日本人にはファンも多いラファエロ。
題材になじみやすいものが多かったり
なにより女性的で柔らかな画風が日本人好みなのかも。
私はどちらかといえばペルジーノのほうが好きだし
ミケランジェロの力強さに惹かれるので
あまりラファエロに傾倒はしていないけど。
幼少期のウルビーノでは
宮廷画家であった実父に師事し絵画の世界に入り
ペルジーノの影響を大きく受けた後にフィレンツェに移住。
彼がフィレンツェに移り住んだ頃には
既にペルジーノを凌駕する才能を発揮していたといわれ
さらにフィレンツェでは当時既に名声高かった
レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロの影響を受けて
彼らの技術を吸収しながら独自の絵画世界を極め
最終的に非常に古典主義的で安定感のある
女性的なやわらかさに溢れた作品を制作。
母性を前面に出した聖母子を描いた作品が多いので
「聖母子の画家」とも呼ばれたり。
5月からローマのボルゲーゼ美術館で開催されていて
ずっと行きたかったラファエロのアンソロジー展。
ラファエロのフィレンツェ時代からローマ時代への
移行の時期の作品を集めた展覧会。
絵画作品とデッサンをあわせて60点の作品が出展。
久々に入ったボルゲーゼ美術館自体も
やっぱり絢爛豪華で大満足。
大好きなカラヴァッジョの作品が山ほどあるのも嬉しい。
「天使と悪魔」を読み進めている最中だけに
ベルニーニの彫刻も気になって
いつになくじっくりと鑑賞。
アポロとダフネなんかは稜線が甘く滑らかで情緒的で
改めてよい彫刻作品だと実感しました。
特別展に出展されている60点には有名な作品が多く
どの作品を見てもラファエロらしいやわらかさが溢れていて
ラファエロファンでなくても魅了されるだろうなぁ。
実に優れた作家なのだとお思います。
優しい雰囲気の女性の肖像画や
バランスの取れた聖母子像とともに
展覧会の締めくくりとして展示されているのが
「キリストの十字架降下」。
「キリストの遺骸の運搬」とも
「ボルゲーゼの十字架降下」とも呼ばれる作品。
ラファエロらしい鮮やかな色彩で描かれるシーンのあちこちに
ミケランジェロの力強さと躍動性、
レオナルドの構図が見受けられて、
しかもそれがきちんと統合されて形になっているのがすばらしい。
1507年の作品で、
当時既にその才能で名を知られていたラファエロを
なんとかして自分の手元におきたいと考えた
教皇ユリウス二世が
彼をローマに呼び寄せる決定打となった作品。
作品は当時の有力者だったバリオーニ一族の若者が
ペルージアで惨殺された事件を受けて
その追悼として、
母親であるアタランタ・バリオーニが依頼したもの。
十字架からおろされたキリストをバリオーニの若者に
聖母マリアをその母親にたとえて描いているのが特徴。
この作品の習作としてのデッサンも数点一緒に展示されていて
作品完成に至るまでに数々の緻密な計算と
デッサンが重ねられたことがよくわかります。
天才は努力と研究を怠らないというのにしみじみ感動。
ボルゲーゼ美術館は見学時間制限つきの完全予約制。
入場制限されていることもあり混雑することもなく
2時間でたっぷりゆっくりと常設展と特別展が楽しめます。
Raffaello -Da Firense a Roma-
Galleria Borghese
Piazzale Scipione Borghese -Roma-
開催期間: 2006年5月19日から2006年8月27日まで
開館時間: 月曜日 13:00-19:00
火・水・日 9:00-19:00
木・金・土 9:00-23:00
入場料: 12,50ユーロ
事前予約: +39-06-32810もしくはwww.ticketteria.it
インフォメーション: http://www.mostraraffaello.it
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