出生の真相を聞き、さらにケイがフュージョンライズしたペダニウムゼットンにも敗れ、自らの存在意義を見失ってしまうリク。そんなリクに、朝倉錘という人物から手紙が届く。リクは錘と会い、リクという名前を付けたのは自分だと聞かされる。そこに、おそるべきベリアル融合獣ペダニウムゼットンが出現! 錘の言葉によって見失いかけていたものを取り戻したリクは、ついに新たな力に覚醒する!!
この1話だけで、ジードは名作と呼ばれていい。名作と呼ぶべき。
とにかくもう、本当にもう、最初から最後まで素晴らしい回でした。
すごい良かった。
朝倉錘さん。
錘とは「おもり」を意味するそうですが、
今回、自分を見失っていたリクを支えるための不動の軸となる。
三ヶ月前にリトルスターの所有者となり、千里眼の力を手に入れた錘さんが
まず最初に思い浮かべたのが、19年前に手放さざるを得なかった、天文台の赤子。
「遠くが見えるようになったとき、まっさきに、君が見えた。
地球人じゃないとは、思わなかったけどね」
錘さんは、それでも、何をするでもなくリクのことを遠くからただ見守り続けた。
そしてリクが存在意義を否定され、戦う力を奪い取られ、
うずくまり動けなくなってしまったとき、初めて言葉をかける。
でも、リクがどれだけ辛い状況に立たされているのか理解したうえで、
そのことには決して触れない。
触れずに、自分とリクとの係わり合いについて、淡々と説明する。
そういう形で、リクが単なる模造品なんかじゃないことを、
錘さんにとってかけがえのない存在であることを、まっすぐな言葉で伝える。
「朝倉リク。・・・ふふっ、その名前をつけたのは、私なんだよね」
「うちにはこどもがいなかったからね。家内と『引き取ろう』って相談をしていたんだが、
直後に家内が事故で死んだんだ。私ひとりで育てるんじゃ、君のためにならないと思ってね」
ゲームをしながらの会話なんですが、
前回、PS4を勝手に買ってライハの怒りに触れてるとこまで錘さんはちゃんと見てて、
リクと一緒に遊びたくて買ったんだろうな。和む。
そして、ペダニウムゼットンに狙われた錘さんは
リクだけでも逃そうと必死で説得する。
「しっかりしろ!リク!!
リク、私と家内とで考えた名前なんだ。男の子が生まれたらつけようってね。
この大地にしっかり足をつけて立つ。そしてどんな困難な状況にあっても絶対に再びまた立ち上がる。
そういう思いを込めて」
「君はこの惑星には必要だ」
「生き残れ!こんなところで生命を捨てるんじゃない!」
「リク、頼む、生きてくれ・・・」
人がウルトラマンに祈ったときに起動するウルトラカプセルですが、
最後のウルトラカプセルを起動させたのは、ウルトラマンに対する祈りではなく、
父が息子に対して叫んだ「願い」だった。
そして現れたマグニフィセント。
「強大な力を秘めた、崇高な戦士です」というレムの言葉どおり、
肩越しに錘さんを見下ろすその表情は、まさに神のごとき。
ちなみにマグニフィセント(magnificent)とは「壮大な 雄大な 崇高な」という意味らしい。
対 伏井出ケイ戦。
ケイはウルトラカプセルのパワーに耐え切れず
「神経系、及び、脳の一部が焼ききれたようです」と判断されるような状態。
しかも、巨大なパワーに翻弄されて自滅するも、有り余るパワーが自動的に修復してくれるので、
時間がたてば再び立ち上がって活動することができるという。なにこれ無限地獄じゃん。
そんな巨大なパワーを持つペダニウムゼットンと、崇高の名をもつマグニフィセントが
殴り合いで戦うっていうのが、もう素晴らしい。本当に素晴らしい。
「模造品なんかじゃない、僕はリク、朝倉リク、それが僕の、名前だ!!」
「貴様の人生に価値などない、お前という肉片に生命を与えたのはこの私だが、
産声をあげる瞬間に、すりつぶすこともできたんだ」
この一言には、リアルタイムで見てて悲鳴をあげましたよ。
鳥肌レベルで嫌悪感があった。こいつは命をなんだと思ってる。
「あなたにはわからないんだ、人の幸せが!
