見出し画像

読書の森

山本周五郎『ちゃん』

三寒四温どころかジェットコースターのように上がり下がりする昨今の気候、お元気でいらっしゃいますか?

当方は半分冬眠状態でありました、、。
それではいけないと、文庫本を再読、本日紹介するのは山本周五郎の『ちゃん』です。

山本周五郎は生家の事情で奉公に出され、苦労した人です。貧乏の味をたっぷり舐めた方。ただし、(あくまでも私の想像ですよ)かなり女性にモテた方のようで、悲運の女性を優しく暖かい目で書いた作品が非常に多いです。名作アンソロジー『おたふく』にはそんな女性が多数登場します。

そのヒロインを以前も何回か紹介しましたが、今回の主人公は男性です。
腕はとびきり良いがお人好しで時代遅れの為、貧乏に甘んじている江戸の職人、健気な奥さんと優しい子供達の物語です。


その職人、重吉、四人の子供達から「ちゃん」と呼ばれてる、は日本橋の貧乏長屋に住んでます。
江戸時代八丁堀と言われた辺り(上の図参照)

伝統を伝える昔ながらの型の火鉢を作らせたら右に出るものはいない、腕を持つ重吉。ただしその火鉢はもはや時代遅れ、どんなに品物が良くても、安い今(当時の)風の火鉢にとって代わられてる。全然儲からない。

子沢山で真面目、働き者の重吉は時代の波に乗った仲間にバカにされながら、古臭い仕事をたった一人で続けてる。

(上の図は現在のその辺りです)

その重吉を暖かく見守る家族。妻は内職で稼ぎ子供も幼い内から働いている。貧乏で呑助だけど、お人好しで家族思いなのを肌で感じているのでしょう。
そんなお伽話が現代に通用しっこない。と鼻で笑われそう。

確かにとは思います。
が。

酔って歩く内に出会った宿なし男に同情して、家に泊め、一家が眠ってる内に有金を盗られてしまった。

この「バッカみたい」(と思う)な男は自分に愛想が尽き、「こんな厄介者は家に居ない方が良い。家を出る」と言い出す。
その時、家族全員が一緒に付いてくと言うのです。
「おめえたち、みんなバカだ」と子供たちに言う重吉。
「みんな、ちゃんの子だもの、ふしぎはねえや」
と返す子供。

そして皆んな吹き出してしまいます。

そして結局家族は長屋を出ずに、仲良く、ただし依然として貧乏に甘んじて暮らすのです。

なんか、色々とお叱りを受けそうなお話です。
ただ、人情味豊かな山本周五郎作品の熱心な愛読者は昭和中期にかなりいました。
せっかくの有利な職場(公務員)を出てALS患者を対象にした活動団体に身を投じた周五郎の熱心な読者の女性を私は知ってます。
無償で働く医師、『赤ひげ』に感動したのでしょうか?

「情に棹させば流される」とは言いますが、何も男女の情ばかりでない、人情のない世の中は、文字通り「情なし」の世でございます。






寒い日は鍋モノ。今日の昼からおでんでございます♪(居室でカセットコンロで炊くと湯気が出てあったかいです)^_^
ただしガスボンベの無駄遣いは勿体ないのであらかじめ充分煮込んでおきます。
なお煮込む鍋は別です。いっぱい作っといて一人鍋で温まりますよ😊

ご飯は茶飯です(出汁と醤油を適宜入れて炊きます)。
これは大学のサークルのおでんパーティの時友達が教えてくれました♪


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「書評」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事