島のまにまに~インドネシアの小径~

海洋国インドネシアのあちこちでで出会う、美しい村、美しいもの。自然とつながる暮らし。

山の村の干物

2012-10-19 | 食べもの

今、日本で、魚の干物を買ってきて冷蔵庫に入れない人って、どれぐらいいるだろうか。
というか、夏でも冷蔵庫に入れないでいい干物ってどれぐらいあるんだろうか。
せいぜい煮干、棒だら、するめいかぐらい?
昨日目刺しを買ってきたけど、ほとんど生といっていいぐらい、なまなま、ぶよぶよで、とても常温におけるしろものではなかった。それでも一番乾いていそうなのを選んだのだけど。今は日本では干物も保存食・乾物としてではなく冷蔵庫に入れることを前提として作られているようだ。
そもそも、干物だけでなく、ハムやソーセージやベーコンだって、常温保存を目的としてあみだされたものだが、これも保存料をいっぱい入れた上でさらに冷蔵庫に入れている。考えてみればおかしなことである。もしかすると乾麺やインスタントラーメンも冷蔵庫に入れている人がいるのかもしれない。お漬物もしかり。
ちくわやかまぼこやはんぺんだって、短期的に常温保存するものだったから、山里でも入手できて昔の人はよく料理に使っていた。

インドネシアは一年中夏のような国だけど、大都市のお金持ち以外は冷蔵庫を持っていないから(それどころか電気も十分ではないから)、干物は大活躍している。パサール(市場)で盛大に並んでいるが、小さな山の村に1軒だけある小さなお店で、こんなふうに売っているのを見かけた。これ、7匹つながっている。日本の目刺しはわらや竹串に刺さっているけれど、ここでは竹を裂いたもの。それでお値段なんと2000ルピア(17円)。安い。17円だからじゃなくて、2000ルピアというのが、インドネシア人的にも結構安い食材だと思う。
それがまた、べらぼうにおいしい。
これ以上ないような山奥の村で、ごはんと目刺しが出た。きゅっと締まって、塩気が少し強いけどものすごい旨みで、それはもう、あの、から塩のサケの皮の近くのお塩が結晶しているあたりの旨みに勝り、もっとさっぱりしている。凝縮したダシみたい。臭みも苦味もない。食料の乏しいところで、魚なんて高いだろうからとおかわりしたい誘惑と必死で戦い、なんとか我慢した。次回行くときはこの目刺しをわんさか背負っていきたい。

そのおいしさを何とか日本でも味わいたくて目刺しを買ってきたけど、全然足元にも及ばない。やっぱり大手スーパー○ロ○じゃだめか。海辺の村に行けば日本でもいいのが売っているのだろうか。

常温で保存できる干物、日本でも取り戻したい。何でも冷蔵庫に入れる癖はやめて、昔の知恵を取り戻してはどうだろう。



写真/フローレス島・ルーテン近郊の村で(2012年)

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