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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~

2023年05月27日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューはドラマからの映画化となった救命医療ドラマ「劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~」です。

日本では数々の医療系ドラマがヒットし、映画化されるケースが多く映画も一様にヒットしています。印象的なのは映画でもシリーズ化されヒットしたコードブルーですが、こちらも完結を迎え満を持した形で劇場版TOKYO MERが公開されました。医療系ドラマが好きな僕にとって、特に救急救命作品は劇場で鑑賞が必須ですので今回のレビューとなります。

物語は都知事直轄の走る救急室TOKYOMERの成功により、全国に設置すべくかつての同僚、賀来賢人演じる音羽を中心に文部大臣直轄の横浜MERが設置された直後に、横浜ランドマークタワーで大規模の爆発事故が発生、最上階に193名が取り残される事態にTOKYOMERとYOKOHAMAMERが協力して救出する中で悲喜こもごものドラマが展開されます。

ドラマの中核となる爆破事故とは別に冒頭からCGによる迫力ある事故現場での救出劇でスタート、妹を亡くした失意からかつての妻、仲里依紗演じる千晶との再婚と妊娠で復活した鈴木亮平演じるチーフドクター喜多見がビルに取り残された千晶と菜々緒演じる夏梅と共に救出に向かうメンバーの奮闘はリアリティにあふれています。ドラマからのMERキャストの加え、喜多見を慕う新メンバーにジェシーが横浜のチーフドクターには杏が加わって映画らしい大胆な演出がおもしろいです。

医療系ドラマは、原作や脚本に恵まれて外れがないのですが、今回の作品はチームとしての役割が明確でスタッフ個々のキャラクターが生きています。特に鈴木亮平の人間味あふれる演技と徹底的に作り込んだ医療に向ける知識と演技が光ります。出演者が彼を変態と言うのもその部分にあるのですが、変幻自在の役柄に加えて、彼の象徴的なキャラクターとしてシリーズ化を期待しています。


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映画 TAR/ター

2023年05月22日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、アカデミー賞でオスカー本命と叫ばれながら無冠に終わったケイト・ブランシェット主演の「TAR/ター」です。

ケイト・ブランシェットが女性指揮者を演じ話題となった映画TAR/ター。5月12日にようやく日本公開となり楽しみしてましたがレイトショーもなくタイミングも逃しながらようやく鑑賞できました。

ベルリンフィルの女性指揮者でコンサートマスターの女性と同性婚で養女を迎え生活を共にするリディア・ター。7年間首席指揮者を務めエミー、グラミー、アカデミー、トニー賞の4冠を受賞する天才は自伝出版も控え順風満帆の日々を送っていましたが、ある事件をきっかけに彼女の人生の歯車が狂い始め転落していく人生ドラマです。

先ずは傲慢でありながら理知的なカリスマ独裁指揮者を演じたケイト・ブランシェットの演技に終始魅了されますが、権力者の持つ孤独と不安を転落までの過程で見事に演じています。

映画会社は監督のトッド・フィールドに依頼したのは現在のミーツー運動に代表される権力者が陥いるパワハラやセクハラ行為を男性指揮者を主人公でしたが、トッド・フィールドはケイト・ブランシェットを主演として脚本を作っているところがLGBTQをテーマに進めているところが、この作品のキモです。

また、エンドロールを最初に持っていきラストシーンを彼女の再生のスタートとしている手法も面白く、2時間38分の長編でありながらもう一度疑問点を探り出したい衝動に駆られます。

昨今の映画事情は、エンターテーメント性の高い作品と難解な作品のベクトル軸はっきりしていて映画の好みが二極化する傾向にありますが、TAR/ターに限ってはクラシック音楽の崇高さの中にあるエンターテーメント性と強烈な個性を持つ主人公のカリスマ性、LGBTQの持つ社会問題を物語の中に多彩に組み込んだテーマ性が三位一体となっています。

長編作品ですが、クラシック音楽ファンにも映画ファンにも2023年の映画を語る上で欠かせない作品ですのでぜひ鑑賞してみてください。

※なお、町山&藤谷アメTubeの前後半の映画評を参考にしてみると謎の部分が解けます。


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映画 せかいのおきく

2023年05月13日 | 【映画・ドラマ・演劇】

こちらの作品、江戸時代の人糞を集める下肥売りの青年たちと長屋住まいの訳あり武家娘が主人公です。

全編糞まみれのシーンの連続で苦手な方は心して観てください。苦手な僕も吐き気をこらえながら鑑賞しましたが、 モノクロシーンの美しい映像に救われて若手からベテラン、素晴らしい役者たちの名演に感動しました。

物語は江戸時代後期、下肥買いの矢亮と紙くず拾いの忠次、寺子屋で読み書きを教える長屋住まいの武家娘おきくが厠の雨宿りの中で出会います。銭の高い肥集めの矢亮の仕事を忠次が一緒にすることとなり、おきくも父親の事件に巻き込まれ声を失う中で、つらい人生を歩む三人の姿を淡々と描いています。

武家の娘きくを黒木華、矢亮を池松壮亮、忠次を寛一郎、きくの父を寛一郎の父佐藤浩市、長屋の住人に石橋蓮司、寺子屋の住職を眞木蔵人が演じています。つらい仕事を噺家好きの矢亮が笑い飛ばしながら続ける姿や兄のように慕う真面目な忠次、貧しくとも凛として気の強い娘をそれぞれ見事に演じていて好感が持てました。

