Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

ふたたび呪文にとらわれる

2007-03-31 | parfum... kaori
香りの霧が、思いがけなく、記憶の底を明るく照らす。


フラゴナール』、日本撤退。
南仏の明るい透明感を、香りにのせて届けてくれていたけれど、残念です。
輸入元会社で働く友達が、最後の買い物をさせてくれました。

香水を2種類、買いました。
自分の、香りにおける、
好き
の根っこはもう決まってしまっているらしく、
少しは違ったものを!!
といくら抗ってみても、結局、ふたを開けてみると、芯が似ている。
しかし、その枝葉はそれぞれ、伸びやかに華やかさを表現している。
そんな、香りの絶妙な個性に、やはりいちいち目を奪われ、夢中になってしまうのです。

「あ、miらしい」
今回買った香水の一つを呼吸し、居合わせた友達2人が頷く。
何かの香りと似ているようで、似ていない。
なんだか、ずっと一緒にいたように懐かしく、とても身近に感じる香りでした。
内容はこんな感じ。フラゴナールのHPから。
This fragrance is an elegantly composed floral harmony of tea rose, bergamot and Bulgarian rose spiked with ginger and enveloped in lignum vitae, vanilla and musk.
A fragrance with a striking personality and passionate impulses.



帰宅したお風呂上がりに、今度は、もう一つを吹き付けてみる。
ん・・あれ!
そういえばこの香り、昔もかいだ!
瞬間、ふいに一つの名前が、本当にふいに、記憶の底からすいっと浮かび上がってきました。
似た香りという共通項いっこで、よく、こんな名前が思い出せたものだ!久々に自分を褒めてあげたくなった。
それは、
SPELLBOUND』。
もう今は、日本の店頭にはありません。エスティ・ローダーの香り。

それにしても、なんて名前をつけたものかしら。
「呪文で縛られた、魅せられてぼうっとした」
そんな訳語が当てはまるようです。
This fragrance has notes of Rose, Muguet, Citrus, Apricot, Orange Blossom, Narcisse, Carnation, Cardamom, Sandalwood, Vetiver, Vanilla, Amber.
このSPELLBOUNDの組成とどの程度重なるのか知りませんが、
今回のフラゴナールの香水は、とても、これと似ている。。

名前こそ違えど、再び呪文にとらわれる、あるいは、魔法にかかる。
魅惑に縛られる。

かつて、この香水に惹かれながらも、買わなかったのです。
重たげに謎めいた女の艶を感じさせ、この香りの漂わせる成熟の雰囲気が、とにかく畏れ多く遠かった。
今も、その印象は健在で、圧倒されることには変わらないのですが、
どんな人にも、いや成熟をなしえた人にだからこそ、未熟な人と同じように抱えて乗り越えてきた問題と過去がある。だから、親しみの片鱗を感じることが出来る。
そう想像できるくらいにはわたしもなったのか。。

甘く差し伸べられるまろやかな腕・・・、
そんな、誘惑と深みを備えた女、が経てきた、心の旅。
その魅惑が発する、耳には聴こえない呪文に、いつのまにかまた、とらわれてしまっています。
名前は違うのに、似た香りにこもる、その概念は、強く生き続けているらしいのです。

こうして、魔法にかかるような気持ちで、新しい香水を楽しんでいます。


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