僕には、仲間がいる!帰る場所も! 誰にも『価値がない』なんて言わせない!」
「貴様が価値あると信じているすべてのものはクズだ!
薄っぺらい貴様のような存在にはお似合いだがなぁ!」
「・・・かわいそうな人だ」
「なんだとぉ!?」
「あなたには何もない、からっぽだ」
こんなやりとりも、リクと錘さんのやりとりがあったからこそ
リクの言葉には真実味がある、背負ったものの重さがあるし、
逆に「かわいそうな人だ」と言われたケイが、本当に薄っぺらく空っぽに感じられる。
互いの言ってる内容自体は、わりとベタなものだと思うんですよ。
でもそれを、こんなに見ている人に伝えてくる表現が、本当にすごいなぁと。
しかし敬愛するベリアルの遺伝子から生命体を作り上げたケイは、
その存在をどう思っていたんだろうか。
自分の手元において愛で、時にはいたぶり、
大事なおもちゃとして思うとおりに育て上げたいとか、思ったりしなかったんだろうか。
まぁ宇宙人ですからね。そういう感覚はないのかな。
それとも、やっぱり自分では、人々から祈りをささげられるような
まっすぐなウルトラマンには育てられないという自覚があったのかな。正解。
でも、もしも私がケイだったら、愛玩用にもう一人作って手元に残しておくし、
靴でも舐めさせて「ベリアル様が、私の足を舐めてる」とか悦にひたったり、
次の瞬間「ベリアル様の遺伝子を持ちながらそんなことをするな!」と
その靴で思いっきり蹴飛ばしたりとかしちゃうし。
「お前はベリアル様なんかじゃない!」とか言いながら、宇宙空間に3年くらい放置したあと
急に「ベリアル様、ベリアル様ぁ!」とか号泣しながら迎えに行っちゃうし。
最終的にはリクと対決させたい。
ジードライザーで変身させて、ジードvsジードオルタナティブをやらせたい。
んでなんやかやあって、ケイへの攻撃の身代わりになって死んじゃうんだけど、
いろいろ理不尽なことをされ尽くしたのに最後までケイのことしか考えてなくて、
「怪我しなかった?良かった・・・」とか最後に笑顔まで浮かべちゃって。
その屍に抱きしめらたまま、彼の血で全身を真っ赤に染めたまま、
「・・・なんだこれは?」と、彼の心境をまったく理解できないケイを見たい。
こういう妄想を文章化すると、自分の趣味の悪さが露呈しますよね!
まぁ実際そういう展開になっても、ケイは自分が創造主だと思っているので
「創造主を守って死ぬくらい当然」とか疑いもなく思いそうだけど。
その他。ベリアル関連。
ベリアルの近くにまで迫ったゼロは、ベリアルのいる時空の入り口を塞いで
「いやがらせ完了っと」と帰っていく。
こんな方法ではベリアルの足止めくらいにしかならないこと、
まだ決戦のときではないこと、本気でやりあえばレイトを守りきれないこと、
ベリアルとはやりあうときはそれなりの覚悟をもって挑まなければならないことを
理解したうえでの、ゼロの「いやがらせ」なんだよな。
千里眼モードの錘さん情報によると
「じゃあ、ラスボスってベリアルのこと?」
「近いうちに、君はベリアルに会うだろう。戦って負ければ、世界は終わってしまう」
とのこと。最後はベリアルと戦うのか。
真の意味での「父親」とは違ったんですが、リクにとってのベリアルは
いままで心の拠り所のひとつでもあったわけで。いまも「父さん」と呼んでいるわけで。
そんな父親と本気で相対し、乗り越えていかなければならないのか。
父殺しにはさせたくないと思うんですが。うーん。
さて傷つき戻ってきたケイを、ベリアルは
「案ずるなストルム星人、俺はお前のそばにいる」と、
ケイが喜ぶであろう優しい言葉をかけます。飴とムチ!
しかし実際問題、一度は手に入れたウルトラカプセルもすべて失ってしまい
どうすんのこれから?って話なんですが、
「まもなく俺は、強大な力を手に入れるだろう」とのことで、
なんだろうなぁ、悪夢を育てるストルム星人がさらなる強大なエネルギー源となりうるのか。
締めは田口監督のツイートから引用。
どんな話をしたのか詳しく知りたいですね。
ホント、ケイをどうするつもりなんだろう。
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