不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La creativita

2004-06-15 15:43:00 | アート・文化
「J'sてんてんてまり」~歩く人~にトラックバック

イタリアも街のあちこちに落書きの多い国だ。
それが時には
とんでもない芸術性を帯びていてドキッとさせられることもある。
ただの殴り書きであることも多いけれど、
いずれにしても
そこには「何かを訴えたい」という欲求が隠されているのは確か。

今朝、ビリーさんの散歩の途中で見かけたおじいさん。
彼はビニール手袋をして刷毛をもって
一心不乱に壁を塗っていた。
どうやら選挙からみで
色々と訴えたい心が街に溢れ出していたここ数日
おじいさんの家の扉の両脇にも
スプレーで「心の叫び」が書き付けられてしまったらしい。

書き付けた人の心の叫びがわからないわけではないだろうけれど、
おじいさんとしては家の壁に落書きがあるのも許せなかったのだ。

落書きするのも創造力の表れ。
それをクリーム色のペンキで塗りつぶしていくのも
一種の創造力の表れ。

schizzo.JPG

その昔、
ミケランジェロは彫刻家として
真っ白のカッラーラ産の大理石を目の前にして
「ここに目がある」、「ここに手がある」といって
デッサンも下書きもなく
おもむろに石に彫刻刀を打ちつけて掘り出した
という逸話が残っている。

物を創る人というのはそういうものなのかもしれない。
自分の意思とは無関係のところで呼び覚まされた感覚に
ただひれ伏して製作していく。
それこそ神業なのだ。

残念なことに私にはそういう才能が与えられなかったらしい。
まぁいいか。
自分の意思でモノを作るのもまた面白いってことで。


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBありがとうございます。そうですよ、これですね! (j-tenten)
2004-06-15 15:59:57
TBありがとうございます。そうですよ、これですね!
木や石の彫刻家も、中にある形を掘り出すだけだ、とよく言ってます。音楽も、文学も、スポーツも、農業工業なんでも、通じることなのでしょうね。私は、それを楽しむ能力がある、と開き直っておりまする。(^_^.)
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Unknown (DORA)
2004-06-15 17:38:41
子供の頃、空に浮かぶ雲が
いろ~~なものに見えた・・・
あんな感覚なんじゃない?

子供は、そういった意味で天才的だよね

ビリーを片手に
遠くからこっそりと写真をとっている
Alberoさんを想像しています・・・(笑)
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イタリアって電車にも落書き多いですよね。だいた... (kira)
2004-06-15 18:25:28
イタリアって電車にも落書き多いですよね。だいたいがグラフィティとよばれるもので、なかにはアートと呼べるようなものもあるのでけっこうおもしろいのですが、運転席の窓ガラスがグラフィティで真っ黒なのはやめてほしい、というか、消してよFS、あぶないよーとおもうこと(とくにナポリ)有り。

ところでこのグラフィティ、日本でもはやってきていますが、もとはヒップホップとかのカルチャーのひとつで、縄張りを示すサインをアートにしたのだと聞いたことがあります。つまり"族"の方々が"伊豆中央連合最強!"と千本松の防波堤に書くのと変わらないんだろうなー。
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おお~、かなりディープなお話! 楽しいね~。 (ハヤト)
2004-06-16 05:24:20
おお~、かなりディープなお話! 楽しいね~。
突き動かされて、もしくは取り憑かれて創造した作品。とするとその人物は媒体? でもその人だけの見え方と捉え方で表現しているのだよね。
なんだこれ哲学問答? ぐるぐる~♪
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う~ん、ほんとそういう才能のある人を (milky)
2004-06-17 09:35:03
う~ん、ほんとそういう才能のある人を
羨ましく思います。形あるものをこうしたい!という
欲求はあるのですが、無から何かを作るってほんとに
凄いわ~。いたずら書きは相手が喜ばなかったら
喜ばれそうなところに書いて欲しいですね~。
ってないかな?(笑)
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こんにちは。私はalbero4さんの言葉の、訴えかけ... (ロココ)
2004-06-18 08:18:24
こんにちは。私はalbero4さんの言葉の、訴えかけるものの強さを感じます。それも生まれてくる時に、天から与えられたギフトなのでは?と思います。言葉によって、世界を作りあげていくのも、ひとつの創造ですよね。
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>j-tentenさん (albero4)
2004-06-18 14:46:12
>j-tentenさん
こちらこそいつもTBお世話になりっぱなしで。
本当に才能のある人には見えるんでしょうか、
石焼などの素材の中に生きる魂がね。
私も作る側ではなく、恩恵を被るほうに属しています。(笑)

>Dora姉さん
姉さんは創造力の塊ですから!
私は子供の頃、雲は雲にしか見えなかった!
せいぜい綿菓子を想像するくらいの想像力なのだ!
私は一般小市民だった…子供の頃から(笑)。
ビリーの散歩の途中で写真を撮るのが
どんなに至難の業か姉さんにはわかってもらえると思う…。

>kiraさん
イタリアの電車は車面広告なし。
落書きのスペースで精一杯(笑)。
でもいつ誰が描くのかと
不思議に思うほど丁寧に書き込んであるよねぇ。
「縄張り」を示しているというのはこちらでも聞きます。
だから同じロゴをあちこちで見つけると、
「ここにも来たんだな」って私も確認してしまう。(笑)
族方面の方々の行動と同じとは、
確かにそうかもしれない!

>ハヤトさん
ディープな話ですか。発端はJ-tentenさんですから。
私は基本的にはかるぅい話題ばっかりです。
そう、モノを作る人ってある意味では媒体なのでしょう。
その人自信の意識の、
もしくはそれの上に力の及ばないモノの。

>milkyさん
自分の思いを何かの形にしようと思って
足掻いているのが一般人です。
天才はそれをちゃんと形にするんだよね。
それも実はすごく大変な思いをしていたとしても、
なにげなくさりげなく。
いたずら書きは喜ばれないから「いたずら」なわけで、
喜んでくれる人がいたら「アート」だと思うよねぇ。

>ロココさん
ありがとうございます。
もし神が私になにかを与えてくれたのだとしたら
物を書くことだけだと私は思ってます。
一時は周りの才能に圧倒されて
物を書けない時期があったのですが、
今ようやくまた立ち直ろうとしているところなんですよ。
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