ツレヅレグサ

雑記と愚痴と、時々小説

俺が周りの人間を嫌う理由

2007-05-24 12:57:13 | 日記
結論から言えば、信じる心を否定された瞬間から、それが始まった。

 この地域に来るまではごく普通の生活、ごく普通の友達関係だった。奢り合いは当然あったし、学校内では友達集団で遊んでいるのも日常だった。あそこを去るまではずっと、俺だって他人を信じていた。友達を、そして大人達を。
 でも、ここに来た瞬間から何かがおかしくなり始めた。あっちにはなかった、いや目立たなかったものが、ほぼ剥き出し状態でそこにあった。それが、権力の上下関係だった。最初に声をかけてきた奴は、比較的規範の悪い連中のトップだった。その時の俺は、単に自分の傘下に置こうと考えていることには全く気づかず、ただ単に友好関係を結ぼうとしているのだ、と思っていた。そして奴らと何度か遊んだ・・・それが俺自身に大きなトラウマを与える事になるとも知らずに。
 中学へ上がる前、あの時点で気づいていればよかった。奴は俺への関心を失い、次第に阻害するようになっていた。俺自身もまた、奴に対して嫌な予感を抱いていた。そして、春休み直前にある出来事が起こった。口喧嘩がどんどん悪い方向へと向かい、俺は二言三言暴言を吐き、その場を立ち去ろうとした。が、その瞬間俺の後頭部に衝撃が走った。軟式野球用の金属バットを投げつけられ、運悪くそれがあたってしまったのだ。幸い、痣ができた程度で済んだものの、万が一当たり所が悪かったら・・・。それ以降俺は奴から離れ、別の集団の一人になった。
 だが、あの時の恐怖心は消えず、いつまでも俺に付きまとっていた。もちろん、その時は俺に落ち度があったと思い、ずっと悩んでいたのだが。中学一年の夏休み直前、転校する女子の「あいつには気をつけなよ」という言葉をちゃんと受け取っていれば・・・。そして、再び事件が起こった。不幸にも俺と奴は同じクラスだった。冬休みも終わったころ、奴は昼休みになるとちょっかいをかけてくるようになり、しばらくは俺も無視しようと努力していた。だが、約一ヶ月で俺の怒りは頂点に達した。いつものようにちょっかいを出してきた奴に、俺は今までの恨みを込めて殴りかかった。もちろん、がたいも腕力も相手の方が上回っているから勝てるはずもない。結局殴り返されただけだった。
 そして、部活でもさらに追い討ちをかけられた。といっても、同一人物からではないし、それに関連した話でもない。部活内で、今まで先輩達にゴマをすってきた奴が実権を握り、自分の都合のいいようにやり始めたのだ。もちろん、部員のほとんどが奴に対して反感、いやもしかしたら殺意さえも抱いていただろう。しかし、先輩が期待をかけた部員だったために、手を出すわけにもいかず、ただ不満のたまる練習を退部まで続けていた。一年の頃はまだ、やつに親しみをもてるくらいでは会ったが、あまりの傍若無人な振る舞いに失望し、同時に見て見ぬ振りで済まそうとする他の部員にも失望した。
 何をやるにしても、自発的に行動する人間はほんの僅かで、ほとんどの人間はやる気もなく、そして努力する人間が失敗すれば笑いものにし、日常の不満を集団外の人間にぶつける者ばかり。いつしか、この地域で自分が信頼できる人間などいないのではないか、という疑いが心の中を占めるようになり、俺は人を信じる事ができなくなった。
 いくら頭が良くても、結局はわがままの通じる者同士で集まり、閉鎖的な者達がほとんど。そして、常に疑いを持つ者を仲間にする者などいない。結局孤独なままだ。だがそれが何だ。俺は心から信じていたのに、彼らは何とも思わず裏切り、侮辱し、追い詰めた。その上、そこまで深い傷を負わせた罪悪感はなく、それが当然であるかのように振舞う者達を、どうやって再び信じるというのか。どうやって加害者である彼らを許すというのか。今、俺が辛うじて信じられるのは、ほんの一握りの友達と、仮想の世界に住まう匿名の人々だけだ。それ以外は全て、仮面で顔を隠し、その下で残酷な笑みを浮かべているようにしか思えない。

 救ってほしいとは思わない。ましてや、今更偽善で塗り固めた親切など必要ない。おそらく、この世界に存在する全ての人間を掻き集めたとしても、救える者はひとつとして存在しないだろうから。俺は一生、この深い傷と疑心を持ち続けることになるだろう。それもまた、ひとつの人生というものか。

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