イチョウ並木もすっかり色づき、下の方にも黄色くなったイチョウの葉が散り敷いている。
ドン!と足で地面を踏むと、ハラハラとイチョウの葉が散る。そうなると、ここで「アレ」をやらない手はない。
まず、準備体操。
ドン!「絶景かな 絶景かーなー・・・・」もう一度ドン!落ち葉ハラハラ・・。
少し歩くと、桜紅葉がきれいな樹がある。さて、今日は、ここで本番とするか・・・。
「大江戸八百八町にかくれのねえ、杏葉牡丹の紋付きも桜に匂う仲の町。花川戸の助六とも、また 揚巻の助六ともいう若い者、間近く寄って面像おがみ奉れえ」
「成田屋!!」
「あっ、ありがとうございます。ご自分でもおやりになるんですか?」
「めっ、滅相もない。私なんて、掛け声専門ですよ」
「いやいや、一つおやりになったらどうですか」
「恥ずかしいんですよ、とにかく」
「私もね、最初は恥ずかしかった。・・・でもね、清水の舞台から飛び降りると思ってやってみたら、なんとも気持ちが好くって、この季節と、あと、桜の季節を狙ってやるんですよ。」
「私でも、できましょうかね?」
「大丈夫ですよ、掛け声の時の口跡、中々のものでしたよ」
「えっ、そうですか。恥ずかしいなぁ」
「そこを思い切って」
「わたし、仁左衛門が好きでね」
「ああ、趣味が合いますなぁ。私も大好き」
「河内山なんかいいですなぁ」
「とんだところを北村大膳・・・とか」
「そうですなぁ、では恥を忍んで一つやらせていただきましょうか」
「いよっ!待ってました松島屋!」
「エエ仰々しい、静かにしろ……。悪に強きは善にもと、世のたとえにもいうとおり、親の嘆きが不憫さに、娘の命を助けるため、腹に企みの魂胆を、練塀小路に隠れのねえ、御数寄屋坊主の宗俊が、頭の丸いを幸いに、衣でしがお忍が岡、神の御末の一品親王、宮の使いと偽って神風よりも御威光の、風を吹かして大胆にも出雲守の上屋敷へ、仕掛けた仕事のいわく窓、家中一統白壁と、思いのほかに帰りがけ、とんだところを北村大膳」
「松嶋屋!!」
「いやー、気持ちいいもんですなぁ」
「すみません、そこでなにをしてはるんですか?」
「い、いや、ちょっと」
「ちょっと、なんなんですか?」
「いや、歌舞伎の名セリフを語っていたのですが、なにか?」
「歌舞伎ですか・・・署の方に通報がありまして、表で変な声が聞こえるから来てくれって」
「へ、変な声・・・」
「とにかく、住宅のあるところでは気を付けてくださいよ」
「まさか、警官が来るとは」
「変な声・・・ですかね?」
「いやいや、教養がないだけですよ。わかってくれる人は絶対にいますよ」
「それはそうとして、あなたはなぜ外でやってはるんですか?」
「それは決まってますよ、舞台装置ですな、舞台装置。落ち葉と、ハラハラと散る桜。これ以上のものはありませんで」
「そうですなぁ。いや、私の場合は、家で語っていたんですが、娘から勉強の邪魔になると言われまして。あなたは大丈夫ですか、ご家族の方は何とも云われませんか?」
「いや、まぁ、喜んで!・・・というわけにはいきませんわなぁ」
「場所、探す必要がありますね」
「悪い世の中になりましたなぁ。教養のない人が増えたんでしょうか」
「また来週、ここでお会いしましょうか」
「そうですなぁ、今度は、人気の少ないところを探しましょうか」
ドン!と足で地面を踏むと、ハラハラとイチョウの葉が散る。そうなると、ここで「アレ」をやらない手はない。
まず、準備体操。
ドン!「絶景かな 絶景かーなー・・・・」もう一度ドン!落ち葉ハラハラ・・。
少し歩くと、桜紅葉がきれいな樹がある。さて、今日は、ここで本番とするか・・・。
「大江戸八百八町にかくれのねえ、杏葉牡丹の紋付きも桜に匂う仲の町。花川戸の助六とも、また 揚巻の助六ともいう若い者、間近く寄って面像おがみ奉れえ」
「成田屋!!」
「あっ、ありがとうございます。ご自分でもおやりになるんですか?」
「めっ、滅相もない。私なんて、掛け声専門ですよ」
「いやいや、一つおやりになったらどうですか」
「恥ずかしいんですよ、とにかく」
「私もね、最初は恥ずかしかった。・・・でもね、清水の舞台から飛び降りると思ってやってみたら、なんとも気持ちが好くって、この季節と、あと、桜の季節を狙ってやるんですよ。」
「私でも、できましょうかね?」
「大丈夫ですよ、掛け声の時の口跡、中々のものでしたよ」
「えっ、そうですか。恥ずかしいなぁ」
「そこを思い切って」
「わたし、仁左衛門が好きでね」
「ああ、趣味が合いますなぁ。私も大好き」
「河内山なんかいいですなぁ」
「とんだところを北村大膳・・・とか」
「そうですなぁ、では恥を忍んで一つやらせていただきましょうか」
「いよっ!待ってました松島屋!」
「エエ仰々しい、静かにしろ……。悪に強きは善にもと、世のたとえにもいうとおり、親の嘆きが不憫さに、娘の命を助けるため、腹に企みの魂胆を、練塀小路に隠れのねえ、御数寄屋坊主の宗俊が、頭の丸いを幸いに、衣でしがお忍が岡、神の御末の一品親王、宮の使いと偽って神風よりも御威光の、風を吹かして大胆にも出雲守の上屋敷へ、仕掛けた仕事のいわく窓、家中一統白壁と、思いのほかに帰りがけ、とんだところを北村大膳」
「松嶋屋!!」
「いやー、気持ちいいもんですなぁ」
「すみません、そこでなにをしてはるんですか?」
「い、いや、ちょっと」
「ちょっと、なんなんですか?」
「いや、歌舞伎の名セリフを語っていたのですが、なにか?」
「歌舞伎ですか・・・署の方に通報がありまして、表で変な声が聞こえるから来てくれって」
「へ、変な声・・・」
「とにかく、住宅のあるところでは気を付けてくださいよ」
「まさか、警官が来るとは」
「変な声・・・ですかね?」
「いやいや、教養がないだけですよ。わかってくれる人は絶対にいますよ」
「それはそうとして、あなたはなぜ外でやってはるんですか?」
「それは決まってますよ、舞台装置ですな、舞台装置。落ち葉と、ハラハラと散る桜。これ以上のものはありませんで」
「そうですなぁ。いや、私の場合は、家で語っていたんですが、娘から勉強の邪魔になると言われまして。あなたは大丈夫ですか、ご家族の方は何とも云われませんか?」
「いや、まぁ、喜んで!・・・というわけにはいきませんわなぁ」
「場所、探す必要がありますね」
「悪い世の中になりましたなぁ。教養のない人が増えたんでしょうか」
「また来週、ここでお会いしましょうか」
「そうですなぁ、今度は、人気の少ないところを探しましょうか」
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