その日、電車はすいていた。時間帯もあったのだろうが、車両全体で乗客は十人ほどだった。
停車した。
一人の若い男性が乗り込んできた。右手に風呂敷包みを持っている。
彼は席に座ることなく、その場に正座して、風呂敷包みをほどいた。木の箱が見えた。箱の中から緋毛氈を取りだし、次に茶碗、棗、茶筅、茶杓と流れるような動作で取出し、最後に、魔法瓶を取り出した。
茶を点てるつもりらしい。
ゆっくりとした、併し無駄のない動作が終了して、彼は茶を喫した。
そして、まるでフィルムを逆回転させているかのように、すべての道具を木の箱の中に入れ、風呂敷で包みなおした。
立ち上がった時、次の駅に着き、彼は何事もなかったかのように降りて行った。
停車した。
一人の若い男性が乗り込んできた。右手に風呂敷包みを持っている。
彼は席に座ることなく、その場に正座して、風呂敷包みをほどいた。木の箱が見えた。箱の中から緋毛氈を取りだし、次に茶碗、棗、茶筅、茶杓と流れるような動作で取出し、最後に、魔法瓶を取り出した。
茶を点てるつもりらしい。
ゆっくりとした、併し無駄のない動作が終了して、彼は茶を喫した。
そして、まるでフィルムを逆回転させているかのように、すべての道具を木の箱の中に入れ、風呂敷で包みなおした。
立ち上がった時、次の駅に着き、彼は何事もなかったかのように降りて行った。
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