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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 ディア・エヴァン・ハンセン

2021年12月10日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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トニー賞をはじめ、グラミー賞、エミー賞にも輝いたミュージカルの映画化作品「ディア・エヴァン・ハンセン」を鑑賞しました。

こちらも前の投稿で紹介した「少年の君」と同じように、いじめをテーマにした作品です。まったく異なる視点の映画ですが何といじめをテーマにしながらミュージカルに仕上げてしまったことが驚きでした。

タイトルにあるように主人公は、学校生活になじめない内気な高校生エヴァン・ハンセン。彼は心の病を抱えていてジュリアン・ムーア演じるシングルマザーと暮らしています。そのリハビリのために自分にあてた手紙が元で大きな事件に発展していきます。

その発端となる事件が、薬物中毒でリハビリから学校復帰したコナー。彼もまた学校になじめず独りぼっちの高校生活を送っていたのですが、ある日ハンセンが書いた手紙を奪っった後自殺してしまいます。その後家族が手紙の存在を知り、孤独のコーナーにハンセンと言う親友がいたと感じ違いしてしまいます。

手紙をきっかけに、学校中がコナーを追悼する運動へと発展してしまいハンセンは嘘を重ねてしまいます。ある日彼の手紙が世の中に知れることとなり、ハンセンのついた嘘が思いもしない方へと進んでいってしまいます。

重いテーマを軽やかな歌声で綴られる作品は、違和感を持つ人も多いと思いますが、この新しいスタイルは思わぬ形で成功したと思います。それは、今の時代のSNSの普及と繋がっています。実はいじめの中で、もっとも陰湿で加害者が痛みを感じない「無視」という行為が関わっているのですが、ミュージカル手法によってうまく入ってきます。

主人公ハンセンが犯した罪と罰とそして勇気を感じとってみてください。


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映画 少年の君

2021年12月07日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作品の中国・香港合作映画「少年の君」を観てきました。

はじめに断っておきますが、中国に対する風当たりが厳しい社会状況ですので、この作品を歪曲して捉える方もいるかと思います。しかしながら、この作品はかなりの高評価をもって受け止めている映画ファンも多く、偏見なく見てほしいです。

舞台は、受験戦争真っ只中のエリート校。高校3生の少女がいじめを苦に校内で飛び降り自殺します。クラスメートのチェン・ニェンは、好奇の目が注がれる彼女に遺体に自分の上着をかけたことをきっかけに、いじめのターゲットになってしまいます。執拗ないじめは、学校外にも及ぶ中、偶然出会ったストリートで生きる不良少年シャオベイを助けたことで、シャオペイは彼女のボディーガードとなり、親しくなり彼の家で受験勉強に励むようになります。そんな中で、ある事件が起こりシャオペイに容疑がかかります。

エリート校に通うチェン・ニェンは、いかがわしい化粧品を出稼ぎで販売し借金をしながら生計をたてる母親と二人暮らし。シャオペイは幼い頃に母親と生き別れストリートチルドレンとして生きる不良少年、生活環境も違う二人が心を通わせながら過ごす純愛の世界が淡々と描かれていて哀しく切ないシーンが心を打ちます。また、いじめのターゲットにされながらも、自殺したクラスメートを救えなかったことで立ち向かう少女の姿と自らの立場を考えて陰のように寄り添う少年の行動に涙が止まりません。後半にサスペンス仕立ての結末にも、本作が事実に基づいた作品であることに驚き、作品の質の高さを感じました。

主役の女子高生を演じたチョウ・ドンユイは当時20代後半、あどけなさが残る彼女の容姿に加え純粋無垢な少女の演技には驚きを隠せません。また中国のアイドルグループのメンバーでもある少年役のイー・ヤンチェンシーも子役からの俳優歴も長く難しい役柄を見事に演じています。「君は世界を守れ、僕は君を守る」のセリフが今も胸に残り続けています。

少女と少年の孤独な魂が深い愛で結ばれた瞬間を感じ取ってください。きっとあなたも涙なしでは観れないと思います。


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杉浦非水展 三重県立美術館

2021年12月03日 | 【美術鑑賞・イベント】
 
 


 
杉浦非水は、1876年(明治9年)に愛媛県松山市に生まれ、日本画家を目指し状況しますが東京美術学校(現東京藝大)で近代洋画の巨匠、黒田清輝との出会いデザインの道に進んだ日本におけるデザインのパイオニアとして知られています。しかし、その存在は一般的には知られていないのですが、黒田清輝により紹介されたアールヌーボやその後のアールデコ様式の図案を取り入れたデザインは非水により広く広まれたといっても過言ではありません。
 
本展は、非水の故郷、愛媛県立美術館収蔵の作品を中心に、彼の初期日本画作品にデザイン図案、三越百貨店勤務時代のポスターデザイン、書籍の装丁デザインなど多種彩々の非水作品がずらりと並んでいます。それらのデザインは、現在にも通用するモダンなデザインばかりです。
 
当然のことながら、現在のようなパソコンによるデザイン作業ではなく全てが手作業で行われていた時代、非水の傑出したデッサン力や写実力があってこその作業であることは、展示作品ひとつひとつから見て取れ、豊かな色彩表現と創作的な構図に魅了されます。
 
明治、大正、昭和にわたり戦前、戦中、戦後の変化する時代を軽やかに走り続けたデザインの革新者、杉浦非水の世界をぜひ楽しんでみてください。
 


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