不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Le colonne di Philippe Starck

2009-12-08 05:46:00 | アート・文化

テラコッタのテーブルや花瓶、壺、額縁などの
いつもの作品の中に
いつもとは違う大きな異様な形の作品。
フィレンツェ郊外のスカンディッチ(Scandicci)にある
テラコッタ工房(La Torre)で製作されたある作品は
ビルバオ(Bilbao)へ運ばれます。

ビルバオでは現在、
フィリップ・スターク(Philippe Starck)のデザイン・監修で
カルチャーセンターの建設が進められています。
2010年4月28日のオープン予定のカルチャーセンターで
40,000平方メートルの空間で、
43本のデザイン装飾柱が立てられる予定になっています。
この柱は木材、大理石材、石材、金属材など
様々な素材で作られています。
そして43本のうち39本はレッチェ以北の
イタリア各地の各工房で製作されていて、
冒頭のスカンディッチのテラコッタ工房では
テラコッタ製の柱を6本製作しています。

数多くのイタリア映画の脚本を手がける
Lorenzo Baraldi(ロレンツォ・バラルディ)が総監修で
準備が進められている43本の柱。
ビルバオ・プロジェクトでスタークと仕事をしている
ジェノヴァ出身の建築家
Stefano Robotti(ステファノ・ロボッティ)から
装飾柱の監修の話を持ちかけられ、
わずかな時間にアイデアと実践性を求められる
重大な仕事を受け、
約800の下書きをスタークに提示し
その中から詳細を詰めたという作品群。

そして43本の柱モデルが完成すると
イタリア国内の職人工房をネットで探し、
その一つ一つを訪ねて発注依頼を続けてきました。
この不況下にあって、大きな仕事になるため
どの工房も二つ返事で受けてくれるであろう
という予測は大きく裏切られ、
小さな職人工房では新しいことへの挑戦と
特別注文への投資を拒む雰囲気があり工房選定は難航。
そんな中でトスカーナ州からは
スカンディッチから6本のテラコッタ製、
カッラーラ(Carrara)から3本の大理石製の柱が作成されて、
まもなくビルバオへ搬出されることになっています。

今回製作を受け持った各工房では
若い世代が伝統技術を受け継いでいることが明らかになり
斜陽ともいわれるイタリアの職人技の伝承にも
わずかながら光が残っていることを実証できる結果ともなり
イタリアの職人技術の質の高さを
ヨーロッパそして世界に知らしめるよい機会になると
Baraldiは述べています。