不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Riapertura del Museo Martelli

2009-11-10 13:00:15 | アート・文化

フィレンツェのドゥオーモからもほど近く、
サン・ロレンツォ教会の裏手に当たる場所に
Martelli(マルテッリ家)の邸宅が残っています。

1520年代からMartelli(マルテッリ家)の所有で
代々一族が暮らし続けてきた宮殿は
1600-1800年代の様式で現在まで保存されています。
他の貴族・商人と同じように1900年代の不景気の影響をうけ
その財産の一部を切り崩して食いつないできましたが、
1986年最後の相続者であったFrancesca Martelli
(フランチェスカ・マルテッリ)が亡くなり
彼女の遺言で一族の所有する不動産と芸術作品などは
いったんフィレンツェ司教区に委譲され、
さらにフィレンツェ美術館監督局の手に渡りました。
美術監督局の指揮の下、長く修復と保存作業が続けられ
美術館として生まれ変わりましたが、
これまで何度も延期されてきた一般公開が
10月22日にようやく実現。

1400年代にはメディチ家との繋がりも強く、
一族は銀行家として商人として、
そして政治家としても活躍し
特にNiccolo Martelli(ニコロ・マルテッリ)は
フィレンツェ・ルネッサンスの重要なパトロンの一人として、
Donatello(ドナテッロ)を厚遇したことでも知られています。
現在バルジェッロ美術館に所蔵されている
Stemma di Martelli(マルテッリ家の紋章)はドナテッロの作品です。
またサン・ロレンツォ教会にある
マルテッリ家の石棺もドナテッロ作だといわれています。

ドナテッロの作品以外にも数多くの芸術作品を所有し
中にはPiero di Cosimo(ピエロ・ディ・コジモ)、
Luca Girdano(ルカ・ジョルダーノ)、
Domenico Beccafumi(ドメニコ・ベッカフーミ)、
Salvator Rosa(サルヴァトール・ローザ)などの作品も含まれます。
最後の相続者から
教会、そしてイタリア国家へと所有権が移る間に
行く先不明となった作品もまだ十数点あるようで、
現在も国家重要文化財特別警備隊による
捜索が続けられています。

フィレンツェ内の国立美術館の一つとして
通常公開が始まりましたが、
現時点では週2日の公開で
いずれも完全予約制でガイドつきの見学となっています。

美術館として生まれ変わった個人邸宅。
華やかな時代に思いを馳せながら、
文化の重要性と人類の栄枯盛衰を
肌で感じることができる貴重な場所としてお勧めです。

Museo Martelli
住所: Via Zannetti 8 Firenze
開館日: 毎週木曜日、土曜日
開館時間: ガイドつき見学完全予約制
       木曜日 14:00,15:30,17:00
       土曜日 9:00,10:30,12:00
入場料: 無料、ただし完全予約制で予約料は3,00ユーロ
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