ナポリの北にあるカゼルタの街。
ここにある「Reggia di Caserta(カゼルタの王宮)」は
1997年からユネスコの世界遺産に
登録されている文化遺産。
広大な敷地に広がる庭園と
長く直線に繋がる水路が圧巻の巨大建築物です。
当時ナポリを支配していたブルボン家(Borbone)の
当主カルロ3世(CarloIII)が望んだ
宮殿&庭園の構想は非常に壮大で、
その構想の全体像は完成しなかったものの
現在でもベースとなったフランスのヴェルサイユ宮殿を凌ぎ
ヨーロッパ最大の王宮としても知られています。
ブルボン家・カルロ3世がカゼルタの美しい自然に魅了され
そこに自分の王国の首都を建設したいと願い、
当時王宮としては最大といわれたヴェルサイユ宮殿をモデルに
それ以上のものを建築しようと構想。
最初はNicola Salvi(ニコラ・サルヴィ)に依頼したものの、
建築家の体調不良が原因で断られ、
Luigi Vanvitelli(ルイジ・ヴァンヴィテッリ)に白羽の矢が立ちます。
その当時ヴァンヴィテッリは教皇の命で
ロレート(Loreto)の聖堂の修復に当たっていましたが、
カルロ3世は教皇に直々に嘆願して
ヴァンヴィテッリへの依頼が成立。
宮殿、庭園そして新規水道橋や水路など
周辺の都市整備も含めた壮大な計画は
ブルボン家の財力と権力の証となるものであると同時に
合理的で実用的なものであるべきというのが根本理念。
ヴァンヴィテッリがカゼルタに到着したのが1751年。
プロジェクトの提出が同年11月22日で、
翌1752年1月20日に壮大な計画の礎石がおかれます。
このときの様子はGennaro Maldarelli
(ジェンナーロ・マルダレッリ)が手がけた
「玉座の間(Sala del Trono)」の天井フレスコ画に残されています。
着工から約一年で宮殿の工事はかなり進み、
平行して庭園の整備が開始されます。
数年の工事が続けられましたが、
カルロ3世がスペイン王に選出され
ナポリを後にしてマドリッドへ転居したため、1759年の時点で未完。
その後カルロ3世のあとを継いだ歴代のナポリ王は、
Gioacchino Murat(ジョアキーノ・ムラット)が
室内装飾に力を注いだ以外は
この壮大な計画に
カルロ3世ほどの情熱を持っていなかったこともあり
資金源がなくなるに従い、工事自体も消滅。
そうこうしているうちに1773年3月1日にヴァンヴィテッリが死去。
彼のあとを継いだ息子のCarlo Vanvitelli
(カルロ・ヴァンヴィテッリ)が1780年に何とか完成させています。
当初の構想は未完成とはいえ、
実に1200室を数え1790の窓を誇る長方形の巨大な宮殿は
南面の長さが249メートル、高さ約8メートル。
長方形の建物は4つの中庭を持つ
採光のよい間取りになっています。
外観はシンプルな柱廊装飾の宮殿の内部は
絢爛豪華に仕上げられています。
現在見学可能な王宮居室部分へのアクセスともなる
巨大な玄関ポーチとそこから伸びる大階段は
117段、幅は18,50メートル。
多くの映画のシーンにも出てくる有名な場所でもあります。
宮殿を出ると広大な庭園が広がります。
宮殿に近い部分がイタリア式庭園、その先にイギリス式庭園。
はるか2,5キロ先に見える大きな滝から流れ落ちる水流が
5つの噴水を備える長い水路を流れている景色は圧倒的。
宮殿近くから
Fontana Margherita(マルゲリータ噴水)
Fontana dei Delfini(イルカの噴水)
Fontana di Eolo(風の神アイオロスの噴水)
Fontana di Cerere(農業の神ケレスの噴水)
Fontana di Venere e Adone(ヴィーナスとアドニスの噴水)
宮殿から一番遠く滝の真下にあるのが
Fontana di Diana e Atteone。
イギリス式庭園はカルロ3世の後継者であったFerdinandoIV
(フェルディナンド4世、後に1世)の妻Maria Carolina d'Asburgo
(ハプスブルグ家のマリア・カロリーナ)が望んだもの。
またフェルディナンド4世の時代に完成して
妻の名前を冠している水路
Acquedotto Carolino(アックエドット・カロリーノ)が
この庭園への水の供給源となっています。
41キロ離れた先から水を汲み上げて6レベル3つの橋を経て
庭園まで水を運んでいます。
Reggia di Caserta Complesso Vanvitelliano
開館時間:8:30-18:00(6月、7月、8月)
8:30-17:30(5月、9月)
8:30-17:00(4月)
8:30-16:30(10月)
8:30-16:00(3月)
8:30-14:30(1月、2月、11月、12月)
休館日:毎週火曜日
入場料:宮殿&庭園共通入場チケット6,00ユーロ
庭園内周遊バス往復チケット1,00ユーロ