そこは当時の大学生、すぐに友達になって、一緒にお茶する事になりました。
当時の新宿駅ビル(西口は全然開発されてないので東口)の中華料理店、お茶の筈が本格的なデイナー(?)に変わりました。
粒とうもろこしを鶏ガラのスープで煮て味付けした一品が絶品であります。
二人とも現役で教育学専攻に受かった早稲女ホヤホヤで、希望に燃えて薔薇色の頬して薔薇色の夢を語ってます。
ところが、という事もないけど、ようやく彼女が頗る美人な事に気づいた。
周りの男の人がちらほら彼女を見る目が違う。
美味しそうなミルク色の肌、夢見る様な円な瞳、柔らかそうなピンクの形の良い唇、スラリとしたスタイル。
モデルにしても充分通用するみたいだった!
私は結構自惚れて「可愛い」とか自分のことを思ってましたが、色は黒いしチビだし、太ってるし、なんだかひどく野暮ったいし。
とその時は卑下しなかったけど^_^客観的に見てかなり差がございました。
美人なのに気がついて、この人と並んで歩きたくないと内心私が思ってるのに、彼女は全然無頓着。
豊かな地方のお嬢さんで同じく大学生のお姉さんと一緒に暮らしてるとか。
身の上話をどんどんしてくれます。
なんだか、凄く積極的です。
新入生ですから、何かサークル活動に入って人の輪を広げようと、ある日、彼女がかねてから心に決めてたコーラス部の部室を一緒に訪れました。
すると、、、(╹◡╹)
男子が圧倒的に多いこの大学、中にいた男の子たちの目線がいっせいに彼女に集中。
目にはキラキラと星⭐️が輝いてました。
サザエさんから引用するとこんな感じ。
私がそばにいるのに誰も見向きもしない。
と、ガックリしてる私に優しく声をかけてくれた男子。
それは当時の私が見かけとしてもっとも嫌だったタイプでした。
コロコロ太って、メガネかけた、若いのに🥸オッサンそのもののお方。
私憮然としちゃった。
部室出た彼女、長閑に言います。
「良かったわね。雰囲気。一緒に入りましょうよ。あなたがいると心強いわ」
私の気持ちなんて全然気がついてないらしい。
「ああどうせ引き立て役として適当でございます」
なんだか、腹が立ってしまった。
その後、コーラス部に入るどころか、彼女と一切口を効かなかったのです。
若気の至りです。後悔してます。
(多分彼女は私の本来の人の良さを見抜いたのでしょうね。彼女の美貌を白い目で見ないし、色んな事情も拘らない、気の置けない人だと思ったのでしょう)
1年も経たずして彼女はコーラス部員の大金持ちのお坊ちゃんと婚約、卒業後目でたく結婚の仕儀に至ったそうであります。
事ほど左様に美貌は得と思ったのですが、どうも人によって違うらしい。
ただし、人が見かけに左右されるのは古今東西変わりはない様です。
さて、もはや見かけを気にしていられない婆(でも見栄は大いにある)私の夕食はアンガスビーフの焼き肉です。
お醤油と酒、チューブの生姜とニンニクにつけたお肉をジューっと炒めると、幸せな香りが立ってきます。
嗚呼、あの時「人は見かけじゃない」事がわかっていたら、あのメガネの兄様とお話していたのに(さぞかし気楽に付き合えたかも)、と後悔しきりの私でございます。