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読書の森

夢一筋の天の川

昨年のblogにも引用した夏目漱石の俳句、「別かるるや 夢一筋の 天の川」
これをロマンティックな恋と結びつけたのですが(そう解釈する方もいますが)、実は漱石さんは瀕死の床でこの句が浮かんだそうです。
それも意識朦朧とした時、脳裏に浮かんだとか。
晩年伊豆で静養中の漱石、大量の吐血をして一時医者が家族に「ご臨終近い」と告げたそうであります。その6年後夏目漱石は49歳で他界されます。当時としてはそれ程でないかも知れませんが、私には短か過ぎる気が致します。

天の川はあの世とこの世を分ける川で、別れとはこの世の別れの事です。では夢一筋とは、天の川のイメージでしょうか?それとも移りゆく自分の生涯を振り返った言葉でしょうか?

それにしても、さすが文豪、瀕死の状況でこれほど美しい名句を詠まれるのですね。


漱石さんと離れて、このご時世せめて七夕にロマンティックな夢をかけたいな、と思います。
1年に一度しか会えない逢瀬、しかも日本では雨天が多く(梅雨の為)、この逢瀬さえままならぬ哀しい恋です。

日本人にこのお話が喜ばれるのは、悲恋のお好きなお国柄でしょうか?

実は私もhappy endより哀しい結末の物語が大好きでした。
中学から高校にかけて、漱石の『こころ』、スタンダールの「赤と黒』など熱心に読み耽ってました。一体どれほど意味が分かったか疑問です。
多分現実の別れの辛さが全く実感出来なかったからでしょうね。
母は悲劇の別れの物語をひどく嫌がってましたが、「結構甘い」とバカにしてたのです。

ところが、別れが生き別れだけで無い事を知った今、母の想いが身にしみます。
戦争で親族や友人たちに死なれた若しくは別れざるを得なかった人には、悲劇の別れが辛いのでしょうね。


辛い話は休止して、七夕の天の川に見立てた超簡単料理を作りました。

味付けもずくを川に見立て、オクラをちょっとチンして切り飾ります。オクラを切ると星形になります。彩りにレモンの薄切り月見立てです。

結構味が合いました。


さて蛇足なんですが、昭和20年、終戦の直前の7月7日、哀れな記事が載っております。どうかどうかこれ以上戦争が悪化しませんように!
七夕に祈ります。


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