阿部卓馬ブログ

北海道新ひだか町サポート大使のシンガーソングライターです。ライブ告知、活動情報などを中心に更新しております。

夏休みの宿題

2012年09月19日 | 思索
夏休み終了まで、あと二日。

外は照りつける太陽と騒々しいセミの鳴き声。

本来なら楽しいはずの夏休みは、終わりごろにはいつも憂鬱な時間になる。

机に向かって腕組みをすることしばらく。

その机の上には、夏休み初日に2ページだけやった宿題。

頭に工作の課題もよぎれば、いよいよいたたまれない気持ちになってくる。

それでもやらなければ…右手に持つ重い鉛筆がゆっくりと動き始めたかと思うと、

持て余した左手は、いつの間にか漫画をつかまえていた。。。



こんな夏休みの終わりを経験した方も多いのではないでしょうか?

ご多分にもれず、私もそのような人間の一人でした(笑)

これから記述するお話は、このような経験から私がふと思いついた、とある夏休みの物語でございます。

何か感じるものがあれば幸いです(^^)






夏休みも半ば。海に山に川にプールに、毎日腹いっぱい友達と遊ぶ日々が続いた。

遊び疲れた体は、晩ご飯を食べた後にはすぐに眠気を誘い、誘われるがままに夢の世界へと旅立つのが日課となっていた。

そんな日々の中でも、ふと頭をよぎることがある。

「おいお前、夏休みの宿題やったか?」

いつもの遊び友達がそう言うと、決まって私はこう答えた。

「2日もあれば出来るだろ?大丈夫だって。なんなら終わりごろにみんなで集まって、一緒に片づけてしまおうぜ!」

「それもそうだな!じゃあ今度はいつもの川まで競走だ!」

そんな風にして自転車を走らせた後には、私も友達も夏休みの宿題のことなどすっかり忘れて遊びに没頭するのであった。



友達とたっぷり遊んで、一人家に帰るある日のこと。

私は偶然、担任の先生に出会った。

「おー阿部、元気だったか?すっかり日焼けして…その分だと思いっきり遊んでいるな!」

「はい!毎日あちこち行って遊んでいます!」

「そうかそうか。それはそうとお前、夏休みの宿題はやってるのか?」

「(ギクッ!)あ、ええ、ちょっとずつですがやってますよ!(うわーやってないし…)

確か○○と××ですよね!」

「お前何言ってるんだ、○○と××はもちろんだが、△△と□□、それと◇◇も言っておいたはずだぞ」

「えっ!!!△△と□□、◇◇もあるんですか??!!」

「ちゃんと休み前に伝えたじゃないか、友達とか言ってなかったか?」

「うーん…その話は初めて聞きました…」

「とにかく、しっかりやるんだぞ。その宿題をやらないで新学期を迎えるととんでもないことになるぞ」

「…そうですね、がんばります」

「そうそう、他の友達も忘れているようだったら伝えておいてくれないか」

「わかりました」



次の日。

いつもの遊び友達と遊びながら、ふと切り出してみた。

「昨日、先生に会ってさ…夏休みの宿題、○○と××だけじゃなくて、△△と□□、それと◇◇もあるんだって!」

「お前、ほんとか?!だって、休み前、先生そんなこと言ってなかったぜ?!」

「でも先生が昨日直接僕に言ったんだから、たぶんほんとだよ。なんなら先生に直接聞いてみろよ」

確かに先生からそう聞いた私は、友達のその言葉に弱気になりながらもそう答えた。

一部は、

「マジか?!とりあえず詳しく聞かせろよ!」

と言ってくれる友達もいたが、ほとんどの友達は、

「お前、勘違いしてるんじゃないか?他の奴らもそんな宿題、聞いてないって言ってるし、オレ自身も聞いてないし。

それに、そういうことなら夏休み前にちゃんと言わない先生も悪いだろ。とりあえず○○と××やるだけにしようぜ。

△△と□□、◇◇は知らなかったんだから。どうせちょっと怒られるだけだろ?だったら我慢して切り抜けようぜ」

と言って、取り合ってもくれなかった。

「それより新しいゲーム手に入れたからオレんちでみんなでやろうぜ!」

「やろう!やろう!」

そう言ってみんな走っていってしまった。

残された私もまた、その新しいゲームで一緒に遊びたい気持ちもあったが、先生の言葉が私の頭の中をグルグル回っていた。

『その宿題をやらないで新学期を迎えるととんでもないことになるぞ』



そうこうしている内に、夏休みも残りわずか。

私の話を聞いてくれた友達と、先生の言っていた宿題について向き合ってみるが、予想外に膨大な宿題に尻込みしてしまう。

『その宿題をやらないで新学期を迎えるととんでもないことになるぞ』

再び先生の言葉が頭の中をグルグル回る。

そのとんでもないこととは何なのか?考えてみてもわからない。

でも、とにかくやらなくては。少しずつでも。



いつもと違う夏休みは、うだるような暑さの中、ただ時を重ねるだけであった。



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