Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

明かされない謎。『アイズ・ワイド・シャット』

2006-06-04 | cinema... eiga
よくある手かもしれませんが。
自宅で夜、仲間と内緒話するためにお酒のボトルを開けるとき、明かりは暖かく間接照明で、そのひとつはテレビの画面、そこに流すのは綺麗な映像のDVD映画の、音と字幕を消したもの。
というの、好きです。
オゾン監督『8人の女たち』なんてとっても綺麗。

友達の家で先日(←風邪を引く前のことです)夜中、お酒を飲んでいたときにも、同じようにして流れていたのが、キューブリック監督『アイズ・ワイド・シャット』。
懐かしい!
と同時に、最近、2度耳にしたこのタイトル。
気になったので、昨日お願いして借りて帰ってきました。

2度聞いたそのひとつは、叶恭子さん著『トリオリズム』にて、あのような”儀式”に参加した体験を綴ったくだり。
もひとつは、ただ今ブームの『ダヴィンチコード』に登場する聖婚の儀式に関する引用として。ちょうど昨日、下巻を読み終わったのです。
謎のお城で繰り広げられる、不可思議な儀式について、その関連を連続して聞いたら、もう一度ちゃんと映画を見たくなりました。

・・・謎のまま終わってしまう映画って、すごくもやもやが残って、観終わった後も、なんだかあれこれ思い巡らせてしまう。
この映画のハイライトはやっぱりあの”儀式”で、
どんな人たちがどんな目的で?
とか、
参加している人ってどんな性格なんだろう、
とか、ぐるぐる。
世の中では、あんなこと (に類したこと) が、今日もどこかで行われているのかと思うと、なんだか不思議な感動です・・・
まったくもって、世界は広い。



息を呑むほど美しいニコール・キッドマンの不思議な妻ぶりにも謎がいっぱい。
月明かりを照らし返す陶器の肌、目の前のことではなく記憶の底を眺めているような目線。
なんていうか、一緒に暮らしていても常に美しくって謎めいている、っていうのは女の最高の義務だわ・・・
なんて反省と共に大きく脱線してること考えてしまう。
彼女の一番の美しいところは、心に浮かんだことをなんでも夫に話して聞かせるところ。
晒しても晒しても、人の頭の中は、永遠の謎。しかも、語られるだけそれは深くなる。
夫の困惑などモノともせずに、頭に浮かんだタブーを続々話して聞かせては、オチもなく夫にもたれて泣きじゃくったりする。



妻の話に混乱するあまり街を徘徊してしまい、何か未知の感覚に触れて気持ちを紛らわせたい夫。
そして新しいもの、というか今まで存在していたのに見えていなかったものが次々と目の前に現れ、彼もまた、理性の届かない行動をとることによって、自らが謎になる。

なるほど、謎はただ謎であって、必ずしも万人に通用する「答え」が同時に存在するものでもないのか。
ということがおぼろげながら感じとれる。
そして、謎は、知ってしまうより外から眺めている方がよほど美しいものだということも、よくわかりました。



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2 コメント

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Unknown (noisette)
2006-06-05 20:39:39
miさまったら・・案外、熟読されました?(笑)

私も、あのエピソ\ードからこの映画を観たいなぁって思ったのです。

(まだ観ていなくて・笑)

ニコールは美しいから・・DVD買ってしまうかも。

miさまの文章は、そのものを観てみたい、感じてみたいと思わせる魔力があります(*´∇`*)

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(*ノノ)キャ (noisetteさま(mi))
2006-06-05 21:48:38
熟読ってなんだか照れちゃう感じですけども(;^ω^A

ハイヽ(*^^*)ノぜーんぶ、通して読みましたよー!店頭で・・・

ゆえに買わなかったんですが、、やっぱり珍しいエピソードは記憶に残るものですね☆

DVDは、買いの価値ありです。美しすぎます。

登場人物の女性の誰一人、同じヒト科♀とは思えないくらい、素晴らしくて粒揃いでした・・・

お部屋もスゴイ。何もかも最上級の美です。
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