みっかぼうず。

ものぐさ&ぐ~たら三日坊主の、ドラマ・映画・本のオボエガキ&おりおりの記録。

今日の小説 『うめ婆行状記』。

2016-03-16 16:27:32 | 本・コミック
宇江佐真理さんの遺作が、昨日の夕刊掲載分で終わった。
残念ながら、未完だ。

私よりも一回りほど年長で、函館で生まれ育ち、
普通の主婦として、母としての日々を過ごしつつ、
函館で著作活動を続けていたという。

単発ものとエッセイしか読んでいないが、
彼女の主婦としての感覚が、親近感を抱かせた。
ずっと書くことが好きで、絶対作家になると決意して、
それを現実にしてという、雲の上のような面を知りつつ。

とても潔い、ある意味オトコまえな文章だと思っていた。
そして、彼女の書く主人公・語り手の中に
常に彼女自身がいるような気がしていた。

「うめ婆」もそう。
遺作だと思うからなおさらかもしれないが、
この小説に出てくる女性はみんな、
宇江佐さん自身のような気がする。

一人暮らしのうめ婆が、紆余曲折の騒動の後体調を崩し、
回復したところで小説は途切れる。
(たぶん)三途の川のほとりまで行ったうめ婆は、
この後どういう心持ちになったのだろうか。

小説のうめ婆は、年齢的には私と変わりない。
でも、時代が時代なので、とりまく環境としては
ちょうど宇江佐さんくらいだろうと思う。
まだまだ私は、うめ婆のような境遇にはならないけれど、
この先自分がどういう生き方をしていくのか、
考えなければならないのは、そう遠いことではないだろう。

そいういう意味で、最後まで読みたかった。


まだまだたくさんの文章を書けるはずだったのに。
宇江佐さんの早すぎる引退を惜しみ、
心から、ご冥福をお祈りします。

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