一緒に行った娘は、人が多くて見づらかったというが、
私はそうでもなかった。
確かに人は多かったけれど、すぐ近くで見るより、
少し離れて見たほうがいいと思えたので、
あまり気にならなかった。
睡蓮や駅の絵はきれいだった。
でも、心に残ったのは絵の中の名もなき人物たち。
わら半紙のような色の紙に鉛筆で書かれた、老婆の正面からの姿。
有名な駅の絵の中に、輪郭だけ書かれた駅員と思われる姿。
百五十年近くたって、見知らぬ外国で、たくさんの人が
自分の姿を眺めに来るなんて、彼らは想像もしなかっただろう。
画家がその姿をとどめなければ、彼らの存在が後に残ることも。
たとえ無名でも。
有名になりたいとか、後世に名を残したいとか全然思わないけれど、
なんとなく羨ましい気がする。
私はそうでもなかった。
確かに人は多かったけれど、すぐ近くで見るより、
少し離れて見たほうがいいと思えたので、
あまり気にならなかった。
睡蓮や駅の絵はきれいだった。
でも、心に残ったのは絵の中の名もなき人物たち。
わら半紙のような色の紙に鉛筆で書かれた、老婆の正面からの姿。
有名な駅の絵の中に、輪郭だけ書かれた駅員と思われる姿。
百五十年近くたって、見知らぬ外国で、たくさんの人が
自分の姿を眺めに来るなんて、彼らは想像もしなかっただろう。
画家がその姿をとどめなければ、彼らの存在が後に残ることも。
たとえ無名でも。
有名になりたいとか、後世に名を残したいとか全然思わないけれど、
なんとなく羨ましい気がする。