緑のカーテンとゴルわんこ

愛犬ラム(ゴールデンレトリバー)との日々のあれこれと自然や植物、
本や映画などの勝手な独り言を書き留めています

与えられた命、支えてくれた音楽

2020年03月19日 | 病い

夜のひと時をYouTube Musicを聴いて過ごすのが、習慣になりつつあります。

YouTube Musicはその時々の気分にあわせて、簡単にさまざまな楽曲を楽しめ、助かっています。昨日はちあきなおみを聴いていました。持ち歌の「喝采」もいいのですが、他にもいろいろいい歌を彼女は歌っています。私が好きなのは、「黄昏のビギン」「東京砂漠」「矢切の渡し」など種々あります。本当に上手な歌手ですね。ご主人の郷鍈治が亡くなった時、棺に取りすがり「私も連れていって」と泣き崩れたそうです。愛の深い方だからこそ、あのような歌が歌えるのでしょう!引退が残念ですが、「冬隣」などを聴くと切なすぎて、引退やむなしの感もします。

音楽は落ち込んでいるときや不安が強いとき、悲しいとき嬉しいとき、どんなときでもその気持ちにそったものを与えてくれます。

13年前、子宮体がんの摘出手術で神奈川の北里大学病院に入院した時、娘が私の好きな音楽を集めて特製MDを作ってくれました。

曲の順番は忘れてしまいましたが、入っていた曲が今もすぐに思い浮かびます。

「パッヘルベルのカノン」
「主よ、人の望みの喜びよ」
ミュージカル「レント」の主題歌「シーズン オブ ラブ」

「カノン」は、手術前の不安を穏やかに静めてくれました。バッハの宗教音楽は神様に抱かれているような安心感を与えてくれます。

「シーズン オブ ラブ」は、どんな困難にあっても挫けない勇気を与えてくれました。

音楽に支えられて、一週間の入院生活を終えることができました。当時、私は医学の進歩をあまり知らず、体がんは子宮頸がんに比べ発見されにくく、診断されたときは転移していることが多く、予後もよくなくて、術後生存率も低いと思い込んでいました。

数年前から自覚症状があって、近くの病院に通い何度も組織検査を受けていたのに、その病院ではがん細胞は発見されなかったのです。
2年以上経ち、不正出血がいつまでも続くので、子宮筋腫もあるので、子宮全摘出をその病院から薦められました。医師は「急ぎませんので、ご家族と相談して決めてください」と言っていました。

通っていた病院ではっきりしないまま手術を受けるのは嫌だったので、私は子宮がんの専門医として有名だった上坊敏子先生のいる北里大学病院でセカンドオピニオンを受けることにしました。

北里大学病院での初診日、上坊先生の診察を受け経過を話すと、やはり手術をして子宮をとっておいたほうがよいでしょうとのことでした。何度も組織検査を受けているけど、念のため北里大学病院でも組織検査をしておきましょうと言われました。組織検査痛いんですが、遠くまで来たのでやれることはやっておこうと思い、検査を受けました。
その組織検査でやっとがん細胞が発見されたのです。

何年も前から自覚症状があり、検査を受けてきたのにどうしてわからなかったのだろうと複雑な気持ちでした。組織検査にも上手下手があるのか、検査の精密さに病院間格差があるのか、素人の私には分かりませんが、「手遅れ」の言葉が去来したのは事実です。

ちょうど綺麗に桜が咲く4月初めに北里大学病院に入院しました。末期の目というのでしょうか、そのときの桜の花は今まで見たことのないような桜花でした。

手術が終わり、出刀医から子宮深部にがん組織があり、それは全部とることができた、周りの臓器やリンパには転移してなかったと言われました。ステージ1の子宮体がんだとの診断を受けました。

信じられませんでした。出血が始まってから2年も3年も経っているのに、転移がない? 本当に? 手遅れではないの?
抗がん剤の投与も必要ないとの事で、一週間で退院となりました。

入院中にいろいろな患者さんたちと話をしました。上坊先生を頼りに遠く岡山か広島から来ている人もいました。難しい子宮がんで日本では上坊先生と後一人くらいしか治療できる先生がいないと言われたそうです。私は車で通える範囲に住んでいて、幸運だったのでしょう。

助けられた命だと思いました。支えてくれた家族や友人に、診断し手術をしてくれた病院の医師や看護師さんに、まわりのなにもかにも感謝する気持ちでいっぱいでした。

そして、入院中私を一番支えてくれたのは、音楽でした。ありがとうね、そしてこれからもよろしくね!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