みっかぼうず。

ものぐさ&ぐ~たら三日坊主の、ドラマ・映画・本のオボエガキ&おりおりの記録。

今日の本 『誰がヴァイオリンを殺したか』@石井宏

2014-03-25 14:40:15 | 本・コミック
時価が億単位の名器の値段は、楽器としてではない、骨董品としての値段。

ヴァイオリンの音は、その楽器を奏でる人の音であり、楽器の持つ音に非ず。

モーツァルトや、バッハ、ベートーベンのころのヴァイオリンは、
もっと小さな音しか出なかった。
だから現在の大編成で大音量で奏でられる音は、
彼らの音楽とは別物といえなくもないらしい。
(これが、タイトルの意味)

残ってる作品みな、その作者の脳裏を離れて実在化した瞬間から
別物になるのではないか。
当の作者ですら、自分の意図したもの・創造したものを正確に表現できない。
まして、時代背景や環境が違っていたら、その落差はどんどん大きくなるかもしれない。
こんなものは、私の(作者)の本当に表現したかったものではないと、
いいたくなるほど、かけ離れてしまうこともあるだろう。
その落差も、作品の一部といえるのではないのか。
のちに表現(演奏)する者たちの魂に訴えかけ、作者たちですら思いもよらないもの
が生み出されるのも、その作品の持つ力ではないのか。

『殺されたヴァイオリン』の亡霊たちが奏でる現代の演奏を、
当時の音楽家たちに聞いてもらえたらいいのに。
ひょっとすると

「こんな音が欲しかった。こんな音楽が聞きたかった。」とか
「わたしの作った音楽は、こんな素晴らしいものだったのか。」とか

思ってくれるかもしれないじゃない。
 
素人のおばさんでも、聴いて鳥肌がたつような思いをさせてくれる音楽が、演奏が
現代には、たくさんたくさんあるのだもの。



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