカリのアプリは若い世代の利用者が多い。時に日本の寄付文化の弱さが指摘される中、この2つの数字は次代を担う若者の心に利他の精神が広く共有されている事実を示していると思う。
◎:強靱な国づくり▼ 戦後の日本社会は、「福祉や公共サービスは行政の責任」とする考えや、責任より権利を主張する風潮が強い。それがポピュリズム(大衆迎合主義)、バラマキ政策につながり、財政が一段と悪化する悪循環を生んでいる。
利他の心が広く共有されれば社会全体に「自分たちの力で社会を良くする」機運が広がり、強靱な国づくりに結びつく。世界で通用する日本の精神文化を経済界だけでなく、政府も外交も含め幅広い分野で活用するよう求めたい。(ささかわ ようへい)>以上
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「利他の心で汗を流したり寄付したりする人が増えれば社会が良くなり強靱な国づくりができる」・・・それは天国のように美しい世界だろうが、実践する人は永遠に少数派ではないか? 日本に限らずいずこの国でも圧倒的多数派は「上手いものを食って面白おかしく快適に暮らす」を良しとする人々だろう。
内閣府の「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 令和5年度」で「私の参加により、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」 の項目で、「そう思う+どちらかというとそう思う」は日本36.3%、アメリカ52.1%、ドイツ59.7%、フランス48.4%、スウェーデン54.5%。
年齢に限らず日本人の平和ボケ?、諦観?は金メダル級だ。彼らは余程のショックがないと変わらないだろう。パクスアメリカーナの時代は終わりつつあるというのに、このノー天気な日本をどうすべきか、次回に考えたい。余計なお世話? ま、老婆心・・・老人はそういうものだろう。
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! https://note.com/gifted_hawk281/ または ishiifam@minos.ocn.ne.jp までお願いいたします。小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
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