サンタ・マリア・ノヴェッラ教会からも近く
ルチェッライ宮殿の裏手の
同名の広場にある旧サン・パンクラツィオ教会
(ex-chiesa di San Pancrazio)は
すでに神聖を解かれ、一時は葉巻製造工場だったり
軍隊の倉庫であった時代もありますが、
現在はマリーノ・マリーニ美術館
(Muse di Marino Marini)となっています。
ただ、この教会の一部のみは、神聖をとかれることがなく、
そこにルチェッライ礼拝堂(Cappella Rucellai)があります。
同名の礼拝堂はサンタ・マリア・ノヴェッラ教会内にもあり、
そちらのほうが一般には知られているのかもしれません。
教会の名前に冠されているパンクラツィオは
4世紀の初めにわずか14歳で殉教したと伝えられる聖人です。
教会の起源は古く、
シャルルマーニュ(Carlo Magno)が建設した
との記述も残っているようです。
1300年代から増築改装が始まり、
1400年代後半になると
Giovanni Rucellai(ジョヴァンニ・ルチェッライ)が
お気に入りの建築家Leon Battista Alberti
(レオン・バッティスタ・アルベルティ)に
教会左脇の礼拝堂の改装を依頼します。
この改装は1467年に完了し、
ここには現在までアルベルティの小さな傑作が残されています。
それがTempietto del Santo Sepolcro
(サント・セポルクロ神殿)と呼ばれるもので、
エルサレムの聖墳墓の忠実な縮小版復元でもあります。
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会のファサードと同じように
白と緑の大理石をメインに使って幾何学模様で飾られ、
非常にシンプルでありながらエレガントな佇まいとなっています。
この神殿のなかに
制作依頼主のジョヴァンニ・ルチェッライが永眠しています。
神殿の外壁を飾る30枚のパネルには
全て異なるシンボルが描かれていて、
単純な幾何学模様もありますが、
中にはジョヴァンニ・ルチェッライの個人紋であった
「風を孕む帆」もありますし、
メディチ家のメンバーの個人紋も用いられています。
ジョヴァンニ・ルチェッライの息子と
メディチ家のロレンンツォ・イル・マニフィコの姉が
1460年に結婚したことで、両家の絆ができたため、
ルチェッライ家の紋と並んで
メディチ家のものも使われているのです。
神殿の上辺は連続するゆりの紋章で飾られ、
柱頭やフリーズ装飾などの細工も
どれも均整が取れた美しい作品です。
礼拝堂だけが時々見学可能になることもありましたが、
管理の問題と修復のため、
長年一般の見学ができませんでした。
今回、隣接のマリーノ・マリーニ美術館に組み込むことで
2013年2月18日より通常一般公開が実現しました。
Museo Marino Marini e Cappella Rucellai
Piazza San Pancrazio, Firenze
開館時間: 10:00-17:00
休館日:火曜日、日祝祭日
入館料:4ユーロ
インフォメーション: www.museomarinomarini.it
*ルチェッライ礼拝堂は混雑している場合は、
30分毎の入れ替え制で最大25名の入場
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます