素晴らしき茜空の会

主に特撮番組の感想文。ブログタイトルは仮面ライダーキバに登場する「素晴らしき青空の会」より。

ウルトラマンジード 第11話「 ジードアイデンティティー」

2017-09-16 17:00:00 | ウルトラマンジード
AIBの決死の作戦が成功し、伏井出ケイと、その背後にいる黒幕とのコンタクトが明らかになる。自分への包囲網を感じたケイは、全ての事態を収拾し決着をつけるために、遂にリクとの直接対決を選ぶ。 ライハたちの動きを封じ、問答無用でリクとの対話を始めるケイ。その中で、リクは自分の出生の真実、そして父・ベリアルの恐るべき悪魔の計画を知らされる・・・。


ウルトラマン好きな長男が「ダメだ!もう負ける!ジード死ぬ!死ぬ!」と大騒ぎし、
「うるさい!ダメダメ言うならもう消すぞ!」ってぶちきれた回です。
あらためて落ち着いてじっくり見た。すごい回だぞ。

まず。伏井出ケイ。ストルム星人。
ベリアルに心酔する彼は、自分こそベリアルの側近にして
かけがえのない右腕だと自負している。
それこそが、彼の余裕ある言動に表れていたわけですが。

だがしかし。ウルトラカプセルを着実に集めているのはケイの功績であるはずが、
ベリアルは「息子はよくやっているようだな」と評し、
ケイは光を失ったような目で「・・・えぇ、とても」と答える。

そもそもが、ベリアルにしたら他愛もないレベルなんでしょうけれど。
ストルム星人もリクも、単なる道具のひとつとしか思っていない、
単純に、いま、ここにあるもの、それだけの存在にすぎない。別の何かで代替できる存在にすぎない。

ケイにはそれがわからない。
あるいは、わかっていても認めたくないのか、
認めたうえでなお、自分だけは違うとかたく信じているのか。

ともあれ、同じ道具として認識されることを良しとしなかった彼は
リクとの序列をはっきりとさせるためにリクの目の前に現れ、
すべてを明らかにします。それもことさらに、リクを卑下する表現でもって。

しかしなぁ。リクがベリアルの遺伝子から作り出されたモノだったとは。
思えば、リクに対するレムの表現は常に「遺伝子を受け継いだ」だった。
いや、でも、普通そういわれたら子孫だって思うよね?

「お前は自分が救世主か何かだと思っていたな。それは違うぞ。
 お前が存在しなければ、街も破壊されなかった」
「怪獣が出たのは、僕のせいだっていうのか!?
「そうだ、自分の存在と決意が、いかに大勢を不幸にするかを自覚するといい!」


すっげぇ皮肉な話ですが、そういうとこあると思うんですよね。
良くも悪くも、ウルトラマンは「力で解決する」物語だから。

うちの長男も、ウルトラマン大好きなんですが
「東京におうちがなくて良かった、だって怪獣来るから」と言ってるように、
ウルトラマン在るところには怪獣が在って、
そこには強大なエネルギーや破壊がつきまとうんですよ。ウルトラマンは悪ではないけれど。

かつて癒しの力で世界を平和にしようとしたコスモスや、
地上のダメージをできる限り回避しようとしたメビウスのような存在もありましたが、
現在、メインのスーツアクターをつとめている岩田栄慶さんも
敵との関係性を、結局は暴力で解決するしかない、絶命に追いやるしかなかったと
その属性を「闇」であるとおっしゃってましたし。

参考:4K:スーツアクター 岩田 栄慶 "Clad in Respect"

まぁ確かにウルトラマンがいなかったら、地球なんてとっくに怪獣に征服されてるし、
続々現れる宇宙人たちの争いに巻き込まれて焦土と化してるだろうし、
平和ボケしたこと言ってられるのも、ウルトラマンのおかげなんですが、
うーん・・・、このあたりは悩んでも簡単に答えが出ないので棚上げ。

とりあえずジードに関しては、ウルトラマンが戦うために怪獣が呼ばれているわけで、
ある意味、ケイの言うことが正解ではあるんですが、
でも、リクは悪くなんてない。それはもう、声を大にして言いたい。

同時に。すべてをお膳立てしておいて、リクの命すら自分が作ったと宣言し貶めておきながら
なお「お前の存在が」「大勢を不幸にしている」と、リクの存在意義を否定する、
つまり、「ベリアルが認めたリクの存在意義」を、あらゆる手段でもってひたすらに否定し続けるケイが、
本当にもうお前ってやつは健気だな!と愛さざるを得ない。

そもそも、ベリアルがケイの働きを正当に評価していれば、
ケイもこんなひねくれた行動をとったりせず、効率よく働いたと思うわけで、
結果としてゼロカプセルを入手し損ねたのは、ベリアルの部下管理に問題があったと思うんだが。

しかし考えてみるに、ベリアルはケイの働きを労わず、失態に対して冷たく失望するだけで、
他人からつくされることを当然のように受け入れ、失敗を許さない
孤高の「王」なんだなぁと思った。
ベリアルの闇は深すぎて、ケイのような存在をひきつけてやまないわけですが、
夏の虫のように、ベリアルに近づきすぎて燃え尽きるだけなんだなと。

というわけでケイも今回の失態を取り戻すために、
すべてのウルトラカプセルを体内に取り込めと命ぜられます。
体内に位相反転機能があるからOK☆とかいう問題じゃねーぞ、
属性じゃないよ出力の問題だよ、それこそ燃え尽きて消し炭すら残らないぞ。
もうホントに、ベリアルの存在が大きすぎて素敵。

あんど。設定に関するケイ先生のお言葉。

「まず、ある男が、ある国からカプセルを奪うのです。強大な力を秘めたカプセル。
 カプセルを起動するには特別なエネルギーが必要だった。
 宇宙に拡散し、惑星や生命を循環する特別なエネルギーが。
 男はそれを集めるため、とある物質を作ります。
 男は『カレラン分子』と名づけました。
 しかしカレラン分子は生命体の中でしか安定して存在できなかった」

「男はカレラン分子を散布し、生命体の体内で高密度エネルギーの養殖を行うことにした。
 人々や惑星を循環するエネルギーは幼年期放射と呼ばれ・・・」


「幼年期放射」という単語は、4話でトリィも口にしてましたね。

「リトルスターとはなんだ」
「研究所仲間の噂では、幼年期放射の結晶で、発生条件は不明。
 最近なぜか、同時多発的に発生している」

 
つまり、「幼年期放射」と呼ばれるエネルギーが、カレラン分子と反応して
生命体の体内で養殖され結晶化する、それが「リトルスター」。
このリトルスターが、ウルトラカプセルの起動スイッチになるんですね。

なるほど。いままでリトルスター=ウルトラカプセルだと思ってた。
じゃあウルトラカプセル自体はどこにあるんだ。
すべてリクの手元で起動してるから、ジードライザーの中にあったのか。
それとも別次元のなんちゃらに存在していて、起動された瞬間に三次元化したのかな。

しかしカプセルを奪った「ある男」とはベリアルのことなんでしょうが、
ベリアル様は物質作ったりとかできるのかよ、万能。

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