Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

『三十六歌仙絵』展

2019-11-21 | art... bijutsu
今週末11月24日でおしまいのため、滑り込みセーフ!で鑑賞叶いました。
『流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美』展
京都国立博物館にて。

13世紀鎌倉時代に制作。
秋田藩の佐竹家に伝来した、三十六歌仙絵の草分け的存在にして最古のものがこちら。
書、後京極良経、
絵、藤原信実、と伝えられます。
もとは長い絵巻物に一気に描かれていた三十六歌仙。

流転は、佐竹侯爵家の没落から始まります。
明治維新以降、没落する華族が後を絶たず、佐竹侯爵家も例外ではなく。
1916年(大正5年)、華族が所蔵する古美術品を売却することが華族世襲財産法により許され、佐竹家の財産も売り出されることになりました。
買い取ったのは実業家の山本唯三郎でしたが、第一次世界大戦による不況で、またまた売りに出される絵巻物。しかし高額すぎて、購入できる力量を収集家の誰も、備えていなかった。
そのため1919年(大正8年)、なんと各歌人ごとに分割し、、
それぞれの絵と歌を、めいめい持ち主となった買い手がお軸に装丁し、保管することになりました。実業家にして茶人の、益田孝の決断でした。

最初にハサミを入れた御仁はどんな気持ちだったろうと、展覧会で初めて実物を見、最初は愕然と思っていましたが、展示を観終わる頃には、
分割された絵巻物、これは正解であったし英断であった、
と、僭越ながら、感じました。
そして、離れ離れだった、もとは一枚の絵巻物だったこれらが、100年の時を経て再会を果たした、この偉業。
今回集まったのは28歌仙だそうですが、、過去最高の数字とのこと。→美術手帖記事


各お軸の装丁が、それぞれほんとうに美しい。
薄い緑に濃い蒼色の組み合わせがよく見られ、とても印象的でした。
ちなみに掛け軸の基本名称はこんな感じです。


歌仙はそれぞれ、絵に合わせた横長のお軸になっており、とても華やかでした。
分割当時からやはり女性の歌人が人気だったそうですが、男性の歌人も渋くて良い味わいです。
誘ってくれたお友達とは、最近、出かけるときはお互い着物でねと申し合わせているので、
(良い練習になります)
お軸の配色と柄合わせは着物のコーディネートのヒントになると2人で納得至極、途中から歌仙絵はそっちのけでお軸の装丁にばかり注目でした。


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