また、声を失って絶望を味わいながらも周りの支えで徐々に元気を取り戻して黒木華の生まれ変わる演技は流石です。糞尿にまみれながらのシーンの連続をモノクロの世界に替えたのも、映画の持つ水墨画の世界と重なって先入観を持たせないことに成功しています。これは、江戸時代に作られた循環社会が言葉だけが先行するSDGs。とは違う一面を見事に表現していてよく出来た内容です。

江戸末期にある社会の矛盾や絶望を感じながら懸命に生きる市井の人々の人生を映画は「せかい」の言葉にある最果てにある希望を力強くも美しく描いています。また新たな日本が伝え残す時代劇の名作を生まれました。


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山梨・小淵沢アート旅3 平山郁夫シルクロード美術館

2023年05月06日 | 【町歩き・旅】

山梨・小淵沢アート旅、美術館巡りの締めくくりは、現代日本画の巨匠で敦シルクロード研究の第一人者でもある平山郁夫氏の美術館「平山郁夫シルクロード美術館」です。
現代日本画の五山(東山、平山、加山、杉山、高山)と言われる巨匠の一人、平山郁夫氏の美術館は、故郷の広島とここ山梨にあります。
 
仏教伝来の道であり東西の文化が交流するシルクロード。当館の特徴は、シルクロードを生涯のテーマとして制作を続けた平山郁夫の日本画作品に加えて、シルクロードの取材中に妻であり現名誉館長の美知子氏と共にコレクションされた貴重なシルクロードコレクションを収蔵しています。
 
今回タイミングよく9月5日まで開催される特別企画展、中国巡回展帰国記念「崑崙の西から」を鑑賞することが出来ました。
中国西域から中央アジアにいたる崑崙山脈、その向こうにはインドやペルシャなど西方の異世界が広がりシルクロードを通じて様々な文化や思想が伝わりました。崑崙の西からをテーマにガンダーラのの仏像や西域の陶器やガラス器、装身具などの名品が展示されています。
 
前述の通り、今回の展覧会は敦煌研究所を皮切りに中国全土13の会場で4年半にわたり150万を超える動員数を記録した巡回展から帰国した展覧会です。完璧に保存修復されたガンダーラ仏はまさに博物館級のコレクションで、その荘厳さと日本の仏像彫刻のルーツとも言うべき細微にわたる装飾は素晴らしく僕が過去に観たガンダーラ仏をしのぐ圧巻のコレクションです。
 
東西の交流の中から生まれた数々の装飾品や平山郁夫氏の晩年の傑作である大シルクロードシリーズの大作に鑑賞することができ、当地を訪れれば文化交流の道、シルクロードのすべてを感じることができます。
生涯をかけて、シルクロード研究に身を投じてこられた平山郁夫氏と陰で支えてこられた奥様の美知子によるシルクロードの世界をぜひ堪能してみてください。きっと悠久の大地を感じることが出来ると思います。




ガンダーラ美術の宝庫とも言うべく第一級のコレクション




平山氏の大作の数々と再現されたアトリエと未完の作品


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山梨・小淵沢アート旅2 中村キース・ヘリング美術館

2023年05月01日 | 【町歩き・旅】
今やバンクシーの登場でストリートアートの世界が注目を集めています。最近では前沢氏がバスキアの作品を購入し再びオークションにかけて高落札されたことが話題となりました。
 
ヒップホップムーブメントのひとつであったグラフィティーアートを世界的なものへと進化させたのが白人アーティストのキース・ヘリング。彼の愛と平和をコンセプトにした作品は世界中で人気を博しました。彼の制作活動は僅か20年、エイズを発症し31歳の若さでこの世を去ります。
 
バンクシーは混沌とした現代社会をゲリラ的な活動で批判していますが、キースは自らの作品を通して様々な自らのアーティスと活動を通じて社会貢献活動に奔走しています。彼の作品には自由や平等、愛や平和がテーマとなって観る人を元気にしてくれます。
 
そして当美術館の館長であるシミック株式会社の中村和男氏により世界で唯一のキース・ヘリング専門美術館を故郷に開館されます。自然の森の中に佇む美術館は北川原温の建築によるもので、階段を使わず傾斜を利用した高い天井の空間に所狭しと作品が散りばめられ、キースの作品らしい、どこかテーマパークのような楽しさにあふれています。
 
現在15周年記念の展覧会「混沌と希望」が開催中、キース・ヘリングの作品の全貌が伺える貴重な展覧会です。小淵沢の美しい自然の中で愛と平和を感じてみませんか。


中村氏の最初のコレクション「ピープル・ラダー」人が肩車をして立つキースらしい作品です。


当館の新収蔵作品は人間の欲望と生への祝福がシンボリックに描かれた作品、今の時代に対するアンティテーゼを感じます。




見渡すように配置された空間は、オブジェやドローイングなどキースの多様な制作活動を原体験できます。

中村キース・ヘリング美術館 館長中村和男「開館15周年記念展:混沌と希望」について The 15th Anniversary of the Keith Haring museum

思わず見入ってしまった中村和男氏のビデオ。中村氏のキースへの熱い情熱を感じます。


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